厳しい歯医者に通っている。普通の街の歯医者さんではなく、入院や手術もできる口腔外科が、奇跡的に歩ける範囲にあって、しかも、初代の院長先生のポリシーが、美容のためではなく純粋に歯の健康のための治療しかしない。先生は１０人以上いると思うし、レントゲン技師も一人常駐している。

神経を抜く場合も、手術室みたいに靴もはきかえて、治療する歯だけをシートから出して、周囲を何度も消毒してから取り掛かる。助手の女性がバタバタ歩くだけで、ばい菌が舞い上がると叱られる。歯の根の中が、完全に無菌状態になったことを、菌の培養とかして確認しないと根に詰め物はしない。だから、普通は一度治療しても必ずまた中のばい菌が増えて再度治療することになるけど、そこで治療した歯は、一生もつ。たぶん。

素晴らしい治療が行われているのは確かなんだけど、お金と時間がめちゃくちゃかかるので、人にはお勧めしない。紹介した人のほとんどは、歯の健康を全てに優先する方針についていけず、途中で通院を断念してしまう。

明らかにかなりの高齢のおばあちゃんに、「残り１本のこの歯を、しっかり磨きましょう！」と励まし、病気で中々来れないと説明するオバサンには「何の病気なんですか？ちょっとは来れませんか？」と言うような病院。

いや、、その年齢や体調だったら、歯どころじゃないでしょ、、と見ていて横から口を出したくなる。

愛犬を連れて通っている動物病院では、毎日点滴を受けたり、注射を打ちに通う犬や猫がいる。うちの犬も、５日連続点滴を受けたこともあるし、今も「毎日注射した方がいい」と言われる、、しかし、点滴は一日８０００円はしたし、注射は３０００円くらい。犬は自分で通院できないから、付き添いも必要。

お金も時間も、限りがあるので、勧められる最善の治療ができないこともある。でも、獣医さんは、一日でも長生きさせるには！と飼い主を叱る。

犬や猫は、自分が他の子より早く死んだって気にしないし、とにかく苦痛が少ない方が幸せだと思うので、回復しそうもない年齢になったら、入院治療とか断って、寿命の長さは求めず、苦痛だけ取り除いて自宅で寝かせておきたい。死ぬまで痛みや吐き気が続くのが確実だったら、頑張る必要もないと思う私は、冷たいんだろうか。食べたくない犬の口から、餌を流しこむより、枯れたように眠りながら旅立つのを見送るのがいいような気がする。（まだ直面していない、今の時点では）

今まで獣医の言う通りに、「念のため」の薬も買ってきたけど、今回見直して、心臓の薬以外は断る決意をした。多分、かなり今後冷たくされるだろうけど。薬の飲みすぎは、犬だって良くないんじゃないかな。

何を優先して、時間やお金を使うのか。

強く言われた順に言いなりになっていたら、私や子供や犬の幸せは守れない。時々は、相手が嫌がることが予想できる話も切り出さなきゃいけない。時間もお金も、元気ややる気も、無限に湧いてくる訳じゃないですから。

人と喧嘩するわけじゃなくても、人生は毎日が戦いですね。。

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