なぜ口が出せないのだろう?なぜ会話できないのだろう? 世界のコミュ障、日本人

 表題の通りの疑問について書きます。東芝、サッカー、政治経済の話です。
 最終的には、タイプ6で説明できるとは思っているのですが、安易にその結論は出したくは無いなという話題です。

 日本人は、なぜ口が出せないんでしょうかね。なぜ会話できないのでしょうかね。そんな話を集めてみました。
 以下、引用していきます。

その1. 東芝問題をあつかった記事から

バブル期と同じ構図 カネは出しても口は出せない日本

 この構図はかつて経験した記憶がある。1980年代、日本がバブル経済に酔っていたころだ。
 企業は米国など海外でビルやゴルフ場を買いまくった。ニューヨークのロックフェラーセンターやカリフォルニアのペブルビーチゴルフ場。羨望のまなざしで見ていた優良物件を法外な値段で買い漁った。バブルが崩壊すると二束三文で手放し、カネを米国に撒き散らして撤退した。
 金融の国際化が囃され、海外案件に融資するのが新しい金融と考えた銀行は買収を後押した。
 ゴールドマン・サックスといえば、政権に人材を送り込み、今や世界最強の投資銀行と言われるが、当時は苦境にあった。
 支えたのが住友銀行だった。株を引き受け資本提携したが経営に関与することはできなかった。カネだけ出す「沈黙の株主」で、ゴールドマンが立ち直ると提携は解消された。

 ウエスティングハウスはゼネラルエレクトリック(GE)と並ぶ米国原子力産業の双璧だ。スリーマイル島の事故から逆風にさらされ、売りに出されてWECを買ったのが東芝だった。
買収しても経営の実権は握れなかった。一種の治外法権、本社の眼が届かなかい米国事業でとんでもない損失が生じたのである。

東芝が沈んだ原発の泥沼は産業政策の失敗が生んだ』より

 「カネは出しても口は出せない日本」このタイトルが全てですね。

 追記です。東芝問題では、2017年3月13日の
『東芝存続には、WHの“破産”以外に道はない(小笠原 啓:日経ビジネスオンライン)』
では、こう書かれています。

 ただし建設工事におけるコスト超過の問題は、東芝の原子力部門では4年前から周知の事実だった。2013年にWHが単体赤字に転落したことからも明らかだ。だが、東芝経営陣はこの問題にメスを入れられなかった。「半ば独立国のように振る舞うWHを、東京の本社が制御できなかった」(東芝幹部)からだ。
(中略)
 ところが計画は上手くいかなかった。「WHは東芝の介入を嫌がり、都合の悪い人材を片っ端から断ってしまった。結局、派遣できたのは10人程度だった」(原子力部門の元幹部)。さらに「日本と米国では工事のやり方が異なると主張し、改善提案が聞き入られることはなかった」(同)という。

 やはり、分かっていたのに、口が出せなかったようです。
 それと、交渉・説得ができないのは、次に出てくるJリーグの話ともつながっています。


その2.Jリーグの日本人監督が半分に減った話

ロジカルに物事を考え、説得していくことの大切さを思う。(日本サツ力—協会会長・田嶋幸三)

 93年にJリーグが10クラブで発足した時、8人いた日本人監督は、95年には14クラブに増えたのに4人に減りました。
当時の川淵三郎Jリ—グチェアマンに「指導者養成を見直せ」といわれ、日本人監督に問題点を聞いて回りました。
浮かんだのが大物外国人選手に強く出られない弱さでした。
日本リーグ時代の監督と選手の関係は職場の上司と部下であり、外国人選手のように面と向かって「この練習の意味は?」などと聞いてくることはなかったのです。
 論理的に考えを整理し自分のやり方を自信を持って説明する力はどうすれば養えるのか。参考になったのが北岡俊明さんらのディべー卜に関する本でした。コーチの資質向上のため、96年にJリーグと共同で筑波大に寄付講座を開いた際にはディべートの講義も設けました。日本人監督の選手を説得する力は今ではかなりのレベルになったと思います。

日本経済新聞 2月5日 読書欄 日本サツ力—協会会長・田嶋幸三氏 の話より抜粋

 サッカーでは解決したということですかね。。。

 もしも、日本の柔道、剣道、野球などで、「この練習の意味は?」と聞いたら何と答えてくれるのでしょうかね。というか、解決したのは(文化が変ったのは)Jリーグだけで、学生の部活は解決したのでしょうかね。


