何者なのか聞いてみた。(vol.0 林田浩作編)


――何者ですか?

林田 THE BANANA MONKEYS(以下:ばなもん)というアイドルの運営をしています。

――きっかけはなんですか?

林田 三川(ばなもん運営)と出会ったことですね。


――三川さんはばなもんの運営として地下アイドルオタクの間では結構知られてるじゃないですか。でも林田さんって意外と何者なのか知らない人が多いと思って今回取材をお願いしたんですけど、世の中に知られちゃっても良いんですか?

林田 うん、あんまり良くないね。練習と聞いて受けたから、Twitterには出さないで欲しいかな。

――拡散されたらマズい?

林田 面白いものを求める方向にするなら拡散されたくないかも。

--え、面白かったら拡散されたくないの???

林田 面白いものはリスクがあるから。

――(自分のアイドルを炎上させといてよく言えるな)僕達はリスクを捨てて世の中を救うんじゃないんですか?

林田 「リスクを捨てる」じゃなくて「リスクを背負う」ね。リスクを捨てたら単純に「安全」だからね。

--www(※ウザいんでガンガン拡散お願いします。)


臭そうだった地下アイドル


--アイドル運営はばなもんが初めてではないんですよね?

林田 最初は知人に誘われてmeltiaというアイドルの運営をしていました。ちなみにmeltiaというのはZOCの香椎かてぃちゃんやヤナミューのなでしこちゃんがいたところです。単純に興味本位でした。面白そうだなって。当時はAKBや乃木坂のファンだったので地下アイドルなんて全く知らなくて。臭そうと思ってました。

--臭そう?何?臭そうって?

林田 気持ち悪いなって。だから地下アイドルがこんなに熱いって知らなかった。

--meltiaには何年くらいいたんですか?

林田 1ヶ月ですね。すぐにWACKに行っちゃったんで。最初はmeltiaのためにWACKに修行させてもらいに行く感じだったんですけど、いつの間にかBiSHの現場マネージャーとして働かせてもらってました。

--私もBiSHのリンダ時代、ニコ生とかで見てました。めっちゃキモかったですよね。


林田 実は表に出るのがすごく嫌だった。だから渡辺さんに「今日はちょっと表に出るのやめてもいいですか」って言ったことがあったんだけど「お前の代わりはいくらでもいるから明日から来なくてもいいよ」って言われちゃって結局耐えました。

--渡辺さんけっこう怖かったですか?

林田 初対面から怖かった。初めて挨拶した時に僕が名刺を片手で受け取っちゃって「俺、学生嫌いなんだよね。なめてんの?」ってめちゃくちゃ怒られた。「君使えなさそう。無能だよね」とか初対面でボロクソ言われた。「もしWACKでほんとに働きたいなら、まじで君の時間と精神力と体力を奪うよ。多分君をボロボロにするし死ぬほどキツいと思うよ」って言われて。僕は渡辺さんのこと全く何も知らなかったんだけどその姿に人間的魅力を感じちゃって、「やります」って即答した。

--何歳の頃ですか?

林田 20歳ですね。お披露目から8ヶ月くらいしかいなかったけど。


--林田さんはポッキーを買い占めたことでバズってるのを見たことがあるんですけど、どんな学生でしたか?

林田 大学(東京大学)のサークルで、乃木坂同好会の運営をしていました。目立つのは好きじゃないんですけどTwitterが大好きで一日に100ツイートとかしてた。

--どんなことをツイートしてた?

林田 大学の草むらで野糞してうんこの写真をあげてました。あと、みんな童貞だからたまに学校のトイレでオナニーしてる奴がいるんですけど、そういうやつを探し出してこっそり配信してました。

--まじ最低ですね。


--WACKにいて学んだことはなんですか?

