くろちろこさんと私6

前回の続きである。

〜これまでのクロフェス!〜
絵チャで知り合い、すっかり仲良くなったくろちろこさんと私。プラチナ発売やアンソロ発行、アニメ登場など、楽しいことが次々と起きた夢のような時間だったが、Twitterの登場で状況が変化する。

Twitter

私はTwitterに大ハマリした。

Twitterは新鮮だった。好きな声優さんがTwitterを初めて、日常のつぶやきをすることも不思議だったし、自分のアンテナには引っかからないようなものが誰かのリツイートで回ってくることも不思議だった。面白かった。

何よりTwitterは、反応がくる。絵を描いてもつぶやいても反応がくる。いろいろな人が反応をくれる。サイトやpixivよりもリアクションがかえってきやすい環境に、私はすっかりハマってしまった。

一方、くろちろこさんは、そんなにTwitterにハマらなかった。みんなでワイワイするよりは、気心知れた人たちと楽しむほうが好きだった。

以前の私は、落書きした絵や思いついたネタを真っ先にくろちろこさんにメールで送っていたが、その先がTwitterになった。私がTwitterにハマるにつれて、くろちろこさんとのメールの回数は減っていった。

私の所業

2010〜2012年頃の私は、「人のもの」とか「自分のもの」とかいう意識がない、最低最悪のマジクソゴミ人間、いや動物だった。

元々はくろちろこさんと話していたネタだと忘れて(覚えていても、特にその点を気にかけることなく)ツイートしたり、漫画にしたりしていた。

そのことで、私はくろちろこさんをとても苦しめた。

想像してみてほしい。自分が考えたおもしろいアイデアをこっそり話した相手が、その話を垂れ流して「おもしろい」とか「いいね」とか言われている様を。パクツイbot同然である。ゴミである。

当時の私は本当に、今よりもさらに頭が悪くて、その不快さや悔しさを想像することが、なぜだかできなかった。くろちろこさんに「あれ私が考えたやつじゃん!」と言われても、毎回「へへ、ごべぇ〜ん」とか言っていた。気が触れている出っ歯のデブである。できることなら時を遡ってボコボコにしたい。

これまでの交友関係では、私に対して「あ、だめだ、コイツは言ってもわかんない奴なんだ」と諦めて、心理的・物理的に距離を置いた人がいたんだと思う。たぶん何人もいたはずだ。

私は子供の頃から怒られることが苦手で、なるべく怒られないように過ごしてきた。それでも怒られると、謝って、ことが過ぎるのを待っていた。その時々の私は反省をしたつもりでいたが、結局はできていなかった。だって改善していない。成人してもなお、やり過ごすことしかしていなかった。謝って、相手の怒りが鎮まるまで、あるいは許してくれるまでやり過ごすのは、なんの解決にも改善にもならないし卑怯である。

私が他人として私に出会ってケンカしたら、バカさと卑怯さに呆れて距離を置くと思う。

動物から人間へ

そんな、打っても打っても響かない私に対して、くろちろこさんは辛抱強く怒ってくれた。なかなか改善しないのに、それでも繰り返し怒ってくれた。

そのおかげで、ようやく自分のしたことの悪さを理解する瞬間が訪れた。

……なんてことを今現在の自分が書くのもおこがましいくらい、私は悪いことをしていた。あの出っ歯のデブをボコボコにしたい。

以前、くろちろこさんに「なぜあんな嫌な思いをしてまで友達付き合いを続けてくれたのか」と尋ねたら、「こんなにフィーリングが合う人は、今後生きていてもなかなかいないと思った」と言われた。

くろちろこさんはとても優しい。優しくて正しくて大らかだ。おかげで、私は一歩、人間に近づくことができたと思っている。私のしたことは許されることではないが、くろちろこさんは許してくれた。

大袈裟でなく、くろちろこさんがいなければ今の私はいない。友達でいつづけてくれて、悪い所を怒ってくれて、人間にしてくれたことに対して、なんとお礼を言ったらいいのかわからない。

くろちろこさんと人間の私

私がどうにか人間になり、私たちは前よりもさらに仲良くなった。

土日は毎週のようにくろちろこさんの家に遊びに行っていたし、平日夜にご飯を食べたりもしていた。私は会社員で週休2日制だったはずだが、週4くらい会って遊んでいる時もあった。

当時、私は親戚の家に居候していた。そこからくろちろこさんの家まで、バスと電車で2時間近い距離があった。遠かった。

続く

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