ポマード

何歳くらいだったか思い出せないが、祖父が鬱病になったのを覚えている。
もう一緒に住んでいた時だから、たぶん小学5年か6年だったかな?
全く覚えていないし、祖父が鬱病になったという記憶も、殆どなく、ただ、父が鬱病のリハビリとして、木で彫刻や丸太を削るだけの椅子を作らせて、兎に角、考えを別の方向に向かせるというのが目的でやっているのだ、と教えてくれたのを覚えている。
でもちょっとまて?木彫りの椅子?彫刻?となると、父が既に家具職を始めていたという事だろうか…そうなると時系列が狂う。
というのも、父も私が中1かそこらで鬱病になり、それまでやっていた会社をたたみ、1年程住み込みで他県の技術専門校で技術を学んでから、家具職人として仕事を始めていたので、もしその時間軸であれば、祖父が鬱病になったのは、私が中学生以上の話だと思うし、高校かもしれない。
昔は結構記憶力に自信はあったのだけれど、今となっては記憶力も当てにならないくらいに歳を重ねてしまった、そういう事なのだろうか。
仕事の影響もある気もするが、原因が解った所で記憶はもどらないし考えても無駄だ。
話を戻すが、祖父の鬱病に関しては、だから殆ど覚えていない。
ただ、祖父のポマードの様な加齢臭が結構きつくて、家族がそれを加齢臭と認識せず
「じいさんのポマードがすごい臭いから何とかしてくれ!」
と直接本人にではないが、文句を言っていた。
それをたぶん祖母が祖父に伝えたのだろう。
それを聞いた本人が、ポマードなぞ使っていなかったので、くさいくさいといわれる、自分が発しているその匂いの正体は加齢臭だと理解し、一つ屋根の下で娘や孫たちに毎日くさいくさいと思われながら生きている事がつらくなったのだろうか?
と真剣に鬱病の原因について考えた事がある。
絶対違うと思う。
ただ、もう他界しているので、確かめようがない。
生きていても聞くような話でもない。

だけど、父が鬱になったのは覚えている。
それについては結構長い話になるので、気が向いたら別の機会にでも書こうと思う。
ただ、私も鬱病になった。
27歳位だったかな?
まあ軽度だったから2年位で何とか持ち直したが、鬱々している時に、当時もまだ絶賛鬱病だった父親に
「意味もなく塞ぎこんでしまう時は、とにかく『今の自分はおかしいんだ!おかしなことを考えているんだ!』って外から客観的に自分をみるようにするんだ。あ、今俺はただおかしい事を考えているだけだ、そう思えるように頑張ってみろ」
とアドバイスを受けた。
その時は、
『ははは、ミイラ取りがミイラに一晩もてなしてもらったみたいだなw』
と情けなくなり、ただ悔しさもあり、でも、その辺りから回復に向かって自分の頭をコントロールできるようになったのを覚えている。

結局、祖父、父、私の、おこめ家の全男子が鬱病になったのだが、なんなんだろう。遺伝なのか?
3人とも我が強いからか?
勘弁してもらいたい。
まぁそれでもまだ生きているわけで。
ラッキーだな。
という話。

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