たましい替え
先日、古い友人がこの話を思い出させてくれた。
友人はこのエピソードが忘れられず、私の原点というか、私がこれから行う仕事に強い関係があるのかもしれないよと、なぜか涙を流して話してくれた。それを聞いて、私ももらい泣きしてしまったのだけど、その涙の意味が今はわからない。きっといつかわかる日が来ると思うので、それまでの楽しみだ。
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私の親友というか、心の友というか、多分、命尽きるまでの付き合いだと思っている友がスペインに渡ってから、かれこれ15年の月日が経った。
いつだったか、先住猫のヌーヌーとモアさんがまだ生きていた頃。彼女が日本に一時帰国して私の家に1人目の子と一緒に泊まっていた時、もう歳も歳なんだけど2人目の子供が欲しいと言った。そして彼女にヒーリングをしたのだが、こりゃあ出来るなと直感で感じていた。
その翌年の暮れ、先住猫のヌーヌーが18歳の誕生日に旅立った9日後、私と同じ誕生日に、2人目の子が地球に誕生した。ヌーヌーの生まれ変わり?と友人は言っていたけど、それはない、と伝えた。
お子の名は、彼女が尊敬する有名な映画監督の名をとったのだが、それは私の父と同じ名前だった。私と同じ誕生日で、私の父と同じ名前。。。何だろう、この繋がりは。。。
産まれてすぐの写真が送られて来たのだが、『あれ?』と思うくらいに哀しいエネルギーだった。生まれた直後なのに。。。何だろう、この感じ。でも不思議と私には親近感があって、可愛いと感じるのだ。
「長男は生まれた時から可愛い可愛いと言われていたのに、この子は見た目が可愛くないから家族みんなから可愛いと言われないのよ。」
あぁ、そうだったのか。この哀しいエネルギーは、それも要因なのかもしれない。それだけじゃないけど、存在を認めてもらえてないことをわかってるんだな。。。すごいな。
とにかく私は、彼女に彼の可愛さをアピールしていた。怪獣みたいだけど、いや、前世怪獣だったこともあると思うけど、多分私も怪獣だったから同じ星に居たことがあるから私が彼に共鳴してるのだと思うけど、とにかく私だけが可愛いと言っていた。何かと可愛いと言い続けていたと思う。
生まれてから1ヶ月後くらいだったか、彼女から緊急連絡が入った。
「次男の容態が急変して緊急入院した。意識もなくて危篤状態で今夜が危ないと言われている。emuちゃん、助けて。ヒーリングで何とかならない?」
びっくりしたが、そうするよなと感じたこともあり、
彼女に返信した。
「わかりました。ヒーリングをします。でもこれは理解しておいて。ヒーリングは延命をする行為ではないし、コントロールすることではないから、私にできることをやれる限りする。彼がこちらに留まるか還るのかは彼の選択だよ。」
「わかった。任せる。」
それから2週間くらいだったか、私はずっと彼の魂と対話をしていた。もちろんパタンナーの仕事もしつつである。パターンを引きながら、料理をしながら、自転車に乗りながら、お風呂に入りながら、寝たら夢の中で、彼と交信をし続けた。彼の方が離れて行くことはあったけど、私から途絶えることはしなかったし、離れたら私の元に連れ戻して対話を続けた。
彼の魂はとても聡明で理知的だが、あらゆる哀しみと絶望を抱いていた。どんな言葉もブラックホールに吸い込まれて行く。
2週間の間に、危ないと言われる時期が何度かあったのだが、魂との対話が離れる時と危なくなるタイミングが合っていた。
お互いが疲れてきていた。もう限界まで来たのかもしれない。いくら対話をしてもブラックホールに吸い込まれて行く。
突然『もう還る』と次男の魂が言い残し、フッと消えた。
私はハッとして『ちょっと待てや!勝手に還るな!』と叫んでいた。
私は幼少の頃から意識をなくして倒れることが度々ある。そのため意識を失ったときに行くつく場は知っていた。人によってはそれを幽体離脱と言うのかもしれない。そこは真っ暗な所で、とても居心地が良い場だ。意識を失ってあちら側へ行った時には、こちら側に戻りたくないと必ず思うし懇願するのだが、あちら側のエネルギーから『還れ』と言われてしまい送り返されてしまうのだ。まだ還る時じゃないから、とのことである。そんなことが何度も何度もあるので、魂の行く道を知っているようだ。
消えた魂を見つけに行く。行くしかない。何だかわからないのだけど、知っている道を行く。どんどん進んで行って、ぐんぐんと吸い込まれて行って、私も戻らないかもしれないな。でもまぁそれはそれで良いか。元々こちら側に戻りたくないのは私だ。
大きな空間が広がる処に無数のエネルギーが漂いぐるぐると回っていた。彼の魂がどれなのだか、もうわからない。もうわからないのだけど、これだ!と思うエネルギーをキャッチしたら、対話の場に戻っていた。もう大丈夫。私も一緒に戻って来た。戻っていた。
同時にスペインからも連絡が来ていた。
「一時本当に危なかったけど、ようやく山を越えたみたい。」
それから程なくして彼の意識も戻り、身体中に付けられていた管も外してもらうことができて、一般病棟に移されたのだが、原因が不明すぎて病名が判明しないと言っていた。ただ、回復した。
その後、彼が1歳になる頃、彼女が子供たちを連れてまた我が家にやって来た。1歳の彼は見違えるほど、珠のような可愛らしい子に育っていた。今では家族みんなからも可愛いと言われ、愛されているとのことだった。
スペインのお子たちに会った半年後、先住猫のモアさんも天に召された。
感謝してもしてもしても感謝している先住猫たち。あの時の私を支えてくれてありがとう。愛してるよ、今も、いつまでも。
私が行ったヒーリングは何だったのか。それはもしかしたら魂を変えたのかも知れない。しかしそれはしようと思ってできることではないし、証明するものもない。ただ全ての宇宙のタイミングが合って、彼と彼女との深い繋がりがあるから行えたヒーリングなのだと思う。
彼が大きくなったら、いつかこの話を話したい。
それはまたいつかのお話。
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