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【8月月間連載小説~こつん~】 8月17日

〇昨日の続き:田中課長からの連絡。オランダに行く話が出て・・・〇

(田中)「上条さん、ちょっとね、いい話があるんだ。
オランダ行きたい?」
(エナ)「・・・オランダですかーーーーー!!??」
(田中)「そう、オランダ。正確にはオランダとイギリス。日本と欧米ではお花の文化は大きく違う。その中でも鮮度保証に関しては圧倒的に欧米が先を行ってる。
その鮮度保証の視察に行く稟議がおりたんだ。
それで、上条さんもここまでよく頑張ったし、これからも頑張ってもらいたいからっていうので、プッシュしといたんだけど、なんとか認めてもらえそうだよ。」
耳に当てていた携帯が痛いくらいに田中課長の話を一言も聞き逃すまいと
していた。
(わ・・わたしが・・オランダに・・・イギリスも・・・?
あぁ・・こんな奇跡が起きるのか!!!!!)
(エナ)「いいいい・・行きたいです!!!!えー、!すごい!!」
(田中)「じゃぁ僕から吉本支店長と関山課長に話はしておくから。
外町さんも一緒だから。」
(エナ)「あぁ・・・最高です!ありがとうございます!!」

電話を切った私は、思わずその場で叫んだ。
両手をグーにして空に突き上げた。
「オランダー!!!!!イギリスー!!!!!!わーい!!!!」

外勤していた私がオフィスに戻ったのはお昼を過ぎた14時だった。
今日は営業のみんなはほとんど出払っている。
たまたま関山課長とほとんど人に関心のない本田さんだけだった。

(関山)「上条ちゃん、お疲れ様!田中課長から電話あったよ」
(エナ)「ほ・・・本当にいいんですか??私なんて全然実績出せてないのに・・」
(関山)「いいのいいの、あぁでも僕も行きたいわ。」
(エナ)「すみません、、」
(関山)「僕から吉本支店長にも確認とっとくね。稟議は任せといてくれていいから」
(エナ)「色々すみません、本当にありがとうございます!!!」

絶対にもっと仕事を頑張ろうという気になった。
その日初めて訪れるオランダ・イギリスにワクワクしながら、1日を終えた。

翌日、田中課長から送られてきた行程表を見て、
そこがデスクだという事も忘れて私は、叫んでしまった。
「再来週なのーーーーー!!!????」

どうしてこうめまぐるしいんだ・・。
仕事の調整に、パスポートの有効期限確認、大きなトランクなんて持ってない。。
色々やらなきゃいけない事が頭で走り出す。

こんなラッキーは滅多にない。
行程表を見ていると俄然テンションがあがってきた。
(今日は残業して目先で把握している仕事はある程度かたづけておこう。)

家に帰って、パスポートの有効期限を見ると、、
なんとタイミング悪く今年の8月で切れてしまっていた。
(今から申請して間に合うの!!!???)
(エナ)「おかぁさーーーーん!!」
(母)「何よ」
(エナ)「パスポートの有効期限切れてるんやけど、再来週からオランダとイギリスにお花の研修やねん」
(母)「あんたは、また!!!!いっつもぎりぎり!!!!」
(エナ)「戸籍抄本取り寄せなあかんー。うー。間に合うかなぁ。涙」

それから2週間、パスポートが無事に発行されるか気が気じゃなかった。
仕事は1週間もあけてしまうので、方々へ調整や連絡に追われた。
だけど、初めてのオランダ・イギリスに浮き足立っていた私は、
猛スピードで色々な事をこなしていった。


そしてなんと、出発の2日前にパスポートがなんとか出来上がった。
(あぁ・・・神さま、ありがとうございます)


11月の末、ついにオランダへ出発する朝を迎えた。
関空からKLMオランダ航空で直行便だ。
外町さんと一緒に周るメーカーさんは成田からの便なので、
スキポール空港で現地待ち合わせすることになっていた。
1人で海外に行くなんて、もうそれだけで大冒険。

12時間のフライトはとっても長いけど、映画を見て食事をして本を読んで
これまで忙殺されていた仕事から解放されて、存分に楽しんだ。

無事にスキポール空港に着く。
外町さん達の便は私が着いた後の30分後に着く予定だった。
(先にお手洗い行こうかな。)
お手洗いに着いて、早速私は驚く。。
(便座に届かない・・・。さすが長身、オランダ人)

お手洗いから出てバッゲージクレームで自分のスーツケースをピックアップする。
(あぁ・・ここまでは完璧だな)
成田からの便は何レーンのバッゲージクレームなんだろう?と電光掲示板を見た時、
私は不審に思った。

(え?なんで成田がないの?30分後じゃん。)
なんか良くわからないけど、とりあえず待ってみよう。
手前のレーンではシンガポールからの荷物が流れ出す。
奥のレーンではカナダからの荷物がほとんどピックアップされて、人はまばらになっていた。なんだかおかしい気がする。
(一回空港の職員さんに聞いてみよう)

(エナ)「エクスキューズミー、When does the airplane from Narita arrive?」
(あーgoogle翻訳があってほんとよかったー。死ぬとこだわ。)
(空港職員)「Wait a minute.」
空港職員が電話をかける。
(空港職員)「No?oh、Yes.」
首を横に降った空港職員が私に英語で伝えてくる。
(わかんないっつーの。)
(エナ)「オー、アイムソーリー、I cannot understand English. Please write it here.」
空港職員がメモ用紙に書いてくれる。
そこに書いてあった文字が私を地獄に落とす。

(え、???え!!???えええええええ!!!??)

『The airplane from Narita does not fly』


成田からの飛行機が、飛んでないという事だった。


ちょっと待って。私は自分の荷物と行き帰りのチケットだけで来たんだ。
何処に泊まるのか何もかも知らないんだ。
ここはオランダ。私は英語しゃべれない。

私はもう今にも泣いてしまいそうだった。

こんな事って起きるの??

【明日に続く】


つたない文章をお読み頂き
本当にありがとうございますm(_ _)m

✳︎1話目✳︎
https://note.mu/enaenanote/n/n1412807319ff

スキ!やご意見ご感想お待ちしてます!

頑張る時は頑張って
ゆる〜くいく時はゆる〜くいこ♪
カジュアルメンターエナエナより⁎⁺˳✧

◆あらすじ◆
お花の新規事業立ち上げで
主人公の上条エナが
苦悩し人生の荒波に揉まれ
それでも必死に生きていきます。

そんな中で
とりまく環境の変化があり
そこで人との出会いや
価値観が変わるほどの経験を通して

主人公の感情の変化や
事業が成功するのか!?
失敗するのか!?
を見届けて頂けたらと思います。


たくさんの人の心の奥に

小さくてもいいから
響いてほしい

という願いを込めて


『8月月間連載小説〜こつん〜』

としました。


例えば高校球児や受験生や社会人、
何かに対して頑張って勝負している人が


よし、がんばろう!
という気持ちを保てる
8月になりますように。

楽しんでくれますように!


フィクションとノンフィクションmix。
ストーリーをわかりやすくするために
脚色を加えています。

予めご了承ください。

誰かを傷つけたり
困らせたりすることがないよう
表現には最新の注意を払って
おります。




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