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馬産地レポート② 競走馬の余生について

日本の競走馬はサラブレッドから生産され、馴致・育成を経てレースに出走します。デビュー直前にはそれぞれトレセンなどに輸送されますが、それまでの過程は場産地の牧場で過ごします。

生産牧場と言われる牧場では、誕生後数ヶ月は母親と過ごさせ、離乳(母親と引き離し自立させる)を経て馴致に入ります。
馴致というのは「競走馬としてデビューするために、必要となる数多くの物事に対する馴致」と広義づけられていますが、JRAが詳しく考察しているのでこちらを参照のほど。

馴致が終わると育成に入ります。大体ここで育成牧場に移動になります。(生産と育成を兼ねている牧場もある)
育成とは、トレセンで本格的な調教を行う前に行う軽い追い切りなどです。
ここまでが生産牧場の行う仕事で、あとはデビュー後の放牧なども行うところはありますが、競走馬が引退した後は引き取る義務はありません。0〜2歳時にセリにかけられた生産馬は、購入した馬主の所有になりますから、引退後の余生も馬主が決めます。
引退後の競走馬には、種牡馬・繁殖牝馬・乗馬などの進路がありますが、全引退馬でもこの進路につけれるのは半分以下でしょう。あとの馬は廃用処分になるしかないのです。

そこで、生産したからには最後まで面倒をみようと引退馬事業に力を入れる牧場や団体がもう20年以上前から活動を続けています。


今回レポート②では引退馬を引き取り運営する「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」に行った時のことを書いてみます。

前日に宿泊した新ひだか町静内からは車で50分ほど、日高町の山間に位置する「yogiboヴェルサイユリゾートファーム」は、2018年に開業した、引退馬事業を行うためのヴェルサイユファーム(生産牧場)の分場です。
丘の上にある牧場なので澄み渡った空が広く開放感があります。そして設備もめちゃくちゃ綺麗。営業開始直後の9時ごろに到着したんですが、すでに結構人がいました。宿泊もできるみたいなので、その方達も含まれているのでしょう。

最近テレビCMなどで流れていた、馬がyogiboに寝転ぶ映像は、こちらで養老されているアドマイヤジャパンが出演しています。
その愛くるしい映像で今人気の観光地の一つとして有名な牧場でもあります。

昨年から、株式会社yogiboを運営するウェブシャーク社とネーミングライツ契約を結んでいる同牧場には、「人をダメにするソファ」でお馴染みのyogiboが四方八方に置いてありますが、なかなかにシュール。

もともとヴェルサイユリゾートファームには、G1馬ヒルノダムールやダービー馬タニノギムレットなどが養老されており人気馬が集まる牧場でした。
しかし、馬の飼育には多額な費用がかかります。例によってヴェルサイユリゾートファームも中々収益化が難しいことも影響して、預託馬を増やせないことや古くなった厩舎の改修ができないなど、問題を抱えていました。

そこで、社会課題への取り組みを行なっている団体に協賛しスポンサー契約をして支援するという事業を行なっているウェブシャーク社が、「ヴェルサイユリゾートファーム」とネーミングライツ契約を結び、引退馬事業に手を差し伸べてくれました。

この契約から半年後には、アドマイヤジャパンのあのCMも放送されて大反響。その結果新しい厩舎を建設することが決まったらしいです。

ヴェルサイユリゾートファーム側も、馬がお金を生み出し事業化させることを目標としていた中での契約だったので双方の意見が合致したわけですが、yogiboという競馬に全く関係のない企業が、引退馬支援に一役買っているというケースが今後も引退馬事業としての成功モデルになればと思います。


もっと書きたいことあったのにサボってたら忘れてしまったのでこれで締めます。

表紙の顔ドアップさんはシルバーコレクターでも有名なエタリオウくんです。
Gリビエールレーシングのつながりで種牡馬ではありますがこちらでけい養されてました。
ここまで固い話しかしてなかったので最後にヴェルサイユリゾートファームで撮った可愛い馬の写真貼っておきます。

アドマイヤジャパンとスカーレットレディ
ずっと一緒にいたので馬が合うのかな

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