林田 めちゃめちゃ学んだ。大学の10倍くらい学んだ。何千万払ってもいいくらいの価値があった。(払えんけど) その中でも大事だなって思ったのはひとをリスペクトすることかな。渡辺さんは俺には当たりがきつかったけど、ビジネスをする上で関わる人たちを絶対リスペクトしてた。あと体育会系の基礎は全部学んだかな。「はい」「了解です」「最高です」「頑張ります」以外の返事はしちゃいけなかった。「でも」から始まっちゃうと怒られてた。

--なるほど。だから私も昔「でも」と使うと林田さんに揚げ足をとられてたんですね。うざかった。

林田 揚げ足はとってたかもしれない。ごめん。あと、相手の話を否定しないこと、自分の話をしないことを教えられたかな。お前はとにかく話を聞けって。でもこれは彼女を作る時も友達を作る時も、人生の全てに通用するからって。あと、空き時間には絶対漫画を読まされた。ワンマン前とか大事な時期は「極東学園天国」を必ず読まされた。

--メンバーも?

林田 メンバーには読ませてなかった。そういう意味でいうと渡辺さんはメンバーには興味がなかったんじゃないかな。多分メンバーを育てられる人じゃない。育てるじゃなくて生き様を見せる人だと思った。

--かっこいい。


林田 だからメンバーはめちゃくちゃ頑張ってた。週三で自主的に深夜練やってた。頭おかしくない?

--うん。おかしい。(※おかしくありません)


林田 だから渡辺さんは人の感情のコントロールっていうか、人を動かすのが得意な人だった。


--渡辺さんがいたから今の林田さんがいるんですね。でもどうして急にWACKを辞めちゃったの?


林田 大学の学祭かな。当時大きな目標があって、東大に大好きな乃木坂を呼ぶのが夢だったんです。で、やっと呼べたんですよ。でもその日がBiSHのアー写撮影の日と被っちゃったの。絶対行きたかったけど、休みを今までもらえたことが一回もなかったから「休ませてください」って言えなくて。しかもその頃はBiSHの仕事と乃木坂同好会の仕事で忙しくて数日寝てなくて、前日の夜に渡辺さんの前で寝ちゃったんです。先輩の前で寝ない、先輩の前で水を飲まないっていう体育会系の掟を破っちゃったからタクシーの中で殴られた。「もう帰れ!」ってめちゃくちゃ怒られて、いつもは「ほんとにすみません!」って謝りまくるんだけど、その日は「あ、これ学祭行けるんじゃね?」って思っちゃってほんとに帰っちゃった(笑)

--欲に負けちゃった!

林田 そう。翌日はそのまま学祭の方に行きました。

--無断欠勤!?


林田 そう。その日、充電する暇がなくて充電が無かったんですけど、渡辺さんからめちゃめちゃ電話来てて。飛んだら鬼電するっていうルールがあるから。だから直接謝りに行こうと思って謝りに行きました。そしたら「お前、東大楽しかっただろ」って言われて。

--バレてた!?!

林田 Twitterで「東大にBiSHのリンダがいる」というツイートされてて、バレた(笑)もうその場で事務所の鍵も取られちゃって「帰れ!」って追い出されました。僕も結構な時間謝って粘ったんですけど、ダメで。「分かりました。今までありがとうございました」って出ていこうとして渡辺さんの顔見たら.......渡辺さん泣いてたんだよね。


--えーーーー!!!何その話、初めて聞いたんですけど(涙)(涙)(涙)

林田 なんであなたも泣いてんの(笑)この話は書かないでね。


--分かりました(T  T)(書いちゃいました)


サンカワリクとの出会い


--WACKを辞めた一年後に三川さんと出会った?

林田 そうだね。当時三川がウェブメディアをやってて、僕も色々イベントやってたんで彼に取材をして欲しいと依頼したことがきっかけです。最初は正直普通のITかぶれのイキッた奴だなって思ってたんだけど、やり取りしていくうちに「すごいやつかも」って思い始めて。それで三川が「アイドルを作りたいんです」って言ってたんだよね。彼はコンサルをやってから自分の実績をつくって2020年に盛大にデビューさせたいって言ってたね。

--え!!!じゃあ私、ばなもんになってなかったかもしれないってこと!?