その3.日本の政治家や企業トップが海外の代表と会話できていないという話

池上 彰(いけがみ あきら)x 上田 紀行(うえだ のりゆき)対談より

上田:
(略)・・・なぜそう思うかというと、池上さんが以前教えてくださったエピソードが頭の中に残っていたからです。
池上:どの話でしょう?
上田:日本の政治家が海外の国際会議の会場やパーティでどうしているのか、という話です。
池上:ああ、あの話ですね。日本を代表して出席している政治家は、大概の場合、端の方にぽつんと座っていて、各国の代表とまったく会話をしていないんですね。パーティのときもそうです。
上田:
英語ができないから、じゃないんですか?
池上:その側面もあるかもしれませんが、本質的には語学の問題じゃないですね。そもそも「会話」に加われないんです。なぜかというと、各国を代表してやってきた政治家たちと語るべき「コンテンツ」を持っていないから。言い換えれば「教養」がないんですね。企業トップでも同じようなことが起きるんです。自分の持ってきた仕事のプレゼン用コンテンツ以外に、会話の中身がない、というわけです。


MITは「理系バカ」が役に立たないと知っている(日経ビジネスオンライン)』より

 タイプ6のコミュニケーション能力は、日本の中に限って言えば、最強なんです。
 そして、組織のトップにつく人は、そんなタイプ6社会でのコミュニケーション能力は・・・、ないわけがない、ある人たちなんです。少なくともコミュ障では無いんです。
 でも、なぜかこれが外国を相手にするとコミュ障になるんです。
 国際「ぼっち」では、議論の形成に取り残されます。
 これ、国益の問題でもあります。

参考
コミュニケーションのやり方は多数決で決まるので

2017/05/11追記
 その3のエピソードと関連して、
『言葉を育てる 米原万里対談集』西木正明氏との対談より
米原万里さんは、ロシア語通訳のかたです。子どもの頃の一時期、プラハの学校で学んでいることもあって、少し日本人離れした意見を言うかたです。

西木 日本の政治かなんかで、言語明瞭意味不明というのが結構いるでしょう。
米原 いや、ほとんどがそうです。それより、私は本当に日本の恥部だと思うんだけど、向こうの要人が尋ねて来るとか、こちらから行くとなると、あらかじめブリーフィングといって、大臣とか政治家とか、その関連の役人が集まって、通訳も入れて、相手国についての学習をやるんです。スピーチや発言要領も全部役人が書くわけですよ。大臣はそれを渡される。大体政治家っていうのは大臣になっただけで嬉しいという人が多くて、自分で考えてものを言う人はほどんどいない。役人が書いた台詞を読むだけの俳優のようなもんです。その台詞をメモすることさえ自分でしない。東大の法学部あたりを出た優秀な秘書官が全部まとめてメモ用紙をつくって差し上げる。国際会議に出かけるとなると大臣の鞄持ちがいて、ブリーフィングしたときのメモ用紙は秘書官が持つ。大臣のメガネはまた別の秘書官が持つ。さらに国際会議だったりすると、英語、フランス語、ロシア語などの各言語の通訳者がついて行く。式次第(=式の進行の順番)などが事前に分かっている会議だと、それでもいいのだけど、パーティーなどだと、突然、どこかの国の大臣がパッとやって来て、話かけてくる。こちらの大臣も何かいわなくちゃいけないんだけども、語るべき言葉を持っていないわけですよ。それでもう慌てちゃって、あっ、あれ、あのメモ、メモはどこへいったって大騒ぎになる。パーティーがイモを洗うような状態だとメモ用紙係がはぐれちゃったりするわけですよ。それをみんなで手分けして探して連れてくる。で、メモ用紙が着いたところで、今度はメガネ、メガネはどこだとなって、メガネ係がやって来て、ようやくメモ用紙を読もうとすると、もう相手はいない。
西木 そういう話は僕も知らないわけじゃないんだけれど、それじゃ、あらかじめ用意された想定問答集以外の話を相手が持ち出したら、どうにもならない。
米原 だからといって自分の言葉で喋ったら、訳したら知能とか常識を疑われるようなことをいきなり言い出したりする。
西木 そういう場合、何かつくって話をするんですか。
米原 いや、そのときの私の心理は複雑なんです。そのまま訳してお粗末さを伝えたいと思う反面、やっぱりね、ナショナリストになるんですよ。
西木 その瞬間ね。
米原 ええ、瞬間的ナショナリスト。こんなこと訳したら国辱ものだと。それでどうせ本人には分からないんだから、通訳としても言葉が出ていればいいだろうと、(略)そういうどうでもいいことをいったりするんです。

2020/07/27
今、読み直すと読みにくいですね。
題名はそのままに大きく書き直したほうが良さそうです。
いつかやるかも。

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