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グルーヴについての私見

グルーヴ、grooveが何かは、以前は説明が難しいものでしたが、最近はリズムやビートのズレと説明する場合があったので、一言私見を述べます。私の分野はクラシック音楽ですが、grooveはクラシックでも関係するところがあります。ズレをつけることがgrooveではない、ということは絶対に間違えてはいけません。また、ネットの情報は、間違っていても使われていることが書いてありますから、正しくないことが多いので、参考にはしても、絶対にネット情報を信用してはいけません。あっ、ここもネット情報です。

リズムボックスなどのコンッピュータが使われ始めたころ、全てと言ってもいいと思いますが、プレーヤーはリズムボックスではのれない、と言っていました。いまはリズムボックスについてそういうこと言うプレーヤーはほとんどいないでしょう。まず、この辺りから批判が来そうですが、実は、プレーヤーがのれないと言った理由は明確で、自分達が作るリズムやビートは正確に同じ時間間隔ではなく、微妙にずれている、それがあるからこそのれるのだ、というものです。これで十分でしょう。音楽のビートやリズムは数学のように正確な比ではないのです。だからそこを理解していないと grooveというものは理解できません。もちろん近い日本語はのり、ノリですが、grooveは生演奏に使うもので、のりのいい曲ののりとは意味が全く異なります。高揚感がなければgrooveとは言いません。のりを良くするには、本当に正確なリズムボックスではだめなのです。体が覚えたリズムでないとのれないのです。

ここからは、クラシック音楽の話です。クラシックの演奏家がgrooveを知らないことはなく、その言葉を使っていないだけです。従来から名曲を演奏するクラシック演奏家はむしろ自然にそれを行なっている場合があるから、特別扱いをしていないのです。だから、バッハを聞いてロックミュージシャンが共感するのは当然です。ではどういうことはというと、クラシックでも同じです。例えば、舞曲は体の運動を使いますから、そのタクトはメトロノームのように全部同じ長さではなく、その動きに合わせたものなのです。ウインナワルツは二拍目がやや長いですが、ワルツではこのときのステップはやや広いのです。ガヴォットは二拍目から始まり,、飛んで着地したりしますが、2、1、2、1のタクトは、当然性格が異なる、均等ではない独特のものになります。音楽の進み方を示すタクトは、単に時計のようなものではなく、拍ごとに性格が異なります。決してメトロノームで刻むのが正しい拍子ではなく、メトロメームはあくまでもテンポを示す道具であることを忘れないことが大事です。

次はリズムの話ですが、タクトだけでなくリズムもその性格から、楽譜に書かれた通りの長さの比ではありません。これはクラシック以外ではやはり当たり前のことです。例えば付点音符とそのあとの短い音符の関係は曲により様々です。また、同じ長さの二つの音にスラーがついている場合も、リズムとしての二つの音符の長さは曲によって変わります。そして、リズムからタクトの長さが変わることさえもあります。これがずれると言われるgrooveにつながることでしょう。

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