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CivicTechのプロジェクトを成功させるために心がけていたこと

これは CivicTech & GovTech Advent Calendar 2023 23日目の記事です。

2人目不妊を経験し体外受精で2人目を授かったことから、出産後、育児休暇の合間をぬって、医療機関ごとの体外受精の治療成績を可視化する取り組みをしています。

このプロジェクトについて、某新聞から取材を受けましたので、近々記事になると思われます。全てのCivicTechのプロジェクトがメディアに取り上げてもらえるわけではないので、”成功”の定義にもよりますが、本プロジェクトは比較的成功したプロジェクトと言えると思います。
以下で、このプロジェクトを成功させるために、個人的に心がけていたことを3つほど紹介したいと思います。

モチベーションを維持するために

育児や仕事などに忙しい現役世代が、金銭的に報われるわけでもなく、無名かつユーザー数極小のプロダクトの開発を継続して行うことは、決して容易ではありません。
こどもや家族が寝静まった後1人で黙々と開発するのはなかなか気持ちが続かないと思いました。かといって、面倒を見なければいけない赤ちゃんもいますから、ハッカソンなどに参加して、短期集中で作るのも難しいです。
そこで、CivicTechに興味を持つ人が集まっている一般社団法人コード・フォー・ジャパンのSlackワークスペースに加入し、体外受精の治療成績を見える化する意義について語り、プロジェクトのメンバー集めをすることにしました。
結果からいうと、Slack加入は大正解でした。メンバー募集の過程で、本プロジェクトの重要性について、自分でも改めて認識できましたし、本職がデータサイエンティストでフロントエンド力が足りない自分よりずっとフロントエンドに詳しくて一緒に開発してくれる仲間もできましたし、Slackに細かく進捗を報告するたびに、開発はできないけどスタンプをつけてくれる応援してくれる人もいたり、結局採用には至らなかったのですが、デザイン案も作ってくれる人もいたりして、育休中の自分の暇つぶしに付き合ってくれる人が結構いるんだ!!!と、Slackでチヤホヤしてくださる人々のおかげでなんとかモチベーションを保ち続けることができました。夜パソコンを開いたときに、Slack上で知り合った方が労力を割いてPRを作ってくれた通知が届いてなんとか自分も一つでも二つでも今日開発しとこ、という気持ちになれました。
同時に、CivicTechのプロジェクトは開発リソースをたくさん投入しても誰にも見向きもされないプロダクトができる可能性が高いわけで、プロジェクトが注目されて、世の中がいい方向に変わる可能性が1%でもあるならやってやる、というくらい、自分にとって譲れない大事なテーマを選ばないとうまくいかない気もしています。本プロジェクトで集まった仲間の多くが、不妊治療の経験者だったというのは決して偶然ではないでしょう。

公開データがないといって諦めない

データサイエンティストを職業としているのであれば、今存在するデータ or 容易に作成できるデータからよい機械学習モデルを作ることが評価されますが、CivicTech界隈では、公開されているデータがないのならば、データを公開してもらう方法を考える、というスタンスで望むのが大事だと思いました。
本プロジェクトも、可視化に用いることができるデータが古いものしか見当たらないという問題が当初はあったのですが、自治体の担当者に電話したり、地元の代議士さんにメールでお願いしたり、久しぶりの同窓会や結婚式、Discord上のコミュニティなど、普段話す機会がない人と会ったら、とりあえず本プロジェクトの意義や必要なデータについて語るというアグレッシブなスタイルを貫くことで、巡り巡って、なんとか必要なデータのありかに辿り着けたという経緯がありました。

作るだけでなく宣伝も大事

ある程度CivicTechのプロダクトができてきたら、宣伝も大事です。待っていてもユーザはやってきません。そもそも知名度ゼロのプロダクト、宣伝用のXアカウントも育休に入る半年前に作った無名アカウントですから…
いくつか不妊治療の当事者がフォローしていそうな比較的有名なXアカウントに絡みにいきましたが、今のところ返信はもらえていません(笑)。得体の知れない無名アカウントですから、返信をくれる人の方が変わっていると考え、あまり気にしないようにしました。先述した地元の代議士さんにも、OKしてもらえないかも知れないなと思いつつも、メールでプロジェクトについて説明し拡散に協力いただけないかお願いしたら拡散してくれました。
並行して、いくつかの新聞や雑誌の情報提供の受付先に情報提供をしました。おそらく返信が来ないだろうと思いつつも、毎日メールボックスをチェックして忘れかけたころに記者さんからメールが来てびっくりしました。
今回の経験を通して、全般的に、Xアカウントでメンションつけてリプライを飛ばすよりも、適切な宛先にメールを送った方が、本気に受け止めてもらいやすいのかも知れないと感じました。

まとめ

以上、簡単ですが、育休中に取り組んだ体外受精の治療成績を可視化するCivicTechのプロジェクトを振り返ってみました。2024年3月末の育休終了までは、可能な限り開発を続けていきたいです。civic hackerさんからのpull requestやissue作成などのcontributionsも大歓迎です。GitHubのorgはこちらになります → https://github.com/code-for-future-moms/


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