本の記憶 No.20

まだまだ寒い日が続く札幌ですが、
札幌は梅と桜がほぼ同じ時期に咲きます。4月末から5月初旬。
桜というと思い出すのが、宇野千代さん。
作家活動の他に着物のデザイナー、実業家としての顔も持ちますが、宇野千代さんのデザインは桜の花をモチーフにしたものが多く。ハンカチやポーチなど小物にも桜モチーフのものばかり。
1897~1996年、非常に長生きされた人で、生涯現役と言われていましたが、本当に最後まで元気であらゆる面で活躍されたようです。

宇野千代さんの作品で私が読んだものは、
「おはん」 「色ざんげ」 「生きて行く私」 の3冊のみ。
「おはん」は、宇野千代さんと十才ちょっとしか年齢の違わない継母をモデルにした小説。
「色ざんげ」は、画家の東郷青児さんとの関係をもとに書かれたといわれている小説。

そして、「生きて行く私」は、随筆、宇野千代さんの自伝のようなものでしょう。

私は、3冊の中では、「生きて行く私」が、とても良かったように記憶しています。

作家さんでも、小説のほうが良い人とエッセイのほうが良いと感じる人と、それぞれですが、
私は、宇野千代さんはエッセイのほうが良いように思います。

根が正直な人なのではと、作り話より、実際の本当の話を書いたほうが、上手だと。

わずか14才で結婚して、また、わずか10日で実家に戻る、、そして、小学校の代用教員に。
また、結婚、元の夫の弟と。

あれあれ、まあ! そんなんあるの?
また、早い人、、

びっくりばかりの話で。

宇野千代さんは自身で書かれていますが、
好きになるのも、体を許すのも、はやくて。

生涯で結婚、離婚、また、浮き名を流した男性は何人も。
尾崎士郎、梶井基次郎、北原武夫、東郷青児、
などなど。
98才で亡くなるまで、いったいどれだけ?
きっと、恋心は持ち続けた、年齢に関係なく持ち続けた人なのだと思います。
その恋心が、宇野千代さんのエネルギーになったのではと。

沢山の男性との関係についても、ひとつひとつが真剣なんです。適当な遊びではないんですね。
真剣に愛する。相手の男性としては、重かったんじゃないかなぁと思いますが。
無邪気に恋に突っ走る。
読んでいて、さして、嫌な女だなぁとは感じないのは、その無邪気さです。真剣さです。

結婚して、北海道の札幌に2年ほど住んでいたこともあるようで。相手はバンカー。
とうもろこしが美味しくて、毎日、食事の仕度はせずに、とうもろこしを茹でてザルに沢山積んでいたとか。
私も、とうもろこしが大好きなので、とうもろこしの時期になると、ふと、宇野千代さんもこうして、ほおばっていたのかなぁ、それは解る、解る、ご飯より、とうもろこしの方が美味しいですよね、と。

初版は1983年、80代で書かれた作品です。
元気な人はすごい。
女性は、いくつになっても、恋心は持ち続けたほうが良いと思わせてくれた作品でした。

が、、私自身は、あまり、生身の男性に恋心は持てないタイプなので、長生きしないのかなと、少し不安になってしまいます。

桜と宇野千代、恋心と宇野千代、行動的女性と宇野千代、女性実業家と宇野千代。
私にとっては、とうもろこしと宇野千代。

この作品は、押しつけも教えもありませんが、
何か、元気を、勇気を、安心をもらえる作品でした。

嬉しい!! ありがとうございます!
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風花会那

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