「波取り記者」と「記者クラブ」(エニアの話では無いです)

 『NHKの小池氏と元TBSの(レイプ疑惑)山口氏 ふたりは「波取り記者」?(エニアの話ではないです)』を書いていて、追記が多くなりそうになったので、ここに分けて書きます。

 「波取り記者」の歴史は、記者クラブの歴史とある程度重なっているようですね。
 記者クラブという場を通じて、官僚や政治家と癒着・一体化しているようです。
 「太いパイプ」という表現がありますが、なんだか「へその緒」が切れていない状態でつながっている感じです。

 2016年4月19日、国連の特別報告者、デビッド・ケイ氏が、暫定的な調査報告を発表し、外国特派員協会で記者会見を行いました。

 「ジャーナリストの役割は権力監視(ウォッチドッグ=番犬・監視人)と位置づけられます」とデビッド・ケイ氏は言っていますが、日本ではジャーナリストという肩書の「波取り記者」がいます。
 この「波取り記者」を意識して見てみると会見内容も少し違って見えてきます。

記者クラブ制度は廃止すべきだと思います。記者クラブはアクセスを制限するツールになっています。記者クラブに参加している人だけの「アクセスジャーナリズム」を促進しており、調査ジャーナリズムを制限しています。結果、メディアの独立を妨害しています。

 ここでアクセスジャーナリズムの説明を入れます。

 アメリカでは「アクセスジャーナリズム」といわれて、悪いジャーナリズムの見本とされています。権力にアクセスする、つまり権力に食い込むことにばかり熱心になった結果、記者がインナーサークルに入ってしまうわけです。アクセスを得て情報をリークしてもらう見返りに、権力に都合の悪いことは書かないのです。

佐々木俊尚×牧野洋「『当事者の時代』とジャーナリズム」対談 第2回』より

 元の話を続けます。

記者クラブ制度そのものが大手主流メディア、そして政府に都合がいいものです。クラブ加盟社は記者会見ですぐに質問に答えてもらえるし、大臣などのオフレコ懇談は定期的にあると聞いています。よりオープンなディスカッションは限られ、オフレコのメモや議事録は公開されません。メディア内の一部で回覧されていますが、情報へのアクセスを弱体化し、市民の知る権利を制限しています。
放送の置かれた立場から言うと、権力者からの独立性が法律的にあいまいです。特に放送法4条に「政治的に公平であること」と書かれています。これは法律上の義務と解釈できます。174条を見ると、4条違反があれば、業務停止を命じることができます。停波の可能性も含め、大きな懸念です。放送法そのものが政府の規制を許容しているからです。ジャーナリストからも「過去にこの条項が実施されなかったとしても、罰が下された事実がなかったとしてもやはり脅威だ。強くメディアの報道の自由を行使することができなくなる」との意見でした。放送法は改正し、4条を削除する必要があります。政治的公平性を判断することは非常に大きな議論が必要ですが、政府がコントロールすることであってはなりません。独立性のある第3者機関が管理すべきです。政府が直接、規制を放送に及ぼしてはなりません。
活字メディアでも、やはり同じような圧力を感じていると、面会したジャーナリストが話しました。経営者が非常にあいまいな意思表示をする、つまり「デリケートな記事はそもそも書かないようにしよう」、あるいは「少なくとも政府を厳しい立場においやることはやめよう」ということがあったと話す人がいました。民主主義でメディアへの攻撃が起きるのは普通、緊張感も普通であり、むしろ健全なことです。メディアの皆さんは独立性が求められています。ただしジャーナリズム、メディアの構造そのものが、ジャーナリストに独立性、政府からの反論を許容していません。「記者クラブ」というシステムについても勉強しました。メディア企業の経営幹部が政府高官と会っているという話を何度も聞きました。
皆さんがよりプロフェッショナルな組織となるべく、メディア横断の組織を設立し、結束力を体現する組織をつくることを強く奨励します。プレス会議、委員会、理事会と、プロのメディア集団の横断組織として結束して、政府への独立性を強化するのです。

国連「表現の自由」特別報告者「懸念は深まった」記者クラブ廃止など提言【発言詳報】(2016/4/20 吉野太一郎 ハフィントンポスト)』より

 ちなみに、デビッド・ケイ氏は、高市早苗総務相の行政指導や国会答弁で問題になってきた放送法について、
「政治的に公平であること」などの番組編集基準を定めた4条の削除や、
政府から独立した放送監督機関の設置も提言しましたが、
当事者である放送各局は、放送法に関する2つの提言をどこも報じていなかったそうです。

「記者クラブ廃止」「独立機関設立」…国連特別報告者が提言 大手メディアはほぼ無視(2016/4/26 楊井人文 Yahoo!ニュース)』より


 電波利権からの長い癒着があることを考えると問題の根は深そうですね。

参考
NHKの小池氏と元TBSの(レイプ疑惑)山口氏   ふたりは「波取り記者」?(エニアの話ではないです)

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