総合BPIについて

はじめに
総合BPIの計算方法は直感的にかなり見慣れないものだと思います。今回はBPI考案者の一人として総合BPIの計算方法の簡単な解説、および大会での利用案をざっと書きたいと思います。

単曲BPIについては多くの方が既になんとなくのイメージをお持ちだと思います。
(0が皆伝平均で、100が歴代、50が真ん中)
単曲BPIについてのより細かい(マニアックな)議論については以下のページをご覧ください。

ポアソン分布を用いたMAX近傍でのBPI補正について(私案)

またnorimiso大先生のBPI定義(原義)についても適宜ご参照くださいませ。
http://norimiso.web.fc2.com/aboutBPI.html

今回は単曲BPIがそのスコアの価値を算出出来ているとして、ある人の全曲についての実力、すなわち総合BPIをどのように計算しているのか、またどのように計算するのが望ましいかを考えたいと思います。

元々の総合BPIについて

大昔に総合BPIを考える時に、いわゆるスコアの合計値のような指標(例1:冥+卑弥呼+灼熱ランキング、例2:☆12全曲合計スコア)では、ある楽曲を未プレイの人は、実力を計算できなくなってしまうことが問題でした。

☆12の単純平均BPIを計算するとしても、未プレイ=欠損値をどう処理するかは悩ましい問題です。また未プレイの楽曲はBPI0とすることとしても、総合BPIを考えるときに単純にBPIの全曲平均を取ったりすることも☆12の埋め率の影響が大きくあまりうまくいきません。

実際には未プレイの楽曲の影響は低く、高いスコアの楽曲の影響が高いように重みを付けることにしました。
例えば、BPI100の楽曲を1曲だけ持っていて他の楽曲は全て未プレイ(もしくはBPI0)のプレイヤーがいた時に、総合BPIが50になるように重みを逆算しています(いました)。
同様にBPIが80の楽曲が1曲だけあり、他の楽曲は全て未プレイの人は総合BPIが40になるような重みづけを設定しています。

このように1曲でも高いBPIを持っているプレイヤーの総合BPIを高く評価するように重みづけをしていた理由は、BPIという指標が歴代トップを非常に重視しているためでした。オールラウンダータイプよりも尖った武器曲を持っている人の方が歴代トップスコアのさらなる更新に近い、それだけ価値が高い(総合BPIが高い)、ということを元々の設計思想としていました。

ここで総合BPIを計算する際の前提としては、☆12の楽曲は一通り触っているということを念頭に置いていました。これを考えた10年前の当時(Tricoro前後)は☆12楽曲も少なく、それなりに作品をプレイしている人であればスコアをある程度つけることは前提としても良かったと思っています。
全曲は埋めなくてもわかるけど、ある程度は自然体で埋まっている、くらいのことをこの計算式ではイメージしていたと思います。

大会コストにおける総合BPIの利用について

BPIが考案されたのち、多くの人によって改良されつつ今のBPIは広まっていきました。このことについては広めてくださった方、一度でもBPIを使ってくださった方、全ての皆さまに非常に大きな感謝をしています。

また非常に驚くべきことに、大会出場者の”コスト”としてBPIを利用してくださる例もありました。これはBPIを考案した我々も全く思いつかない利用例で、BPIが低いプレイヤーにも大会進行上大きな意味があるという点で非常に画期的な利用方法だと思いました。

ところで、大会コストとしてBPIを利用しようとする場合、ある選手のBPIが不必要に高く出てしまう、もしくは不必要に低く出てしまうと大会の楽しさを損なってしまいます。

・総合BPIが不必要に高く出てしまう場合
総合BPIの定義から、1曲だけ超尖った武器曲(例:FAXX)やその他飛び道具系で歴代近辺を持っていると総合BPIが高くなりがちです。総合BPIは一番高い単曲BPIの半分以上であることが計算上約束されているためです。
またBPIの計算上、単曲BPIが高く出やすい曲(新曲やあまり多くの人が詰めていない楽曲、歴代が詰まっていない楽曲)でBPIを稼いでしまうと同様の理由で総合BPIが高くなります。

一方で多くの曲を埋めているからBPIが不必要に高く出るということはあまり考えにくいです。一番高い単曲BPIの半分未満のBPIであれば、スコアが付いていても未プレイでも総合BPIに与える影響は小さいです。
いくつかのケースでBPIがやや高めに出てしまうことはありますが、著しく不公平なケースは現実にはそれほどないと思います。

・総合BPIが不必要に低く出てしまう場合
反対にBPIが高い曲が全くないケースでは総合BPIが低くなりがちです。得意曲で本来出せるはずの高いスコアを出していない、詰めていないときに起こります。地力系楽曲のオールラウンダータイプも総合BPIは低くなりやすいです。加えてBPIを稼ぎやすい楽曲を全くプレイしていない場合にもBPIは低く出ると思われます。
そのようなケースで、かつ、ほとんどの曲を埋めていない場合はBPIは不必要に低く出てしまいます。

単純に『プレー頻度が少なくて欠損値(未プレー)が多く自己べも詰まっていないプレイヤー』、なのか、『わざとスコアを偽装してBPIを低くしようとしているプレイヤー』なのかはここでは考えないことにします。(そのように偽装する価値があるほど、BPIをコストに用いるケースは多くはないと思われるからです)

・大会のコストとしての総合BPIはどのようにあるべきか
(ここからは完全に私案ですので、各大会主催者はそれぞれのニーズに合った総合BPIなり、コストを設定していただければと思いますが、)

通常の大会では一発芸だけで勝ちあがることは難しいはずなので、高い単曲BPIを持っていることを殊更に高く評価する(歴代トップ更新の可能性を高く評価する)のはあまり意味がないことと考えます(不必要に高い総合BPIを発生させない)。

一方で、大会出場者に☆12全曲を埋めさせるというようなことは現実味がありませんし、上位10~20曲程度のBPIを見れば実力は何となくわかるはずというのも合理的な判断であるように思います。
(不必要に低い総合BPIを発生させない)

ここでの提案は、『大会コストとしての総合BPIは、各人の単曲BPIを高い順から10曲選んで平均(or中央値)を取ったものとする』、『単曲BPIのトップ10はその人のプロフィールとして公開する。』
というやり方です。これが最も簡便な計算式で参加者が理解しやすいのではないかと思います。
この方法ですと、10曲以上歴代を持っている人は全員同じコスト(総合BPI=100)になってしまうのですが、そのような超上級レベルではなく、あくまでも通常の大会レベルでの設定を想定しました。

最後に

BPIが広く使われており、多くの人がBPIに基づいてビートマニアを楽しんでいることを考案者の一人として非常に嬉しく思います。今後ともBPIに関わる全ての皆さまがより多くのビート楽しみを得られることを祈念しています。

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