上京した女の話 7

文系の院生とは付き合っては駄目だ、なぜなら資本主義の廃絶を唱えながら小銭をせびってくるから、というブラックジョークがあるが、それはさておきカップヌードルの知人によれば、安定した勤め口にありつくのは厄介らしい。まず研究費申請に成功しなければならず、そして非常勤講師生活の後に任期制の職を目指し、当たったら数年以内に追加の業績を出してテニュアを狙わないといけない。研究教育よりもポストとグラントの申請書類に時間と労力が割かれる。まさしく「ブルシット・ジョブ」だ。おかげで業界で良い話を聞く機会が少ない。足の引っ張り合いにも見える情報交換もある。知人の後輩はまだ博士号を取れていない。本来なら戦術的に最短コースで主要査読誌への論文掲載を目指すべきで、そのためテーマ設定を工夫する必要がある。率直に言えば受験勉強と似た才能が要求される。しかし、あいにく知人の後輩はいつになっても浪人生気分が抜けず、学部の偏差値で人を値踏みするところがあって知人は困っているらしい。これからどうなるか、先は見えない。