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【Endeavor Report】Founder's Pathway - ユニコーン創業者のキャリアパス -

エンデバー・インサイトはエンデバーの研究部門であり、起業家エコシステムが繁栄する起因を示すデータ主導の分析をまとめたレポートを発表しています。
 

  • 本レポートについて

本レポートは、米国と新興での起業の成功要因とエリアによる違いを理解するため、米国に拠点を置く企業100社と新興市場に拠点を置く企業100社の計200人のトップユニコーン創業者のキャリアパスを調査しました。何が成功する創業者なのかについては、多くの仮定や逸話がありますが、このトピックに関する世界的で詳細な分析は殆ど存在しません。本レポートは、世界中のトップ起業家のキャリアパスについてデータに基づいて分析しています。
今回は評価額でトップユニコーンを調査しましたが、評価額だけが成功の尺度ではありません。ユニコーンは規模を拡大するだけでなく、次世代の起業家たちにもそれを還元し、私たちが「乗数効果」と呼んでいる"好循環"を生み出しています。本調査に協力してくれたユニコーンのほぼ全員が、従業員に起業のきっかけを提供し、ユニコーンの創業者の多くがメンターやエンジェル投資家になっています。
以前のエンデバー・インサイトの調査では、会社を拡大した創業者は、エンジェル投資やメンターシップを通じて、その2倍以上の確率で、起業エコシステムの自己推進力の発展に貢献していることが判明しています。これは、最初の数社のユニコーンがエコシステム全体を飛躍させ、将来の創業者を鼓舞する可能性があることを示唆しており、新興市場において特に重要な要素となっています。

  • 調査方法

米国と新興市場に本社を置くユニコーン企業の創業者200人をこのデータセットに選びました。(*ユニコーン企業とは、評価額10億ドル以上の非上場企業を指します)。2つの地域カテゴリーそれぞれで創業者が100人に達するまで、評価額の高い順にユニコーンを選出。新興市場カテゴリーには、アフリカ、アジア、東欧、ラテンアメリカの国々が含まれ、中国、インド、イスラエル、日本、ロシア、シンガポール、韓国、台湾の成熟市場は除外しています。
2022年12月にPitchBookからユニコーンの企業レベルのデータを入手し、企業スピンアウトを除いたスタートアップ企業のみを対象としています。兵器や煙草産業など特定の業種も除外しています。
創業者は、ユニコーンになるまでの道のりの大半をその会社に在籍し、キャリアに関する公開情報が十分にある場合のみ抽出。Linkedin、企業のウェブサイト、インタビュー、メディアソースを通じて、選ばれた創業者のキャリア・ジャーニーに関する情報を収集しました。このデータには、ユニコーンを立ち上げる前の学歴や職歴が網羅されています。そして米国と新興市場の創業者に共通する特徴や経験、そして彼らを際立たせる特徴を特定するために、80近くの変数をテストしました。最も顕著な変数は、以下データ(*1)のように最終的な視覚化で示されています。

  • 創業者のパスウェイ|米国と新興市場のユニコーン 

*1:本データでは、それぞれの線がユニコーン企業の創業者を表しています。① 水色の線は新興市場の創業者を表し、青色の線は米国の創業者を表しています ② 楕円形のノードは、彼らがユニコーン企業を創業するまでの道のりで経験した重要なタイミングを示しています③ ノードの順番(ここでは上から下へ表記)は、必ずしも創業者の経験の時系列順を反映していません。 ④ノードの配置(ここでは左から右へ描かれている)は、データのきれいな表示をサポートするが、特定の変数を示すものではありません ⑤重要な発見を示す特定のノードは、オレンジ色で強調表示されています。

詳細については、研究全文をお読みください。

  • 調査結果|キャリアパスにおける起業家の重要な経験

今回リサーチに協力してくれた起業家達の人生の中で重要な経験となった出来事を項目ごとにまとめています。

▼ 居住・移住

・ユニコーン企業が本社を置く国に、幼少期または成人期に他国から移住、少なくとも両親のいずれかが創業者の出生前に他国からユニコーン企業の本拠地に移住したことが挙げられています。またユニコーン企業の本社がある国とは異なる国で大学の学位を取得したり、フルタイムの職を経験した経験がある起業家の存在も示されています。

