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順応力は没入感にも臨場感にも勝る|ジェミニマン

ジェミニマンを観てきました。が、本記事は内容よりもハイフレームレート3D+なるものを試してみたというお話。

「キャプテン・マーベル」などでも観られるように、今やCG技術を駆使して若かりし頃の俳優たちを登場させることも可能な時代です。「スターウォーズ ローグワン」や12月が待ち遠しい「スターウォーズ9/スカイウォーカーの夜明け」に至っては、故人となったレジェンドたちをフルCGで登場させることも実現しています。

で、この度公開となった「ジェミニマン」で、上記記事を先に読んだものだから、どんなもんかと思って選んでみたという次第です。

最初は勘違いから

予約時に「メガネを購入/持参」という選択肢があり、なんかVRヘッドセットみたいなのでも使うかと思っていたら、入場時渡されたのは薄いメガネ。

あ、。。そうか、基本は3Dなんですね😂 そもそものイメージが、サウンドのポストプロダクション(音響編集)で、普通の録音が空間の広がりや奥行きも感じられるほどの豊かさを持つように、映像もなんかそういう特殊?な処理をしているのだと思っていたことにここで気がつく。よくよく考えてみれば、HFRなんて略語でみてたからなんか新技術かと思ってたけど、改めてハイフレームレートって言われたら、一眼レフで取れる動画にはすでに導入されてるやつでしたね(これは気づいたのは鑑賞後)。60fps、あ、はい。そうでした。言葉の意味を全く考えていなかった。。。

まあいいや、ともあれ、鑑賞開始。

3D映像を観るときの感覚

まず、最初のクレジット文字が浮き上がってたり、星空の宇宙の真っ黒空間がさらに漆黒の闇みたいな感じになってたりするのを確認。
3D鑑賞自体がだいぶ久しぶりだったこともあるので、ここまでは従来の3D映像と同じかもしれません。もともと左右の視差に基づく立体視というのが実は苦手なので、かつての3Dでは立体感なるものがそもそもあまり感じることがなく、ゆえに好きにはなれませんでした。が、かつての記憶と比べる限り、今回のはものすごくクリアです。まず基本の立体映像技術が相当レベル上がってるんですね(確か「攻殻機動隊」映画版あたりで3D観たのが最後だけど、それからさらに何年も経ってるんだから当然か)

よく3D映像の謳い文句に「飛び出す!」という言葉が使われるけど、実際は逆で、例えば卓上でガラスや透明アクリル板越しに箱庭を上からのぞいて、本来の奥行きはせいぜい数センチのはずのところが1mぐらいありそう、という説明の方がいいかもしれません。映画館のスクリーンな訳だから、スクリーン自体が物理的に平面な訳だけど、スクリーンエリアだけぽっかり穴が空いてて、その奥の空間で映像の中身の車とか道とか人とかがあたかもそこで実際に動いてるかのように見える。舞台劇場で演劇やオペラ、バレエをみる感覚でもいいかも。目の前の「空間」で登場人物たちが舞台装置とともに演技をしている気分。間違っても、自分の目の前に花束やテープ、紙吹雪以外のブツが飛んでくることは、まず、ない。
(よほどの演出で、わざと俳優たちが客席に登場するのでなければ、舞台でそれあったら重大な事故ってことです...)

順応力

で、そういったところを楽しみつつ、最初こそメガネ着脱繰り返して、映像の作り、自分の目の感覚など、諸々の差異を確認してみたりもしていたのだけど、話が進んでいくにつれて

   あ

っという間に慣れてしまったのです。後半はもう3Dで観ているという感覚すらなくなりました。

つまり、結果としてHFR-3D+としての効果はよくわからず😂

話に集中していたから=没入していたから、という説明はまあできるかもしれませんが、アレですよ、どちらかというと、テレビがデジタル映像になった(コンポジットからDVI、アナログ放送から地デジ移行したときの二段階)ときとか、自宅に50-100インチクラスの大画面TVを導入した時なんかと同じ。切替直後はあんまりよくわからなくて、改めて旧式で映したらその差にびっくりするというヤツです。きっとその差に気づくことさえできれば、あとは最後それで二度と元には戻れない...んですかね。。?

というわけで、つまり、ちゃんと通常版と見較べないとなんとも言えない。
少なくとも筆者の場合は、没入感より、順応力の方が勝ってしまった可能性の方が高いです。

てことで、もう1回(通常版で)観に行こう!

と言いたいところですが、さて本作を2回観たいかなぁ。。
(作品の良し悪し以上に、そもそも2回観る自分フィルタがかなり分厚い)

内容についてはまた後日。

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筆者が音楽情報科学の研究者なので、音楽・サウンド周りの表現・演出の視点で書くことが多いです。まずは継続執筆を目指しているので、当面はほぼ全文が無料エリアですが、音楽・サウンド表現についての話を読みたい方はぜひ購読の上、ご自身の参考になさってください。

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