RTA in Japan 2023 SummerにCelesteで走りました

これは何

RiJにCelesteで参加した話のnoteです。中身は応募前の状況から現地で走るまでに何があったか、何を考えたのかの備忘録です。


応募前

 5/5にAll Red Berries(以下ARB)でneroさんの3年前の記録を破り、日本一になりました。当時は記録をこれ以上詰めるモチベはなく、Any%で27分台を出して引退*1しようかと考えていました。しかしその翌日くらいにCelesteのdiscordサーバーの方で、(不幸なことに)夏にARBの大会を開催するというアナウンスが出てしまったので渋々ながら詰めることにしました。

Summer of ARB開催のアナウンス

 ただこの大会の後はいよいよこのカテゴリはやらない/やるとしても当分先だろうと考えていたので、「じゃあそれっぽく走れる内に一応記念で」という気持ちでRiJに応募しました。実際、自分の周りでもRiJで再びCelesteが採用されるのはanyかカスタムマップ*2(かFarewell Golden)のいずれか、あるいはもう通ることはないだろうという認識が主だったこともあり、本当に記念のつもりでした。

当落発表

 どういう訳か採用されてしまいました。上述のとおり採用はないだろうと考えていたので割とマジに驚きました。発表の時間は(夜だけど)昼寝していたので、さては明晰夢の使い手になってしまったかと錯覚してしまいました。
 程なく手続きや確認を経るわけですが、どんな要件(オンライン or オフライン、参加可能日程)で応募したのかを全部忘れていたのであたふたしました。運営さんにわざわざ確認してもらったりもしました、ありがとうございます。
 この時点で解説のtokikumoさんにお声掛けしたところ快諾していただきました。日本人の現役ARB走者は自分と彼しかいなかったので非常に助かりました。解説周りは全部丸投げしてしまったので結構申し訳なかったです。(挙句ちょくちょく台本と違う動きをしたのはマジのガチでごめんなさいという気持ちもあったり)

日程発表~当日

 どういう訳か一番最初に割り当てられてしまいました。発表前は山の日(8/11)のオフラインに適していそうな時間(13:00~18:00)を想定していたんですけどね、良い意味で予想を超えてきました。
 ということでこの日にベストなパフォーマンスが出せるようにIL*3/通しの練習や調整をすることになりました。ただし、2ヵ月で全部チャプターのstrat*4を刷新して手に馴染ませるのは無理だったので、基本的には5月のstratに+αした上でできる限り安定感を上げることに注力しました。
 この趣向が功を奏したのか、上述した大会(Summer of ARB)の1st stageは6位になれました。

TOP16(実際は17)まで本選に出場できた

 そんなこんなで勝ったなガハハと意気揚々と8/10を迎え、ドキドキしながら10時ごろに会場(note place)に到着しました。しかし練習部屋に案内されCelesteを触っている内に

「なんか今日のマデリンは重たいぞ」

と違和感に見舞われることになります。
 思えばここが分岐点で、「まあちょっと動かせば慣れるでしょ」で強行するのではなく(最悪家に帰ってでも)自分のモニターの設定との差異を明確にして調整するべきでした。後の祭りなので今更どうこう言ってもどうしようもないのですが、モニターの明度/ウインドウの位置・サイズ/インチ数の違い/自分とモニターとの距離については最低限確認しておくべきだったと割と後悔しています。
 その後は「まあいけるっしょ!」とCeleste Classicで苺集めたり、応援に来てくださったCelesteコミュニティの人とお話ししてました。とても楽しかったです。

走りに関して

 一言でまとめるとかなりダメダメでした。が、普段から自分の走りを見ている人以外には中々バレにくい終わり具合だったのでなんとか助かりました。一応反省という事で何が良くなかったのかまとめますが、見てくれた方の「凄かった!」の感動が薄れるのはよろしくないと思うので分からない人には分かりにくい書き方をします。

1.基礎動作*5周りがしなしな
 あらゆるところの動作が緩慢、壁登りが壁キックに化ける、ボタンを上手に押せていない、ダッシュミス多すぎなどなど。特にボタン関連が上手じゃなかったのは致命的でした。ジャンプボタンをいい感じに押せず、ハイパー/スーパーの飛距離が足りないなんて事が多発したのが悔やまれます。

