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シアターコクーン「罪と罰」

渋谷・東急文化村・シアターコクーンで、「罪と罰」を見てきた。ラスコーリニコフが三浦春馬、ソーニャが大島優子。3時間40分の長丁場、一日二公演のタフさに驚く。階段状の舞台に群衆がいる中で、登場人物たちがどんどん場を変えていき、金貸しを殺したり、母や妹と話し合ったり、自室で絶望に沈んだりする。深刻で、固唾をのんで見守るシーンが多いが、ラスコーリニコフがポルフィーリーの部屋を訪れるシーンだけはやけにコミカルで、ここは笑い声が漏れた。アコーディオンとクラリネットとチェロの生演奏があるが、ピットではなく、奏者も衣装を着て群衆に混じりながら、突然音楽を奏で出す。舞台は全体に暗いが、光がさしたときの美しさとか、人が集まったシーンの絵画的な効果とか(マルメラードフの葬儀のシーンはまるで「最後の晩餐」のようだ)、視覚効果が大きく印象的。麻実れい、勝村政信などのベテランが存在感を示す。三浦・大島はそれに較べると線が細い印象、セリフもやや噛んでいたし。とはいえ、最後のシーンで、それまでずっと着ていたコートを脱いだ三浦春馬は流石の存在感だった。始まる前は上演時間3時間40分長いな、と思ったが、そりゃ原作がそれだけ長いのだから、冗長なことはなく、すべてのシーンに理由がある感じだった。原作を読んでから35年以上たっていて、その長い長い物語の大半は忘れてしまっていたが、読んだときの印象がそのまま甦ってきたのは、ドストエフスキーの力なんだろうか。
観客は大半が女性。大島優子目当て、って人はあまり来ないのかな。

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