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妖怪とこびとに出会う夏

川崎市民ミュージアム展示開催中の「なばたとしたか こびとづかんの世界」と「妖怪 ヒト ファンタジーからリアルへ」をセットで拝見してまいりました。

こびとづかん、スキです。(きゃ、告白しちゃったっ)

原画、めちゃくちゃ面白かったです。
印刷より全然キレイで楽しい。

なんてったって、佐藤さとるのコロボックル・シリーズを愛読してた小学生でしたから。
もともと「こびと」は大好きなモチーフなのですが。
こんなふうに料理されると、見ているうちに、子供ゴコロが目覚めてしまうものですね。

しかも、あくまで男の子ゴコロなところがミソでして。
言ってみればこびとづかんって「オチンチン力」が強い(笑)。
なんだか愉快にはみ出てる。
そこがいいんだと思います。

もしかしたら、ママは「恥ずかしいからやめなさい」って言うし。
クラスメイトの女の子は「汚ーい」って言うかもしれないようなコト。
ぼーんと大きなオナラは臭いけど。
そこらにいる虫は危なかったり不潔だったりするかもしれないけれど。
だからこそ面白くって、ワクワクしちゃう。
たぶん、マザーグース風に言うと、男の子はそういうものでできている。
無知で無防備で無作法。
純粋でなければ持てない愉快さ。
本来そういった面白さというのは子供にだけ許されるものではあるのだけれど。
絵本だったら、大人だって楽しめるんです。

というより、むしろ。
子供ゴコロを仕舞って忘れちゃってる大人が見たほうがいい絵なのかも。

・・・というようなことを。
ビシバシに子供をターゲットにした展示会、夏休み前の平日の美術館でひとり考えておりました。
ずばり、貸し切り状態でしたので、堪能しきってしまったですよ。
夏休みに入ったら混むんだろうなあ、子連れで。

しかも、妖怪とこびとのセット企画だなんて、ほんとのほんとににステキです。
実は、スケジュール的に期間中に行くのは難しいかと諦めていたんですが、予定していた仕事がキャンセルになったので、ヨッシャと出かけて良かったです。

妖怪のほうの展示は予想より少々硬めの印象でしたが。
戦時下の妖怪のくだりが面白かったです。
そのうちちょっと調べてみよう。
それから、有名な「件」の剥製がきていたので、だいぶジロジロ見てしまいました。
読本の展示ばっかりなのに、いきなりアレはおお!って感じ。
出会いバナ、ちとビビりました(笑)。

しかも、妖怪コラボ企画の一端で、行った日はたまたま怪談映画の無料放映をやっておりまして。
見てまいりましたよ、化け猫映画。
(午前中は皿屋敷だったらしい。それもよかったなー)
化け猫モノも個人的には好きなモチーフでございまして。
そろそろ新しい味つけで再流行してもいいと常々思っているんですけど。
まあ、それはそれとして。
昔の怪談映画そのものも観られる機会があんまりないので、不意打ちの化け猫には、ちょっぴり興奮してしまった=^・ω・^=です。

帰ってから調べてみたら、1938年「怪猫 謎の三味線」監督は松竹の牛原虚彦でした。
なんと、大儲け。

楽しかったです。
愛猫の皮で作った三味線でベンベラベン、ってな話で。
内容的には当時らしい単純なもの。
設定も当時としては定番の形で。
モダンだったろう演出も今となっては微笑ましい限りですが。
(映画はなんでもそうなんだろうけど)ジャパニーズホラーはやっぱり照明が命ね!と改めて。
暗いだけで怖いもの。
そしてなにより美しい。
見せない演出のための灯りって発想は、色っぽさに通じるような気がします。
あと、なんと言っても、女優さんたちの仕草が圧倒的に着物生活者の動きで新鮮でした(変な日本語だけどそうなんだもん)。
シナの作り方がね、すごい。
みんな竹下夢二なんですよねえ。
あるいは竹中英太郎。
帰ってから久々に画集引っ張り出して眺めちゃいました。
そういえば竹中英太郎の絵は独学で、松竹の映画をスケッチして画風を身につけたって話を聞いた気がします。
うーん、陰影美。
ごちそうさまでした。
(7月中の水曜は怪談映画の日みたいです。興味のある方でしたら、なかなか貴重なチャンスと思いますヨ)

ひるがえって。
なばたとしたか作品にも暗さはあるんですよね。
ポップで明るい色使いにも関わらず。
無邪気を装った毒がちゃんとある。
それを戦略的、かつ上手に演出もしてて、さじ加減がいい。
売れるべくして売れてる人だと思いました。
だって。
もお、なにあのグッズ売り場!!
リアルに罠です!!
可愛すぎー。
子供連れて行くパパさんママさん、ご注意をー。

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