林田 でも僕が「今は誰でも気軽に始められる」って言ったんだよね。その時はアイドル業界から離れてて他人事だと思ってたから、適当にしゃべってた。それからしばらくして三川と飲みに行ったんだけど、急に「アイドル運営やりませんか?」って言われて、まあいっかって(笑)


世界中を感動の渦に


--これからの目標や夢ってありますか?

林田 陽の当たる地中海とかでオレンジ作りたい。


――。。。これからの目標や夢ってありますか?

林田 大学の時からずっと勉強してた好きな学問があって、表象文化論っていうんですけど。それは分かりやすくいうと、「文化っていうのはどうやって成熟して発展していくのか」っていうのを研究する学問で、アイドル文化っていうのも今はかなり過渡期にあるっちゃある。これから面白くなっていく時代になってると思うから。

--逆に?(←つまらなくなってると思ってた人)

林田 うん。分かったのは歌舞伎とか能とかも同じ感じになってんだよ。だいたい一度腐るの。

--じゃあ最近腐ってたんだ。正直腐ってるよな。

林田 結構ね。だから正当に評価されない時代、何が素晴らしいのかっていう価値判断とか価値基準が明確になっていない時代っていうのがある。それは言い換えると「なんでもあり」。なんでもありっていうのが時代によってどう変わっていくのかっていうのを見るのが俺の思ってる表象文化論。例えば、酒飲んで良い、飲んじゃダメ、服脱いでいい、脱いじゃダメっていうのがどう変わっていくのかが見たい。

--ほー。

林田 不器用だけど頑張ってるやつが勝つ世の中が良いと思ってるよ。

--私みたいな人?

林田 そうだね。綺麗事ばっか言うやつが勝って欲しくないなって思うよ。素直に頑張ったやつが1位をとれる世の中が素晴らしいと思うから、そうなって欲しいと思ってる。本能のままで動いててそれが素晴らしいって言われる世の中にしたい。創造的破壊がこれから大事になっていくんじゃないかなって思う。

--ほー。

林田 面白いからなんでもやっちゃえっていうのを増やす。狙って売れようとするアイドル運営って頭悪いなって思ってて。だから「俺はこれに賭ける。これが無理だったら死んでもいい」っていうアイドル運営が報われて欲しいなって思ってる。

--じゃあ三川さんはどちらかというと頭悪いんじゃない?(笑)狙ってるから。(しかも外れるし)

林田 そう、三川の悪い所は狙うとこなんだよ(笑)


--三川さん頭悪いって言われてるよーー!!(笑)


林田 いや、悪いっていうか、彼のいい所は考えないところがいいところなんだよ。あいつは考えるの弱いからやめた方がいいんだよね。


--確かに三川さんは考えを練るのが浅いよね。で、十分に考えられてないまま実行するのがだいたいは失敗で終わるけどまたに良かったりするもんね。

林田 そうそう。発想のセンスとかは面白いから。だから利益とかこうやったらこれくらい売れるっしょって考えてやる運営は滅びて欲しいなって思います。

--なるほど。

林田 面白いからやるっていうのをひたすら実行していくのが創造的破壊。そうなろうね。

--なれるかな〜!!!

林田 アイドル界隈でこれから、「深み」に基づいた文化的発展が起こっていくんじゃないかと思っております。


--で、個人的な将来の夢はないんですか?

林田 ないね。自分に興味無いんで。

--なんで東大に入ったの?

林田 バンドマンになりたかったから。

--(よく分かんない)


【プロフィール】

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林田浩作(はやしだこうさく/運営B)
1994年10月16日生まれ。
福岡県北九州市育ち。
東京大学 理科一類 除籍
現在はアイドルグループTHE BANANA MONKEYSの運営をしている。




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