日本でのベーシックインカム導入に思うこと

以前、『国のレベルと「レベルを上げる条件」』で書いたことと関連しますが、私は日本でベーシックインカム(最低限所得保障の一種。例えば国が全ての国民に毎月一定額、10万円とかを無条件で支給する)をすることにより、現状のレベル6社会の日本人のストレスを緩和できると考えています。

ですが、「諸手を挙げて賛成」というわけではありません。

どういうことかと言えば、ベーシックインカム導入により、
そこに安心・安全・安定を見いだして、日本人がそれ以上何もしないことが予想されるからです。

日本人は、エニアグラムのタイプ6の国民性だと言われています。
タイプ6は安心・安全・安定が大切で、これが損なわれるとストレスを感じます。

ですから、ストレス緩和のためにベーシックインカムは有効だと思うのですが、
先にも書いた通り、ベーシックインカム導入で、安心・安全・安定が(ある程度であっても)満たされると、そこに安住して、そこから出ない人が現れる可能性が高いと予想しています。

これだと、日本の停滞は止まりません。ゆるやかに滅びることを止められません。ここが悩ましいところです。


もしも、クールジャパン(この表現がすでにダサくなっているという話もあるそうですが・・・)が本当で、アニメーションに外貨獲得の力があれば・・・ですが、

ベーシックインカムと安心・安全・安定の話から、少し話はズレるかも知れませんが、
アニメーター・マンガ家などを支えるための、そういった金銭の補助が有効かも知れないとは思います(研究者含む)。

参考
日本のレベルが落ちている原因


追記
書いてしばらくたっての感想です。

・ 刑務所を出所した人が、自由になった後の生活が辛いので、軽い犯罪を犯して刑務所に戻って行くという話を聞くと、
「その人にとっては刑務所が安心・安全・安定の場になっているのかも知れないな」という感想をもってしまいます。
日本のタイプ6社会では無理して生活の向上を図ったり、頑張って真人間になるよりは、不満はあっても住み慣れた生活を続けるほうが安心・安全・安定で重要なのでしょう。

・ 『国のレベルと「レベルを上げる条件」』を読めば分かると思いますが、アメリカの「レベルを上げる条件」は、コストがかかりそうです。それに比べて日本の「レベルを上げる条件」は安いコストだと思いました。
日本のレベルを安定させたり緩和させるのにかかるコストはアメリカよりは安いと考えてもよさそうです。

・・・という感想をもっていたら、内田樹がすでに書いていました。

著書の中で、

たしかに、「私はすぐれた人間である。それを認めて、私をもっと尊敬しろ」というようなことを言い立てる人間ばかりでは、世の中住みにくくて困る。
アメリカ社会の「人間の価値は年収で判定される」という価値観のせいで、どれほどの成員たちの心が痛めつけられているか。傷つけられた人々が切望する「癒し」のために、どれほどの社会的リソースが蕩尽されているか。

と、アメリカを語り、

ふたりで六畳一間のアパートに住み、発泡酒を呑みながらTVでサッカーを見て、たまの休みの日には甲子園球場の外野席で阪神戦を見て、帰りにラーメン屋に寄るだけで「ほっこりしあわせ」というような
「ダメだなー、おれは」といってへらへらしている若者のおかげで社会的リソースの競合的争奪は緩和されており、マーケットがシュリンクしている時代においては「ダメである」ことは総体としてはクレバーな選択である。

と、日本を語っていました。(実は、この後に苦言が入るのですが・・・)

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