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「自律的な組織」と「達成型目標」はあんまり相性が良くない

最近、自然経営研究会の運営をしている中で、「目標」をどういうものとして捉えているのか、というのが、一つ一つの振る舞い、判断、人との関わり方などに、かなり大きな違いを生むんだろうなと感じました。
この違いを勝手に、「達成型目標」と「状態型目標」と名付けてみます。

「達成型目標」と「状態型目標」の違い

きっと、どこかで似たようなことの定義は過去にされているに違いないなと思いつつ、「達成型目標」と「状態型目標」の違いはこんな感じで捉えています。

「達成型目標」= 何らかの「ゴール」に到達することを目指す
「状態型目標」= 何らかの「状態」を維持、持続、発展させることを目指す

例えば、よく作られる「経営計画」「年間目標」「事業計画」みたいなものは、一般的には前者の「達成型目標」として作られます。ティール組織のパラダイムで言うとOrangeな組織でよく用いられる、という言い方もできるかもしれません。

「達成型目標」は、成し遂げたいことが明確にあって、沢山の人が集まることで、一人ではできない大きなことを成し遂げる、というときには非常にフィットします。
イメージで言えば、「○万人が関わってピラミッドを建てる」みたいな感じです(笑)

一方で、「状態型目標」は、自分たちにとって良い状態を持続させることを目指すもので、一般的に言うと、「企業文化」とか「行動規範」みたいなものはこっちに近くなります。
あまりに頻繁に参照されていますが、たとえばNetflixが「Dream Team」を作ることこそが大事だ、と言い続けているのは、「状態型目標」だと捉えられます。

自然経営研究会の「目標」は何か?

この2つの目標の切り分けが大事だと思ったのは、自然経営研究会という団体は、「状態型目標」のほうに重心があるんだと感じたからです。

自然経営研究会は、「固定化したビジョン」を持っていません。
ビジョンは「変わり続けるもの」であり、「常にアップデートされる」し、さらには「誰がアップデートしても良い」と位置付けています。
詳しくはこちらのページに。

自然にまつわる日常的な会話、振る舞いの中だと、「何を達成するか」よりも、「関わっている一人一人が、やりたいことをやれているか」の方を大事にすることが多いと感じています。
これが先程の切り分けでいうと、「状態型目標」にあたります。

もちろん、長い目で見たら、現状のビジョン(ver1.2)で言っているような、「自然的な経営が再発見され、広まっていくことを実現したい」という目標?はあるといえばあります。
ただ、それも「結果的に今の良い状態が続いていれば達成されるはず」という、楽観的な確信みたいなものがベースにあって、「結果的にそっちに進んでいくんだろうな」というくらいにしか思っていません(少なくとも私は)。

関わる人が自律的になるほど「達成型目標」は難易度が上がる

自然経営研究会が、「一人一人がやりたいことをやれている状態」を目指そうとすると、どんどん「自律的な組織」になっていく、とも表現できます。
言い方を変えると、特定の誰かが「何が達成されるのか」を事前に見通すことが原理的に難しくなる、という状態に近づいていきます。

たとえば、いま「自然ラボ」という、短い動画、クローズドなQ&AのFacebookグループやzoomのミーティングなどを組み合わせたオンラインサロンの立ち上げの企画をしています。
これは、3ヶ月前には「オンラインでなにか出来たら良いよね」と漠然といっていただけだったのが、オンラインサロンの書籍を出されている中里さんが関わってくれるようになったことで、一気に形になってきました。

あと、ちょうどこの記事を書いているところで、「自然のリトリートやりません?」という話を山下悠一さんからもらったのと、「Rodgeをもっと活かすには何ができるかな?」と運営している功力さんとのやり取りが並行して進んだ結果、自然のリトリート企画が立ち上がりつつあったり(笑)

こうやって「具体的には見通せない」けど「前に進んでいく」感じだと、予め決められて期日までに何かを達成することはできません。
逆に、予め決めておいた「達成」を目指すと、どうしても、「やりたくないことを誰かが引き受ける」という構図になりがちです。

ここは、本当はもっと良いやり方を見つけていけるのだと思いますが、まだまだ良いやり方は蓄積されていないのだな、と思います。

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