本の記憶 No.32

昨夜からでしょうか、雪融けが進んでいたはずが、今朝は白銀の世界に戻っていました。
風も強く、粉雪が走っていて、冬にもどったような感じで。春は気まぐれ、油断出来ません。

食べ物、食事に関する小説が最近は多いように感じますが、ついつい買ってしまいます。
娯楽小説の匂いがして、リラックスしたい時にはぴったりです。

古内一絵さんの、マカン・マランシリーズ。
2015年に1作目の、二十三時の夜食カフェ
2016年に2作目の、女王さまの夜食カフェ
2017年に3作目の、きまぐれ夜食カフェみたび

とっても人気がある作品のようですが、このシリーズは友人達にひっぱりだこで、現在手元には2冊のみ。女王さまの~は友人の友人が読んでいる最中のようです。

夜だけ開くカフェ。
悩みを聞いてもらえるカフェ。
一目で、その人の体の状態を見抜き、その人にあった食事を提供してくれるシャールさん。
シャールさんは、ドラッグクィーン。
元は、超エリートでイケメンの中年男。
180㎝を超える女装した中年男なんです。
お料理のネーミングが素敵。

「春のキャセロール」
「風と火のスープカレー」
「妬みの苺シロップ」
「金のお米パン」 など、素敵です。

そして、なんといっても、人の悩みの描き方が上手です。
お料理小説ではなく、心理小説ではとも思ったり。

インドネシア語で、マカンは食事、マランは夜。
なので、マカン・マランで、夜食という意味ですね。

1作中にいくつかの短編が収まり、連作短編集に。
この作品を読むと、シャールさんに会いたい、シャールさんのお店に行きたい、本の中のお料理を作ってみたいとなりますので、フィクションのはずが、
こえてしまうのですね。筆の力ですね。

作者の古内一絵さんは、1966年生まれ、
大映、角川を経て、2009年からは中国語の翻訳、
2011年から、作家活動とありますので、沢山の経験が、このような楽しく、面白く、心に残る作品を書かせているのでしょう。

ちょっとだけ、私がガツンときた部分を抜粋。

「綾は呆気に取られて立ち尽くした。クレヨンで描いたようなアイライン。鳥の羽のようなつけ睫毛。
真っ赤に塗り込まれた唇。
しかしその原形は、どう見てもいかつい中年の男だ。」

「青梅みたいに毒のあるものでも、漬け込むことで、
ちゃんと食べられるようになるのよ。
人の毒と同じことよ。」

「どれだけ意に沿わないことをしなければならなかったとしても、自分の本心の隠し場所さえちゃんと分かっていれば、人は案外、自分の道を歩いていけるものよ。」

悩みをじっと聞いて、特別なアドバイスをするわけではないけれど、そっと背中をさすってくれるような、そっと胸に抱きしめてくれるような、
優しい包容力のあるシャールさん、人気があって当然ですね。
実在したとしたら、行列のできるお店になっちゃうかも。。。

嬉しい!! ありがとうございます!
29

風花会那

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。