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春の短期集中バニーホップ合宿 その2700本目。

 身体がガタピシになってからしばらく、丁度2ヵ月ぶりにバニ100をやってきた。 土曜日昼から三日連続雨ということで思い残すことなきよう、目一杯遊んだので満足、というより身体が動かなくなるまで遊んだので遊ぼうにも遊べないといったところではある。

 前回のバニ100から色々あって左のテニス肘がかなり悪化し左腕も痺れが出てこれはちょっと本腰を入れて治さないと手遅れになりかねないー と思い一番負担の大きいバニーホップを封印し、バーも変わり左肘になるべく負担がかからない乗り方はどうだと悪戦苦闘しついぞ生き長らえてきた。
 正直仕事の納期物が三件重なったり納期削られたりして連勤術などにいそしんでいたのもある。
 そんな中、何か出来ることはないか、出来ること出来ることと見飽きたhow toなんかをまた一通り見直したり、そうだ、マニュアルやバニーホップ180にも繋がるフロントアップをもっと完成させよう、と思いついたのだ。 スローなフロントアップなら肘も壊れないかもしれない。

もはや駐輪スタンドと化しているマニュアル練習台

 このマニュアル練習台は作ったはいいものの、ただフロントアップ自体の練習にはあまりならないなあと思う根拠に、フロントアップの手順にあるバーを後ろへぐいと引く動作、その力をマニュアル練習台が受け止めるとするりとフロントホイールが浮いてゆく。
 これを実践走行中に行うとなると、リヤホイールは何物に支えられることもなく後ろに逃げ、思った量のフロントアップモーメントを発揮しない。
 それをふまえた上でマニュアル練習台の上でジタバタしている時に何となく思う。

 腕によりバーを引く為に身体を背中から後ろへやると、10kgちょいしかない自転車は易々と後ろへ逃げる。 つまりは、足元で自転車を前へ送り出せばよいのではないか? 

 その動作をマニュアル練習台の上でやると自転車は前進し練習台から離れ支えを無くして左右へバランスを失うだろう。 
 そのマニュアル練習台によるフロントアップの練習こそ、もしかして悪癖の権化なのではないか、と思ったのは道でそのフロントアップを実践してみてからである。

 思えばバニーホップ60センチの壁にあたり一年を超え四苦八苦している間に考えたことの一つに、フロントが上がってゆくその一番美味しいときに膝が既に伸びきりバネが使えていない。 自転車が立ち後輪に完全に荷が掛けられるときに最大の筋肉はその用を既に終えている。 そこでこそ発揮すべき膝は既に棒になっている、つまり脚の動きを0.05秒~0.1秒ほど遅らせればよいのでは、と。
 完璧な作戦である。 実際にそのように身体が動くのであれば、という話ではある。

 脚を遅らせる事が叶わないなら腕をもっと早く引けばいいのだ。

 この考えはかなりいい結果を生んだ。 BBを支点としたテコの力でタイミングがあえば結構な上昇ムーヴを生んだ。 気持ちよいぐいんとした上昇ムーヴ。
 ただ身体の限界を超えてバーを引きまくった結果、肘は壊れてしまったのだが。 そして60センチを超えることもなかった。

 八方塞がりのままその一年を過ごしてきたわけだけれど、全ては背中でバーを引くフロントアップにあったようだ。
 背中でもって引こうとするとどうしても動きは後ろ斜め上に向かってしまう。 タイミングを同じくして脚が伸びてしまうのも加味される。
 そしてフロントを上げたいときに全力でBBに下向きの力を込めているのだから、そりゃあフロント重いでしょう。 それの解決策もあまり思いつかず、まあテコを使うからタイミングとバランス次第だよねとか考えていた。
 足元で自転車を前にスライドさせるフロントアップ。 端から見ると何も変わらないように見える。 実際あまり大きくは変わらないのだろう。 気分の問題、または宗教の違い的な。
 だが起こった結果は相当に変わった。 それはもう驚くばかりだった。 今までずっと上手い人の動きをみては、フロントを押しながら脚をタメて、とかバー引きと膝のバネを発揮させるタイミングとか。

