歌川広重の辞世の句
浮世絵を調べ中なうですが
歌川広重の辞世の句がかっこよすぎました。
東路(あづまぢ)に 筆をのこして 旅の空 西の御国(みくに)の 名所(みどころ)を見む
(現代語訳)ああ、東路(=江戸、=この世)に、絵筆を残して旅立たねばならないとはなぁ。これから、西方浄土(=極楽)への名所を見る旅が始まるというのに。(※若干意訳しました)
かっこよすぎ。
死ぬ直前まで絵をかいていて、
死ぬときに
「くっそ。この世に絵筆を置いていかなくてはならないとはなぁ。ここから見る景色が、今までで最高のはずなのに」
って悔しがる人生、
風景画の第一人者の広重っぽいし、
死の恐怖より、絶景を描けない悔しさの方が強いの、
人生を絵に捧げた絵師の見事な生き様、死に様で、
ほんとかっこいい。
ちなみに、私が好きな辞世の句、いくつかあるのですが、西行の句は特に好きです。
願はくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月のころ
(現代語訳)願うことなら、満開の桜の春に死にたい。その2月の満月の頃に。
で、ほんとに2月の満月付近に亡くなったっていう。(1190年2月16日没)
なんだろう。お悟り開くと、死期もある程度コントロールできるんだろうか。
松尾芭蕉の辞世の句も好きです。
旅に病んで夢は枯野を駆け巡る
(旅の途中、病に臥せっているが、夢では枯野を駆け巡っている)
死の4日前の句で、厳密には辞世の句ではない(死に臨んで詠んだ句ではない)のですが、旅に取りつかれた芭蕉らしい句だなぁと思います。旅のせいで病を得てもなお魂が旅をしている。
書いてみて改めて思いましたが、
人生をかけて、何かを追い求めた人が好きっぽいです私。(広重→絵、西行→信仰、芭蕉→旅)
そんなふうに生きられたら幸せだな(安泰ではないけど)、と、確かに思っているかもしれません。
広重が描いた「極楽浄土絵巻」は、あちらの世界に行くと見られるのかもなぁ。
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