澤井康佑(2017)『一生モノの英語力を身につけるたったひとつの学習法』(講談社+α新書)


本書は元予備校の講師・澤井康佑の英語の勉強法に関して記されている。私が本書に出会ったのは、古本屋で興味がでた本の1冊だった。英語に興味を持っている私にとっては、ぴったりの1冊であると思った。
 著者は英語学習には手順があると説明している。まず第1に、文法学習である。著者は外国人が日本語を喋れるようにするためには、我々日本語母語話者が多くの量の、細かい文法規則に従って日本語を用いている以上、当然のことながら、同じだけの量の文法知識を獲得する必要がある、と述べている。大量の文法知識を暗記することは極めて困難なことなので、分類・整理が必要である。そうすることで、日本語を自在に使いこなせるようになる。この逆で、英語学習においても同じ事が当てはまる。ネイティブスピーカーが無意識のまま使いこなしている英文法の理論、理屈を意識し、これを丁寧に分類・整理しながら学ばなくてはならない。つまり、膨大な量の文法理論の学習が必要不可欠である。
 第2に、読解力である。文法を身につけたあとは読解演習をするべきである。4技能の中ですべての基本であるからだ。日本英語教育の問題点は「読み・書きはできるが、話すことができない」こととよく指摘されるが、実際は違う。話すことよりもまずそもそも読むことができていない。現代は高度な読解力が必要な時代である。日本人が古文の読解をする際には「品詞分解」をし、細かく分解をしていき意味を解読していく。母語である日本語の時代がズレタ言葉を理解するのでさえ、細かな文法関係の分析が必要である。つまり外国語、英語の意味を正確に捉えるためには。より慎重に読み解かなければならない。一言一句、文法についても確認することが必要である。そしてこの読解力はリスニングにも必要である。聞いて理解するためには、そもそも単語力、読解力が必須となってくる。
 第3に、語彙力である。単語の記憶法について書かれている。著者は単語帳の使用に賛成している。しかし、覚え方を正しくしなければ意味がない。丸暗記は意味がない。「その語の基本となる意味、中心の意味、語源を知る」ということである。そして、英語から日本語にすることと、文の中でどのように使われているか、単語を覚えるときには重要なことである。単語だけが書かれている単語帳は最近ほとんどなくなってきているが、このような本はおすすめできない。文の中、フレーズの中で単語が使われている単語帳を選ぶべきである。また学習者にとって一番いい単語帳は最大公約数を意識して作られている単語帳である。TOEICやTOEFLや英検など様々な人向けに作られている単語帳が一番いいと著者は述べている。
 第4に、音読と筆写である。単なる平凡な作業の繰り返しではあるが、非常に重要な事である。音読と筆写は誰でもどんな場所でも行うことができ、また、多額の費用がかからない。非常に効率のいい学習法である。また音読することは、脳の活性化にもなり記憶力や集中力も上昇させることができる。
 最後に、辞書の活用について述べている。結論から言うと紙辞書を用いるべきである。電子辞書には、持ち運びが楽、音声機能があるなどメリットもあるが、デメリットもある。紙辞書は単語を覚える点では優れている。一度引いたところはチェックすることができ再び引いたときに以前引いたところを確認することができる。この点が紙辞書よりも優れている点である。
 この本は英語の達人と言われる人たちが実際に行ってきた学習方法であるのでこの本に従えば英語力は身についていく。英語の学習方法がわからない方はおすすめの学習方法や教材が書かれているのでそういう方々におすすめの一冊だ。
 

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