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有名な先生から学ぶ!子どものやる気と自信を引き出す方法 #1


今日は、合唱指導で有名な先生の合唱指導から、やる気を引き出すためにに大切なことを考えてみます!

 とある縁からその先生の合唱指導を何度も見てきました。「なんでこんなに子どもたちのやる気が引き出せるんだろう…。」と思うようになりました。なんとなくすごいなぁではなく、言語化して、他の教科や指導場面でもやる気を引き出せるようにできないかと考えるようになりました。

 まずは、ある年の合唱指導を文字起こししてみました。(許諾済み)

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①自分で今の歌声はどうだったか判断できるようになること

まずは「With you smile」から歌ってみよう。

(一回歌う)

もう6年生だからできるよな。自分でよかったところはさらに、ここはもっとこうするというように、さっきの自分よりもよくして、一番だけ歌ってみよう。

自分で判断させるため、歌った後に子どもたちに問いかける。

歌ってみて、自分でどうだった?
 さっきよりもよくなった人? 0人

 悪くなった人? 3人

 判断付かない人? 多

そこをお願いします。今の自分が何点だったかを自分で判断できるようになってほしい。

自分で考えて、成長していくことの大切さを語る。

中学校では、教科担任制。小学校のように一日を通じて、同じ先生が指導してくれない。自分で教わった知識を吸収してどう伸ばすかは自分次第。ここをもっとこうしたいと自分で考えられないと、中学から先、自分で成長することが難しい。
出だし「青いー」の「あ」だけだしてみて。

今出した「あ」は自分の最高でしたか?

最高だった人? 0人

そうでなかった人? 多

これが判断できているという事。大事なことは基準をもつこと。

例えば、ここに一つの箱があります。この箱は大きいか小さいかは比較対象がないとわからない。また、何に使うかわかれば、大きいか小さいかわかる。座布団入れるのか?何を入れるのか。

自分の最高の声、最高じゃない声。自分で判断できるように、基準をもってほしい。

「あー」

口をあけたときとあけてないときで声が違う。低学年から学んでいる「口をあける」を自分でやってみようと思う。開けすぎた、開けなすぎ。もっといい声にしたい。どうしたらいいかな?低学年のときに、「姿勢をよくしてみよう。」と習ったからやってみよう。よくする方法は、今までにたくさん教わっている。それを思い出して自分で色々試してみよう。自分で考えてやってみよう。

よくなったと思う人と判断ができるよう人が増えたことを実感させる。

「あー」
さっきより悪くなったと思った人 0人

よくなったと思う人 多

判断付かない人0

よーしこれでいいんだ。

新しいことを覚えるよりも、今までに習ったことを全部しっかりやってみよう!

わざと良くする前の歌い方をさせて、よくなったことを実感させる。

さっきの歌い方で「アー」
今の歌い方で「アー」

どうだ?よくなったろ?

②日本語は伸ばす音が書かれていない

発声練習してみよう。

「ファー」

「ナー」

伸ばした音がアーになるな。日本語は、伸ばした音が何なるか書いていない。英語などの言葉は書いてある。

英語は「Na-」 日本語は「ナー」

伸ばした音が何になるかわからないから、日本人は伸ばした音がちゃんと伸ばせないときがある。これを意識するだけで君たちの歌は何倍もよくなる。伸ばした「あいうえお」をきちんと発音できると最高によくなる。

大きな声で歌ってごらん。「あー」そうだ、それが二年生の「あー」だ。

1教えただけなのに、子どもたちだけで成長できたことを実感させる。

それだといけないんだよね。きれいに「あー」といってごらん。「あー」そうだ。自分できれいな声に切り替えたな。

歌2回目

よーし。どうだ、自分たちで。俺の判断だとめちゃくちゃよくなっているんだけど。まだ発音のことしかやっていないんけど、音程も表情もよくなっている。そう思いませんか?(はい)

③音符を伸ばすのは、想いが相手に伝わっている時間

もうこの曲で教えたいことはほとんどありません。もう一つポイントを加えるとすると、みんなでやった「胸の中の時計」を合わせる。

ふつうにしゃべってる日本語は早い。「おーはーよーう」なんて言いながら教室に入ってくる人いないだろ。

「あーおーい」早く言いたくなっちゃう。

お芝居をしている人は「あーおーい」とやる。感動したとき、人はゆっくり言うようになる。

なんて青い空なんだろう!という感動を想いを入れて歌うと、伸びる。感動もしてないのに、伸ばすと変。

音符を伸ばすのは、想いが相手に伝わっている時間。With you smileは伸ばす音が圧倒的に多い。伸ばしているときに、相手に想いを伝える気持ちで歌ってみよう。

