見出し画像

学校で学べない「売る」経験

私が入っているコミュニティで、大人がやる「文化祭」が開催された。学校へ行っていない長男は、ひとつのイベントで前に出て助手として手伝うことが決まっていた。

「それ以外、暇だよ―どうするの?」

なんて言うので、急きょ喫茶店を手伝うことになった。コーヒーと紅茶とクッキーを出すお店。

仲のいい人がスタッフでいたこともあり、長男は大張り切り。私はいろいろな別の役割があって忙しかったのだけど、長男のことを心配する必要がないくらいに、彼は夢中で働いてた。

コーヒーはオーダーを取ってからドリップで入れるので、少し時間がかかる。入れたコーヒーを会場のお客さんに届けるのが彼の仕事だった。

宣伝マンになる

さらに、大人と一緒にパネルをもって会場をまわり、「コーヒーいりませんか?」と宣伝していたのだとか。

そのあとイベントで自分のステージに上がり、そのあとすぐさま「俺、喫茶店の仕事があるから」と風のように去っていったという。

喫茶店ではこれまでどおりコーヒーや紅茶を届けていたが、閉店間際にクッキーがひと箱余ってしまった。「どうしようか」ということになり「ばらしてもいい?」と長男。「俺売りに行くよ」と、大人と一緒に会場を回って「クッキーいりませんか」と売り歩いていたのだという。それで、見事に完売した。正確には2つ残り「だれかにあげていいよ」と言われて「ママにあげる!」と即座に私のもとへ持ってきてくれた。

これ、私が一緒にいて「売ってきて」と言ったら売りに行っただろうか? 「子どもが売り子を体験できます」というイベントだったら、行けただろうか? 

アイスコーヒーを売る

やけどをしたスタッフがいて「氷買ってきてくれない?」と言われ、近くのコンビニへ。場所がわからず誰かに聞いたりして、別のスタッフと一緒に走っていったという。

なぜかアイスコーヒーを作ると思っていて、氷を二袋買ってしまう。持ち帰ってから気が付いたものの「アイスコーヒー売れるじゃん!」と嬉しそうに言う。今度は会場の大人に次々と声をかけ「今ならアイスコーヒー飲めますよ!」と売り歩く。氷1袋+αくらいの氷がはけたのだとか。

顔見知りの大人が多いとはいえ、知らない人もたくさんアイスコーヒーを買ってくれた。

加えて、彼は牛乳も買ってきていた。ミルクティーが飲みたかったのだ。それも「ミルクティーいりませんか?」と売り歩く。

結構シャイなタイプなので、「売ってきて」と言ったら行かなかったのではないだろうか。

とにかく売ったのが楽しかった

帰り道も、帰ってからも、「楽しかった!」と言い続ける長男。自分がとても役に立って、自尊心が大いに高まったみたいだ。

大人たちがとても頼りにしてくれたこと。「長男君がいなかったら、クッキー全部売れなかったよ」と言ってくれたこと。自分で売り方を考えたり、実際に売れたりしたこと。

いろんなことが相まって、とても充実していた。ただ売り子をやることが、こんなに嬉しいなんて。働くことが、こんなに楽しいなんて。

彼はとてもとてもいい体験をしたと思う。またやろうね。

サポートと一緒にメッセージをいただけるとすごく嬉しいです♪