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ブラックマヨネーズの「正直」を貫く覚悟

2023年4月5日放送のテレビバラエティ番組「あちこちオードリー」、ゲストはブラックマヨネーズ。本当に素晴らしかった。

二人のコンビ結成譚に始まり、二人の漫才が覚醒したきっかけの話、M-1優勝、そして家族ができてからのライフスタイル、最後に今後の話。吉田さんも小杉さんも、本気の言葉を、カメラの前で公然と交差させる。

言葉は真剣だが、それでいて、二人が盛り込む絶品のユーモアが、番組をバラエティショーとしても成立させる。めいっぱい笑えたし、心も掴まれて、最高の1時間だった。まさに「裸のトークバラエティ」の真骨頂だ。この空気にリードした若林さんのMC術に拍手したい。

番組中、若林さんは、ブラマヨの二人の関係を「最高のコンビ」と称え、ひたすら羨ましがっていた。私は漫才師ではないものの、その気持ちだけは分かる。相方と、あれだけの相乗効果を生める関係。羨ましい。

番組中、二人の目線は、何度も交わっていた。お互いをしっかりと見ていた。過去、この番組に出演した漫才コンビのなかで、視線が交わる回数は、おそらく最も多かった。ブラマヨの二人の姿には、互いへの「正直」を貫く覚悟を感じた。ブラマヨの二人は、互いを慮っていて、だからこそ相手と真剣に向き合うことに躊躇がないのだろう。長いコンビづきあいで、本当は、互いに照れや、苛立ちや、失望だってあるはずだ。でも、それを乗り越えて正直に接しようとしている。

そして彼らは、観客に届ける漫才も、正直だ。本人の思想の延長上にあるものを漫才に加工し、観客に届けて、それで笑いを取っている。一貫性がある。嘘がない。

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さいきん、絆や孤独のことを、考える機会が多い。

仕事上の仲間とのあいだに、これまでなかった新しい信頼関係が芽生えた瞬間や、逆に、付き合いの長かった仲間が静かに去っていく瞬間に出くわすたび、つい考えてしまう。

※会社員にとって、この時期は、人の入れ替わりが多い時期だ。それもあって、考えざるを得ない。(番組サイドは、それすら計算しての、このOAタイミングだとしたら驚きだが、さすがに偶然だろう‥)

本当の絆は、徹底した正直さから生まれる。他者との摩擦や衝突を避けて、本気で他者と向き合うことを避けていくと、一時的な平穏は得られるかもしれないが、相互理解へのチャンスは失う。そして最終的にはむしろ、自らに孤独を招いてしまう。

常に真剣で、嘘がなければ、たとえ万人に好かれることはなくても、きっとたった一人の相方との絆は深くなる。一部の観客は、その正直さを愛してくれる。私も、いま残ってくれている仲間と観客には、今後も正直であろう、と思う。

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