2.セットアップ*6のある事ができてない
 基礎動作ができていない事から派生して、色んなことが上手にできませんでした。4A b-01のダッシュ→先行入力ダッシュ→1/5 or 2/5ハイパー、2nd blockless、nero cycleなどなど、指がちゃんと動けば難しくない/絶対にミスらないはずの事で苦戦しました。正直マデリンを上手に動かせないことが分かった時点でこうなることは容易に想定できていたでしょうに、どうして甘えてしまったのか...。

3.リカバリが適当
 その上で当日まで「そんなにミスらないだろう」「それよりも今の動作の精密性を上げるのが得だ」と見込んで挑んだためリカバリのほとんどが適当になってしまい、さらにグダる原因となってしまいました。勘や経験値でカバーできたところもそれなりにはありましたが、それでも2AのWinged berryと8Aのcassette roomは本当の本当にダメでした。一応両方ともリカバリ案は考えていたつもりだったのですがシンプルに練度が足りていませんでした。

 他にも反省したいことはたくさんあるのですがこの辺りで勘弁しておいてあげます。しなしなになってしまった原因は上述したモニターへの意識の欠如だけでなく、たくさんの人に見られている/トップバッターであることによる緊張もあるでしょう。なんにせよ、この先現地でCelesteをやる人はこの辺りを踏まえて作戦を練っていくのがいいと思います。

RTA道場

 Cabbageさんの主催するRTA道場の方にも出展させていただきました。

 Celesteを教えたり見ていく中で自分や身内が普段いる沼の深さを相対的に感じ取ることができて面白かったです。
 色んな人と話しながらCeleste走者を増やす術を見出したいなあと思いながらも、現状では「上手くて忍耐力のすごい人が勝手に生えてくるのを待つ」以外にエクセレントでリーズナブルな解決策を与えるのは難しいと結論せざるをえないのがなんとももどかしいです。

感想

 なんやかんやこれに尽きます。イベント期間中はCeleste関連でやる事/やりたい事に追われていてしっかり振り返る余裕はなかったですが、4年目に差し掛かるRTA/speedrun生活においてこんな大きいイベントでその総括となるようなランを披露できてよかったです。
 自分はCelesteスピードランコミュニティ(特に日本)ではもうすっかり古株の一人ですので、(自分より上の世代の人たちがそうであったように)自分のランや記録が誰かの記録や機会を目指すためのきっかけとなれれば幸いです。

これから

 方々で言いふらしていますが、もうしばらくはCelesteを頑張ります。ただ諸々の目標を達成した後にも続けているかは分からないです。他のゲームのRTAにも興味があるのでそっちに移るかもしれませんし、一生Celesteやっているかもしれません。

自己紹介
名前:enen
RTA歴:Celeste(2020~)

注釈
*1 この場合文字通りの引退ではなく小休止することを意味する
*2 開発元ではない、有志の作成したマップの事をカスタムマップという。改造/二次創作に対する認識のギャップの問題から選ばれるハードルはかなり高そうではある。GDQとかでは案外走られている。
*3 Individual Levelの略。直訳すると個別レベル、意訳すると各チャプター毎(に練習)といったところ。Celesteでは各チャプターをそれぞれ練習して記録を出し、全部がいい感じになったら通す(Full Game/Full run)という流れが一般となっている。
*4 strategyの略。訳語は戦略、というとちょっと大げさで実際のところはスピードラン的な動き/導線全般を指す。広く浸透して(しまって)いる言葉で言うならチャート。
*5 マデリンをどれだけ上手に動かせるか。例えば着地後に先行入力が出来ているか、ジャンプを最適なタイミングで押せているか/離せているか、サブジャンプボタンをどれだけ使いこなせているか、グラウンドウルトラが最速で出せているか、などなど。挙げるとキリがない。
*6 何らかのstratや動きをする前に行う準備動作。一見難しそうな動き(demo抜けとか)についても、所定の動きや入力を事前に仕込んだり目印で判断することで確実に成功させることができる。

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