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コミュニティは発酵から学ぶべし! 小倉ヒラクさんにサディ(佐渡島庸平)が迫る

「僕は発酵のことしか話してませんからね」とヒラクさんは何度言ったことか。それなのに、聞いている人のおそらく全員が「それってコミュニティのことじゃん! 発酵すげえええええ」って思ったよね。

これは、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんと、サディこと佐渡島庸平さんの対談での1シーン。コルクで運営しているコミュニティ「コルクラボ」で月一行われるゲスト会で、ゲストとして呼ばれたのがヒラクさんだ。

「ヒラクさんがゲスト!」と決まる!!

コルクラボのゲスト会では、ときどき、メンバーに「呼びたい人」を聞いてくれる。掲示板に「ゲスト会で呼びたい人いるー?」というスレッドがあがり、私(とっちー)はこんな風に返信した。

「小倉ヒラクさん。理由は、恐ろしく本質的だから!! つてはありません。」※画像は超お気に入りのツイート。

その後、実現。2018年4月11日(水)のゲスト会に、ヒラクさんをお呼びすることが決まった!(とっちー大コーフン)

読書会で『発酵文化人類学』の内容を深める!

コルクラボでは読書会を実施する部活(ブッククラブ)がある。簡単に言うと、本を読んで感想を共有し合うのが読書会だ。今月の課題図書は小倉ヒラクさんの『発酵文化人類学』。軽快な語り口でマニアックな内容をつまびらかにし、人間の世界に当てはめていく。その内容に、ブッククラブのメンバーのうち、かなりの人たちがめちゃくちゃ痺れた(と思う)。

その証拠にこんなツイートが!「自主POP」さいこう!

ヒラクさんがケガしている!!

なんと!  イベントの朝、ヒラクさんの捻挫が悪化してしまったらしい!!(ヒラクツイートフリークだから知っている!) 京都にいるのに? 東京まで大丈夫なの?

※大丈夫だったけど大変だったみたい。

発酵の仕組みはコミュニティとそっくり

ではようやく対談の様子をレポート。サディがまずヒラクさんの「発酵デザイナー」が誕生した経緯を聞く。こちらはリンク先でどうぞ。

そのあと『発酵文化人類学』が3万部となった成功の秘密も聞く。こちらもリンク先でどうぞ。本を売る驚きのノウハウがたんまりだよ。

サディが発酵とコミュニティの共通性について聞いたところから、今回のメインディッシュ的な話になってくる。

「まず、リアルな発酵の話でいうと」と前置きをしてから「大事なのは食材。それを茹でたり煮たりしてコンディションを整える。そのあと閉鎖系の環境を作り、菌がすごく元気になるように環境を整える。そうすると菌が増え切る均衡点が来る。そうなったら食べごろ」と言う。

これを聞いた途端、私だけでなく他のコルクラボメンバーも、自分を菌のように感じ、他の菌とバランスを取りながら元気に活動している様子を想像してしまったに違いない。

「人間と発酵が写し鏡のように見えた」ことが、ヒラクさんが発酵に没頭していったひとつの要因ではないかとヒラクさんは考えているのだとか。

手入れをしすぎず、菌と時間を信じる!

仕込みが完璧だと、手入れをしなくても菌が勝手に自走するのだそう。仕込みがイマイチだと手入れが必要。さらには、手入れをしすぎると、これまたうまくいかない。「何度も蓋を開けちゃダメ。バックグラウンドで考えているくらいがちょうどいい」のだとか!

「仕込みのコツは?」サディが聞くと「うーん、機嫌よくしてること」。何という予想外の回答! しかしそこに本質があるような気がしてしまうから不思議! 聞けば、醸造家はみんな機嫌がいいのだそう。不機嫌にしているとよい仕込みはできない。

サディの頭の中で、比喩の対象がコルクラボからコルクへ移る。「組織は経営者の器を超えないって言われるけど?」「発酵の場合はね、超えます」ヒラクさんはきっぱり。どうしようもないオヤジに見えて、すごくいい発酵食品を作り出す人がいるらしい。

そのコツは「信じること」つまりは、「菌と時間を信じて待つこと」。菌はコントロールできないものとして、時間をかけて信じる。これは響いたよね。

ヒラクさんは畳み掛ける。「時間を短くしてもできることはできる。でも、点数が微減していく」すなわち短期的に見たら、短い時間で同じものができて「よくやった」となるかもしれない。でも、長い目で見たらどんどん質を落としているってことなんだろう。

コミュニティにルールがなかったら絶対に腐る、とヒラクさん(発酵からいつのまにかコミュニティの話になっているけどおそらくあんまりみんな気づいていない)。大事なのは「①誰が喜ぶのか」と「②環境整備」。この2つは絶対に定義しなくてはいけない。ある程度フレームを決めないと、ダメなものが入ってしまう。絶対にダメなことを決めておく必要がある。ちなみに「なんでもあり」というフレームの場合もあるとのこと。

新しいものは、まったく別のものとの融合でできる

ここでサディがコンテンツの未来に話を振った。ヒラクさんが話したのは技術の水平伝播について。ある場所のお酒造りに欠かせない技術が、まったく別の場所の、しかもお茶の製法から渡ってきたと言われているらしい。新しいものを生み出すには、枠の中で考えちゃダメで、まったく別のところから来たものと融合するといいってことだ。「僕は出版のことを知りすぎているから、忘れた方がいいんじゃないか」と言うサディに「佐渡島さんだけじゃできないんじゃないですか」とピリリと刺しにいくヒラクさん。ドキドキ。

加えて、「友だちでお酒を作ってる人たちは、みんな古いレシピを掘っている」という。そこから、今の常識をくつがえす新しいものが出てくる。
そのあとサディが未来に見ているコンテクストの話をしたり、ヒラクさんが「読モ理論」(『発酵文化人類学』にも出てくる)の話をして、会は終盤に……。

なんという濃密な、気持ちのいい時間! 懇親会ではご著書にサインをいただき、記念撮影もして大満足。私は最後に握手もしていただいた。(「また会いましょう」と言われたよ)

何かを極めると世界が見えてくるってこと、コミュニティ運営において発酵に学ぶことは多すぎるってことが本当によくわかった。また、ご著書である『発酵文化人類学』には、与え与え合う自然の摂理など、生きるヒントが満載。いくつもの気づきがある。とにかく、最高な夜だった!

(おわり)

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冒頭のイラストは、コルクBOOKSに投稿したものを筆ペンで描きなおしたもの☆

これを読んだあなたがすでにほしくなってしまった『発酵文化人類学』はこちら。


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