わたしのインターネット活動の最初期は、ジャニーズファンのおばさんとの戦いだった。

あるテレビ番組で某ボクシング世界チャンピオン（元）と、ボクシングをやっているというジャニーズの男がスパーをすることになった。
わたしは無類のボクシング好きなので、そのジャニーズのあまりのへっぴり腰に失笑を禁じ得ず、その旨をtwitterに書いた。すると、ボクシングのことなど微塵も理解していないおばさんたちから総攻撃を受けたのである。それ以来、わたしはジャニーズに限らず「わたしが小馬鹿にするものを好きな奴」を攻撃することを燃料に、この世知辛いインターネット社会を生き抜いてきた。

朝倉未来を見ていると、この出来事を良く思い出す。
朝倉がメイウェザーとボクシングをしたときのことだ。あんなものはどう考えたって勝てるわけないのである。にもかかわらず、ボクシングのことなど1mmも理解していない教養のない連中は、本気で勝てるんじゃないかと思い込んでいた。勝てるわけないだろ。

おまえの通っている（いた）高校のボクシング部で一番強い奴、そういう奴らを市内中の高校から集めて大会をする。それに勝った一人が、おまえの住む市内で一番ボクシングの強い男だ。県内の各市から一番強い奴を集めて大会をしよう。その県で一番ボクシングの強い男がこれで決定する。おまえの住む県内で一番強い男がそいつだ。そこから1都1道2府43県の各一番強い奴らを集めて日本一決定戦を行う。そこで勝った者が「日本で一番強い高校生ボクサー」である。そこに至までどれほど大変か少しは想像ができたか？
インターハイにより毎年一人生まれる日本一強いボクサーも、当たり前であるがプロになったとてただの一度も世界チャンピオンになれない。それどころか世界戦にすら出られない。
なぜなら、ボクシングは競技人口が多く競争が厳しいからだ。日本の全高校生で一番強いほどの才能を持っていたとしても、そんな連中が五万といるプロの中でさらに本当に才能のあるものだけが世界の舞台に出られる。
世界王者になれたとしても、複数回防衛できるなんてのは奇蹟に近く、2階級制覇など夢のまた夢、来世に期待してもまだ無理だというレベルの偉業である。（だから井上尚弥は化け物なのだ）

さて、朝倉はインハイ優勝者の高校生にボクシングで勝てるだろうか？
わたしは勝てないと思う。
インハイ優勝者にすら勝てない場合、プロ50戦無敗5階級制覇したチート級の伝説を持つメイウェザーに勝てるわけがない。そんなことすら想像できずに、「メイウェザーを本気にさせた」とか言ってる奴がいて知能を疑う。本気にもなっていないし一生勝てない。
昨日野球を始めた小学生と大谷翔平くらいの差があるのに、ただyoutubeを見てファンになったような知性も教養もないファンどもは朝倉とメイウェザーが肩を並べる存在だと思っているのだ。その無教養さは朝倉未来への迷惑にもつながる。ファンでいられると迷惑なんだ、おまえらは。
本気でボクシングに打ち込んでいる人たちからしたら失礼な話でもある。誰だってメイウェザーとはやりたい。なんの実績もないのにyoutubeで稼いだ知名度を利用して順番を飛ばされればムカツキもするだろう。

わたしがジャニーズファンの連中を小馬鹿にする理由は初めに書いた。それとまったく同じことがおまえら朝倉ファンにも言えることが分かっていただけたか。

そもそもキックボクシングでチャンピオンになる為に、格闘技に連なる類い希な才能はいらない。
競技人口が少ない上に、団体が乱立し、参加人数が少ないから各団体のチャンピオンなどたいしたセンスがなくてもなれるのである。小さな山ほど登りやすいのは、おまえらでも分かるだろう。
教室で一番面白い男になるのは簡単でも、吉本興業で一番面白い芸人にはなれない。

朝倉は60kg前後の体重だと思うが、このあたりの階級のボクサーがどれほど凄まじいのか、デービスやクロフォードの試合をyoutubeで見てみればいい。朝倉とメイウェザーの試合がどれだけ貧相だったかおまえらにも分かるはずだ。
最近ボクシング界にも役者が増えてどの試合もビッグマッチの様相だ。ネットで話題のままごと格闘技を見るんじゃなく、本物のボクシングをその目で見てくれ。めちゃくちゃ面白い。
そしてわたしに感謝するのだ。