 背中で後ろへバーを引く、のではなくて腕と脚で自転車を前へ送り出し腕が伸びきる、その時重心は低くフロントに荷はかかっていないし普段以上にBBに体重がない。 体重は後ろへ貰われた状態でフロントが浮き始めてからバーを引き脚を点火し爆発させる。

 全て解決したように思う。

 背中で引くフロントアップは自転車に後ろ向きに力が逃げる動きになるというのは先程記述した通りだけど、足元で自転車をスライドさせる動きはそもそも自転車が前へ向かう力が止まりフロントが浮くので後ろ向きの力が全てバーとペダルに使用される。

後輪に乗れてないかつての無理なフロントアップはどこまで上がるかは神の味噌汁だった。

 そして最も違うのが、身体の重心がかなりリヤホイールに乗るということ。自転車を押し出すには棒立ちでは無理なので膝を曲げ、腰を落としてバーを斜め下へパンチする感じになるが、これも以前出来なかった動きで腰が低い状態からフロントアップに入るというのが背中引きでは不可能だった。  低い状態からバーを斜め下に押し出しプッシュと引きモーメントを同時に行うと腕が延びきったときに腰はリヤホイールの上にある。 バーが引かれフロントが浮き始める時、まだ膝はタメている。 BBを地球のマントルに向けて踏みしめてはいない。
 かつてのフロントアップで最も重かった角度を軽々超え、 いや、実際にフロントがめちゃくちゃ軽いのだ。 フワーンと。 膝が伸び始める。 あんなに切望した脚を遅らせるモーションが簡単に! そして肘がまったく痛まないのだ。

 とにかくものすごく感動して興奮して色々やってみるとかなりいいフロントアップ状態を連発できるようになった。

何も意識しなくても毎度腰までバーが引ききれる。

 これをやり始めた頃、後傾すぎて捲れて自爆バックドロップを食らうのではと心配したが実際は手応えとして判りやすくそんな感じはしない。 
 フロントをどうにか上げたくて無理やり上げていた頃のほうが限界を超えて捲れてエマージェンシー乗員射出していた。

 もう全てが完璧だった。 これが求めた物だ。 答えはここにあったのだー! と

 思ったが、今のところ以前の記録を上書きするに至ってはいない。 まだまだ新しい動きに慣れていないので、以前の手癖跳びを20本ほどやってしまってから、えーっと確かこう… という具合に時間がかかる。
 ただこのフロントアップは慣れると上げ損なう事がかなりなくなりそうなので物跳びをするにしてもコンクリート等にチャレンジしていけそうな手応えを感じる。 ただまだ今はリヤが浮かないのでまだやらないけれど。
 リヤが浮かない。 今までテコ的力を解放してリヤホイールが簡単に浮いていたのだけどこのやり方、ジャンプ力がモノを言う感じでやってみて思ったのは自分、全然ジャンプ力ないですね…… という事実だった。
 あとはもっと意識してしゃくるか、しゃくるついでに刺しなどもやってみるか。
 今まで意識的にしゃくることはしてこなかった。 上がってくるリヤホイールの邪魔をしないように膝を曲げていただけ、 と表記するのが相応しい。
 前の跳び方によると刺しを行う時間的余裕はまったく感じることが出来なかった。 が、今回の跳び方はもしかするともしかして、 ふわりと浮くことが出来るかもしれない可能性をたいへん強く感じるものである。

 まだまだ模索状態ではあるけれど、かなり可能性を感じているバニーホップ2700本目だった。
 ただフロントアップに結構時間を要するので物跳びのタイミングが掴めない。 フロントが対象物に掠る。 これも数やって慣れるしかないけれど、コンクリートや鉄を跳ぶにはこの辺も成功率145%くらいにしておかなければならないね。 もう怪我が完治する歳ではないのだ。

 ただこの歳になってもまだこんなにワクワクできる事があることが何よりもうれしく楽しい。 今年こそカラーコーン跳べる、 かもしれない。

 そういえば左肘のテニス肘はかなりよくなってもう無理をしたときに少し痛むかなというレベルにまで治った。 ただ左腕にくる痺れは別な原因のようである。 使っていると感じなくなるのでとりあえず無視しておこう。 左肘より前に壊れていた右肘のテニス肘はいつの間にか完治している。 もう全く痛む感覚はない。 麻疹みたいなものなのだろうか? 左肘も完治したら有り難いが。

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