歌3回目

さぁ、みんな今の歌は最初のときと比べてどうだった?よくなったと思う人。

しかも2番は指揮を振らなかった。俺は何も知らなかった。2番は何も教えてない。6年生だけで歌った歌だ。

指揮なしで歌えたことを実感させて、自信をもたせる。

胸はって歌ってくれ。

この歌は神戸の養護学校のミズモト先生が作った歌。その学校でバンドを始めた。みんな障害があるから1年かけてやって演奏できるようになった。バンドは1人1パート。お互い同士が他の人にとって大切。それを教えたくてバンドを始めた。そのバンドのために作られた曲がこの曲。にせものではなく、本物の歌だ。

歌の背景を伝えて、自然と感情がこもるようにする。

④合唱は、音をずりあげてはいけない

歌うために必要な技術の話はWith you smileですべてやったから、繰り返してやらないぞ。

胸の中の時計、発音、伸ばす時間、今教えたことをすべて詰め込んで「いのちの歌」をやってください。前半だけ、お願いします。

歌う(1回目)

まだ練習していませんが、君たちがずいぶん修正をかけている。

網羅的に指導をしていくのではなく、「出だし」や一部分のポイントを押さえるだけで、子どもたちが自分で考えて、全体がよくなる。

出だし。
「いー」

「きー」

「てー」

ぼくたち話すとき、話し始めたときは、低い。これが日本人のしゃべりかた。

いきているの「い」が低くなる。「き」のkの音が「い」の音のドになってしまう。

いーき↑ぃーてぇーとなってしまう。

(子音と母音で音程が変わってしまう)

ずりあげたように聞こえてしまう。しかし、歌謡曲やPOPSはむしろわざとずりあげる。マイクを使って一人で歌うときはそれでいいが、合唱でみんなで歌うときは、ずりあげてはだめ。

歌ってみよう。

胸をーよぎぃーる(ぎぃがずりあげてしまった)

おしかった!もう一回やってみよう。

歌ってみよう。おけぇーい!

さっきの歌い方してみ。(よぎぃーる)(わざとずりあげ)

今度はちゃんと。(胸をよぎーる)

歌う(2回目)

よぉぉぉぉぉーーーし!

ソプラノの高いところで、麦わら帽子をかぶっているつもりで、後頭部に風が入ってくるような気持ちで歌ってみる。

歌う(3回目) よし!よぉぉぉぉぉーーーし!

伸ばすときの方法は伸ばす長さを目の前に思い浮かべるといい。

⑤ふ点音符は感動を表している

大事にしたいところがある。泣きたい日もある。ふ点がついているんだ。泣きたいは感動があるから、少し長くなってふ点がつく。ふ点がつくところは、感動がある。ちょっと大げさになっていい。ちょっと大げさに歌ってごらん。

⑥一年生の歌う楽しさと六年生のきれいな歌声を同時に

一年生の歌い方してごらん。「いきてーゆーく…」(元気ににぎやかにギャーギャー歌う)

六年生、思いっきりきれいに「いきてーゆーく」

楽しかったのどっち?(一年生)

歌ってて楽しい気持ちが減っちゃだめ。きれいになったのに、楽しくなくなるのは意味ないよね。でもきれいに歌いたいよね。じゃあやること簡単だ。一年の楽しく歌う気持ちで、声はきれいな六年生でやってみる。絶対できる。音楽が向かっていく方向はこの方向なんだ。ケーキ。クリームもカステラもおいしくなくてはいけない。そこに、○○さんの伴奏が苺みたいにちょこんとのっているんだ。

この曲は難しい。伴奏も、メロディも難しい。それをしっかりと歌い上げている。自信をもって歌ってください。私たちはこれだけのことができる。卒業式に来た人に素晴らしい歌声を聞かせてあげてください。卒業おめでとう!さようなら!

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合唱指導の文字起こしなので、かなりわかりにくいと思います。(想像してください。)合唱指導のビフォーアフターで、子どもの表情・歌声が、まったく別物のように変わります。ここで「なんとなくすごいなぁ。」で終わるのではなく、すごさを言語化することで、他の教科の指導などで使えるもようになります。

私なりに何がすごいのか考えてみました。

  1. 子どものありのままを認める。<受容>

  2. 子どもの反応に対して、どう返すかを考えておく。<引き出しの多さ>

  3. 成長できた自分を、メタ認知させる。<ふり返りの大切さ>

  4. 実感を引き出すために子どもに分かる例を出しながら説明する。<説明力>

  5. タイミングよく、適切なアドバイスをする。<専門的知識>

  6. 笑いを引き出し、面白そうな先生だなと思わせる。<人間力>


  合唱指導の経験と専門知識があってこそのすごさであることが分かります。2の「成長できた自分をメタ認知させる」は、授業、行事などでもしっかりとやっていくべきだと思います。

  以上、エンチャントでした。




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