そよ風のしっぽ 「寂しさ」

京子さんが家に遊びに来てくれて。
札幌にいて、一緒にお茶したり買い物したりする唯一の友達の京子さん。ボクサーくんと同棲を始めたので、なかなか二人で会うことが出来ずにいて、私はちょっと寂しがっていた。
街中で会おうかと思ったけれど、大通り界隈も、札幌駅近辺も雪まつりの関係で混雑しているので、
思うお店にも行けないはずなので、
「京子さん、私の家にいらっしゃい、だめかしら?
前に、手織り寿司を食べたいって、あそこ、私の家からは歩いて行けるのよ、、。」

京子さんは、大丸に寄って、ルタオのチーズケーキをホールで買ってきてくれた。
父と母に挨拶して、2階の私の部屋で沢山お喋りして。
京子さんは、屋根裏部屋を見てみたいと言い、
二人で屋根裏部屋でルタオのケーキを食べて、母が淹れてくれたハーブティを飲んで。

私の部屋に折り畳みの階段があって、屋根裏部屋の入り口もあって。
屋根裏部屋は私の隠れ場所。
3面が書棚で、幼い頃の絵本や図鑑が並んでいる。
おもちゃやお人形やぬいぐるみ。
私の幼い頃のモノモノがそのまま書棚風の低い3段の棚にきれいに並んでいる。
京子さんは、
「いいなぁ、、こんな部屋、羨ましいなぁ!
りぃちゃんのこと、想像つくな、、小さい頃のりぃちゃんが。 お母さんは、棄てないで、残しておいたのね。
きっと、りぃちゃんが東京へ行って、この部屋に来て、思い出していたのね。」

私は、京子さんに言われて初めて、はたと気付いた。そうかもしれないなぁと。私は、自分だけが寂しいと思っていたけど、末っ子を自分の実家とはいえ、高校生の時から離してしまうのは、母も寂しかったのだと。
私は、オチビさんなので、また姉と兄とは年も離れて生れた末っ子だったので、母は随分可愛がってくれていたので。

東京には、母と姉が毎月交代でやってきていた。
京子さんに言われるまで、ちっとも気付かなかった。双方の気持ち、自分だけではない、相手の気持ち。周囲の人の気持ち。
母は、この屋根裏部屋に私の子供時代のモノを集めて、私を偲んでいたのかもしれないなぁと。

京子さんはボクサーくんとの生活について話してくれて、幸せそうだった。肌が今までよりツヤツヤになっていて、見るからに幸せそうだった。
「ボクサーくんて、乱暴な言葉使うでしょう、
私のこと、何度も言ったのよ、、おまえって呼ぶのをやめてって、でも、絶対やめないし、、乱暴な言葉づかい、京子さんはイヤじゃない?
ボクサーくんは、とっても良い人よ、外見も素敵で、仕事も出来て、、欠点は、乱暴な言葉だけ。」

京子さんは、なぜか余裕綽々の風で
「彼、私のことは、きょうこって、、そんなに乱暴じゃないし、すごく優しい、、全部よ、ベッドの中でも優しいし、家事も普通に手伝ってくれて。
あのね、、私の親にも、彼の親にも挨拶終わって、
日を選んで籍を入れるつもり。
今日はね、その報告なの。

彼は、りぃちゃんのこと好きなのよ。
照れかくしよ、おまえとか言うの。
私、なんとなく分かる。
私もりぃちゃんのこと好きでしょう。
彼は、無理な人だって分かるし、でも、好きなんじゃないかな?」

「まあ!! それはないわ!
私だったら、好きだったら、乱暴な言葉は使わないけど、、それに、京子さん、変よ、、結婚するのよね、、いいの? そんなこと、、」

「うん、、私、うまく言えないけど、そんなのあると思う、私は、いろんな男の人知ってる、体がね、
だから、分かるの。
体の関係の無い、好きって、許せるし、相手がりぃちゃんだったら、余計分かるもの。
彼は、生涯、りぃちゃんを守るはずよ。
私も手伝うし、、」

沢山の恋をしてきた京子さん。
外国人じゃないとだめとか言ってたのが、ボクサーくんとは、最高とか言って。
二人がうまくいってるのだから、私としては言うべき言葉はなく。
式は後にする、赤ちゃんできたら困るから、入籍だけは先にするとか。

あのボクサーくんは、どのように優しいのか、ピンとこないけれど。
友達であっても、あまり踏み込まないほうが良いだろうと。

母が、予約してくれて、お昼ちょっと過ぎに、手織り寿司のお店へ。
私は、お鮨は板前さんが目の前で握ってくれるのが好きで、手織り寿司のように自分で海苔に巻いて食べるようなのは好みではなく。
ただ、京子さんはとても喜んでいた。
インスタ映えするとかで、観光客が行列になっていて、いつも混雑しているとか。
元々は甘党のお店なので、母も姉もよく行っていたらしいけれど、最近は足が遠退いてしまっているとか。
私達がいる間も、韓国や中国からの観光客で満席になっていて、注文しているのは皆同じ手織り寿司で。SNSの威力を感じてしまって。

久しぶりに京子さんに会えて嬉しかったけれど、
京子さんは夕食の準備があるからと、今、帰ってしまった。

愛する人がいる人は、ふらふら遊んでいないものなのかもしれない。

ありがとうございます。
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風花会那

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