▼ 学士号の取得

・2022年のQS世界大学ランキングで100位以内にランクインしている大学で学士号を取得した起業家、上位100校以外の大学で学士号を取得した起業家、学部課程に在籍していたが、学士号は取得していない起業家など学位取得の状況は様々でした。
・専攻については科学、技術、工学、数学(STEM)を専攻し、学士号を取得した者、会計やマーケティングなどのビジネス分野を専攻した者、それ以外の分野を専攻した者など様々な業界から起業の道に歩んだ結果が出ています。

▼ 大学院学位

学位と同様に、経営学修士号(MBA)、科学、技術、工学、数学(STEM)分野の修士号または博士号を取得したケースが見受けられます。

▼ 起業前の職業

・起業前の職業としては、主にプロダクトまたはエンジニアリング、コンサルティング、事業開発、マーケティング、営業、財務の職についていた起業家が多かったことがわかりました。また起業前に常勤の職についていなかったケースもあります。

▼ ユニコーン企業創業前の主な勤務先

・Big 5のIT企業(マイクロソフト、アルファベット(グーグル)、メタ(フェイスブック)、アマゾン、アップル)
・Big 3のコンサルティング会社(マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベイン・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ)
・欧米の主要投資銀行(JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ(メリルリンチを含む)、シティグループ(シティバンクを含む)、ゴールドマン・サックス、バークレイズ、モルガン・スタンレー、UBS(クレディ・スイスを含む)、ドイツ銀行)
・起業前に他スタートアップ企業でフルタイム勤務
・ユニコーン企業の前に少なくとも1つの他の企業を立ち上げ経営

  • 成功への多様な経路

ユニコーン創業者の出身大学と就職先|新興市場と米国におけるユニコーン創業者の学歴と職歴

ユニコーンのトップ創業者のほとんどは、エリート教育機関で学んだり働いたりしたわけではなく、上図で見られるように、他のタイプの大学や企業に所属し学んだり働いたりしていました。この調査では、2022年のQS世界大学ランキングのトップ100に入った大学で学部を修了した創業者は3分の1に過ぎず、その大半が米国のユニコーン企業の創業者だったことが判明しました。

また創業者の母校として目立った大学は1つもありませんでした。学士号を取得するためにスタンフォード大学、ハーバード大学、ブラウン大学を卒業した創業者は200人中10人未満でした。イスラエル工科大学、デューク大学、マサチューセッツ工科大学、清華大学、ウォータールー大学、ブエノスアイレス工科大学、イスタンブール工科大学を卒業した創業者は5人以下という結果となりました。

ここでいうエリート企業とは、Big 3のコンサルティング会社、Big 5のIT企業、欧米の主要投資銀行9社を指します。同様に、明らかに突出した雇用主や、1社からの「マフィア」は存在せず、これらの創業者の職歴は、個人と同様に多様でした。

データによると、米国企業の創業者はBig 5のIT企業で働いた経験がある確率が高く、新興市場企業の創業者はビッグ3のコンサルティング経験がある確率が高い結果となりました。欧米の主要投資銀行の名前は、新興市場企業の創業者の履歴書からのみ見受けられました。

  • 起業経験を持つユニコーン創業者は全体の約半数

また、高成長企業の元従業員がいかに優秀なスケールアップ創業者になるかも大きなポイントの一つです。上図のように、トップクラスの創業者は、他のスタートアップ企業で働いた経験があるか、その前に創業した経験がほぼ同程度ある結果が出ています。このパターンは、新興市場の創業者にも、米国の創業者にも当てはまりますが、両方の起業経験を持つ特別な創業者は、米国で起業する傾向が若干高い結果となりました。

この他、本レポートでは米国・新興市場それぞれのユニコーン創業者と企業を評価額順にまとめたデータや調査の詳細情報が記載されています。

レポート原文はこちらからご覧いただけます。


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