キャラクターの声を演出する (会話体験をつくる vol.5)


今回は、会話体験をつくるために必要な”音声演出”について説明したい。

音声演出とは言葉通り、音声を演出することだ。
わたしたちは、ロボットやエージェントを発話させるときに演出を施している。

実はこれ、非常に重要な要素である。

キャラクターと声でコミュニケーションするとき、その体験の楽しさは音声演出のクオリティーで決まると言っても過言ではない。

なぜ重要なのか? その理由を見ていこう。


ロボットボイスをしゃべるキャラクター

キャラクターをしゃべらせるのに、音声合成を使うことがある。
シナリオの量が膨大なときや、リアルタイムに話したいときなど、人の声を録音しておくのが非現実的なケースではとても便利な方法だ。

音声合成がシナリオのテキストデータを人工的な声に変換し、”キャラクターのセリフ”として発話してくれる。

ただ、この方法にはひとつ弱点がある。
人工的に作られた音声ゆえ、声に抑揚がないものが多く、いかにもなロボットボイスでしゃべってしまうのだ。

実際に聞いていただこう。


わーい
ぼくと遊んでくれるんだね
ありがとう

まあ、悪くはない。

悪くはないが、無機質なロボットボイスのままなので、キャラクター自身のかわいらしさをあまり感じられない。

「ロボットのキャラクター」であればまだいいが、「犬のキャラクター」のセリフだとしたらどうだろう。


「遊んでもらえて嬉しい!」という感情が全然伝わってこない。
キャラクターものを扱う場合、これは非常にもったいない。

アニメのキャラクターに声優さんが声をつけて、より魅力的にするように、ロボットやエージェントなどのキャラクターも音声の力で魅力的にできるのだ。
同じセリフでも、演技によって伝わるものが違うことは誰もが知っているだろう。


音声演出を施してキャラクターの感情を豊かに

そのため、わたしたちがキャラクターをつくるときは、より魅力を引き出せるよう”音声演出”を施している。

音声演出を端的に説明すると、音声合成の声の高さや速さを調整し、声に“芝居をつける”ことだ。



演出家が舞台上の役者に芝居をつけるように、キャラクターの演技を“演出”しているのだ。

演出済みの声をユーザーが聞くと、先ほどのように「感情がないロボット」ではなく、「ニコニコしたキャラクターが楽しそうに話しかけてくれている」ように感じるはずだ。

では、先ほどの音声に演出を施してみよう。



わぁーい!
ぼくと遊んでくれるんだね
ありがとうー!

どうだろう。

先ほどのロボットボイスが、生き生きと変化したように感じられないだろうか。
飼い犬のポチが、遊んで欲しそうにはしゃいでいる光景が目に浮かぶ。

そうだね。ポチはフリスビーで遊びたいんだよね。
よしよし、今から遊んであげるからね。
ポチはなんてかわいい子なんだろう。ペロペロ。

ペロペロペロ。

ペロペロペロペロ。

ペロペロペロペロペロ。

ペロペロペロペロペロペロペロペロ。

ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ。


音声演出の目的

ポチのペロみを高めること以外にも、演出のメリットはある。

わかりやすさだ。

「ペロみ」と「わかりやすさ」。この二つの視点が、音声演出を考える上での軸となる。どちらをより優先させるかは、プロジェクトの目的によって変化する。たとえば、そのキャラクターに何をさせたいか。

どんな風に意図を待ち受けるか。

こうした軸に基づいて、「しゃべりかた」が決定される。

音声演出のまとめ

最後に、音声演出についてまとめると、

音声演出とは、キャラクターをより魅力的に見せ、かつ、よりわかりやすく物事を伝えるため、音声合成の高さや速さを調整し、“芝居をつける”こと。

である。
大事なことなので、この一文だけでも覚えて帰るように。

音声演出についての知見は、まだまだある。資料の一部をチラ見せすると、こんな感じ。

今後もチマチマ共有していきたい。

さて、次回の記事についてだが、われわれはとてもパンクな集団なので、まだ何について書くか決まっていない。
おそらく、会話体験についての何かしらの記事を書くと思うが、どんなことが書かれるかは、6月までのお楽しみということで。

それでは、ごきげんよう。


(文:牧 詩織)

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