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箱の中

LINEを開いたら、もうぜんぶの通知をミュートにしているベタハフ男から長文が届いていた。

たくさん言葉が並べられた画面をスクロールしていたら、涙が流れた。
あの人のことが好きで、好きで好きで、あの人のことばっかり考えてた、まっすぐで一所懸命でかわいい私が失われた気がして、悲しくなった。
もう、私はあなたのこと、見てないの。
罪悪感さえ覚えた。そんなに言ってくれても、私、もう、どんな言葉も返す気になれない。

言いたいことや言うべきことはいろいろとある気もするし、あるのかもしれないし、よくわからないけれど、ほんとうに、もう、違うんだ。
ああ、過去の人になったんだな、なんて思った。やっと過去の人になってくれたけど、当時の私まで過去になってしまって、やっぱり相当寂しい。

ベタハフ男はそろそろ帰国して人間関係の清算をするらしく、やっと私と過ごせるようになる、と思っていたらしい。でも、ほんとうに、私はもうあの人のことを見ていない。

確かに好きだという感情を抱いた記憶はあるし、馴染むという言葉を使ったのも覚えている。でも何がどう好きで馴染んでいたかなんて全く思い出せない。

馴染んでいたなんて言うけれど、結局私はいつもあの人の前では緊張してしまっていて、いつもいつもいい子でいなくちゃなんて思っていた。
あの人に撮ってもらった私の写真、どれもけっこう可愛いし、楽しそうだけど、いっつもどこか作りこんだ顔してる。ナチュラルじゃない。
離れるってなったときも、上手に泣けなかった。いや、上手には泣けたけど、素直には泣けてなかった。ここは泣くところだなって考えて泣いてた。

もう連絡返さないならLINEブロックしてもいいじゃんと思わなくはないんだけど、だったらSNS全般アンフレンドしたいし、でも元来同じコミュニティの先輩後輩だったから共通の知り合いってたぶん50人くらいいて、そういう人たちに勝手にいろいろと詮索されるのも嫌だし、とかごちゃごちゃ考えてしまう。


記憶を上手に操って、これからの人生はうまく回したい。

前にも書いたけど、あれだけ言ってくれる人がいる、いた、っていうのを、小さな自信にしてお守りみたいにどこかにしまっておければいいのかな。
いつまでも待っているみたいなことを言われると「いつか路頭に迷うことがあったら都合よく利用するぞ!」みたいに考えてしまうけど、その言葉を後ろ盾に冒険できるのなら悪くもないかもしれない。冒険って、出てみたらだいたいなんとかなるものだと思うし、やるかやらないか、みたいなところが大きい気がするし。



昨日は昼間からなんだか近年稀にみる自暴自棄加減で、もうぜんぶぜんぶぜーーーーーんぶだめになっちゃえ!とかよくわからない漠然とした投げやり感が襲ってきて、twitterでゴシップ垂れ流しにしてるラウンジ嬢が紹介してるスカウトマンにDM送って水商売を紹介してもらいそうになったけど結局怖くなってブロックした。
この流れ学生のときにもやったことある。ネット上での行動力がありすぎて困る。
結局気持ちが追いつかなくてブロック削除、みたいな。

でも、自分で自分の面倒が見られるなら、なんとか心の平穏を保てるなら、性産業で働くのも悪くないんじゃないかと思う。そんな子いるのかしらんけど。
私立文系の女子大生なんてだいたい暇なんだし、手っ取り早く稼いで浪費する感覚を知るのも良い経験では、とか。
その上で、お金で買えないものとか手に入らないものに向かって頑張れるようになったら人生に意味を見いだせそう。

だけど私はいくら時給がよくても女を利用しての接客はできない気がする。向いてない。
嫌なタイプの人と話してると、件のとおり、すぐ帰ろうとするし。
流行りのパパ活とかもやってみようかと度々思うけど、畢竟それも絶対向いてないなって思うし、それはそれでなんだか悲しい。凹む。


でもドイツへ行くためのお金、貯めないと……

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