タスマニア

何もない 贅沢

思いもしなかった

何もないことが
こんなに贅沢だなんて

電話もない
テレビもない
社会から切り離された空間

携帯をいじって「いいね」する必要も
ニュースやドラマの続きを気にすることもない

あるのは
空と大地と
ちょっとの荷物を乗せた
借りものの愛車

絶景を独り占めしながら
大切な人と ワイン片手に語り合い

一日の終わりが
映画のエピローグみたいに
静かにゆっくりと流れ

いつの間にか
太陽が顔を隠し

暗闇がすっぽりと世界を覆う

何もないのは変わらない

なのに
こんなにも満たされる

不便なのに
これ以上ないほどに 心地いい

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