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ブッダが実在した当時の宗教 バラモン教の思想 「図解」

このnoteでは、ブッダが実在した当時の宗教やバラモン教について説明します。

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バラモン教について

バラモン教は、ブッダ当時、階級社会の頂点の存在です。
ブッダが生まれるもっと前のインダス文明時代、紀元前2500年頃のインドはドラヴィダ人が住んでいました。しかし、違う民族のアーリア人が侵略してきたと言われています。

侵略してきたアーリア人は自分たちが優位になるように、身分制度の「ヴァルナ」の制度をつくりあげます。かれらは身分の一番高いバラモンとなり、下の階級の人々を支配していきます。

身分が頂点のバラモンは宇宙の創造神である梵天ブラフマンを最高神として、梵天ブラフマンに祈りを捧げる祭事中心の社会をつくります。最高神の梵天ブラフマンに祈りを捧げることができるのは身分の一番高いバラモンだけです。

この祭事を独占していったのがバラモン教のはじまりです。

バラモンはヴェーダ経典をつくる

ヴェーダ聖典をつくり、梵天ブラフマンが最高神
身分の一番高いバラモンは天の神へ祈る儀式の方法や、天の神に捧げる歌などを聖典「ヴェーダ」にして作り上げていきます。

その聖典「ヴェーダ」の中では、宇宙の創造神の梵天ブラフマンが最高神で、他に三十三天がでてきます。全神界を表現した天・空・地に分けた三界があり、天・空・地それぞれの世界に11名の天の神が存在しています。その天の神を総称して三十三天といいます。

仏教にも天の神の思想が取り入れられる
これらバラモンの天の神の思想は仏教でも引き継がれますが、バラモン教で最高神の梵天ブラフマンは仏教においては地位の低い天の神で扱われます。

また、バラモン教の最高神の梵天ブラフマンがブッダに教えを聞きに来てブッダに帰依するすがたなど原始仏典にでてきます。仏教がバラモン教の祭事独裁主義に反対していたことが天の神の扱い方でもわかります。

バラモン教は輪廻する思想が根本にある

バラモン教の聖典「ヴェーダ」は紀元前1200年ごろには作られていると言われているみたいです。ブッダが誕生する紀元前500年のさらに700年も前になります。ブッダが伝える仏教もこの「輪廻転生」(りんねてんせい)思想が根本にあります。

ブッダは「来世では再生しない解脱」の真理を追究します。バラモンとは違う階級からの出家者の沙門(しゃもん)となり、「解脱の教え」を生涯かけて教説しています。

当時の時代背景や地域性から推定してみても、バラモン教と融合してから、バラモン教の差別化で仏教僧団が当時の人々に影響を与えて拡大していったと推測して解説されています。

当時理想的な修行者のことをバラモンと呼んでいて、昔の法を守っていた聖者のバラモンたちのことはブッダも称賛しているが、今のバラモンは祭事中心で法を守っていないのでブッダは批判していることも原始仏典にはでてきています。《参考》 春秋社 原始仏教の思想Ⅰ 中村元先生

四種類のヴェーダ

「ヴェーダ」には4種類があります。
1、賛歌「リグ・ヴェーダ」
稲妻を武器にするインドラ神が英雄神で、アーリア人の敵を打ち破ることなどが描かれています。
2、歌詠「サーマ・ヴェーダ」
3、祭司「ヤジュール・ヴェーダ」
4、呪法「アタルヴァ・ヴェーダ」

バラモン教の聖者のことは、たいへんよく原始仏典にでてきます。

ブッダの口からも昔のバラモンの聖者はヴェーダを編成し素晴らしかったが、今のバラモンはそれを行うだけでよくないと批判もしています。経典の内容もバラモン教の聖者がブッダの教えを聞いて、ブッダに帰依して仏教徒になる帰仏物語が長部経典によく出てきます。

さらに、ブッダはこのバラモン教の聖典「ヴェーダ」も徹底的に批判しています。第13経「三明経」にはこのように出てきます。

三明(さんみょう)三つの明知
バラモン教での三明は、
「リグ・ヴェーダ」「サーマ・ヴェーダ」「ヤジュール・ヴェーダ」のことを言い、この三つのヴェーダに精通しているバラモンを「三つの明知をそなえたバラモン」と呼びます。

しかし、仏教ではこの三明の意味を、
宿命通(しゅくみょうつう)、自分や他人の前世を見る能力
天眼通(てんげんつう)、自分や他人の未来の生死を見る能力
漏尽通(ろじんつう)、苦の真理を知って、一切の煩悩を断つこと

と瞑想で得られる神通力の内容に変えて、三明と表現しています。

仏教の神通力につきましては、下に詳しいページを紹介しておきます。


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