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ゴジラに少しでも興味を持てる人は、とにかく「シン・ゴジラ」観なさい!

今、すっごく話題(かな?)の「シン・ゴジラ」を観てきました。
ネタバレせずに語るのはほぼ不可能。。。
とはいえ、ストーリーはできるだけ語らずに個人的な見どころを少し書いてみたい(って可能かなぁ、、、

▶︎ゴジラかっこいい!

まずは、ゴジラの造形はとても凶悪でかっこいい。トゲトゲ感も目の無感情なところも無敵感があってよろしい。そして、初期の間抜けなほどぼよんぼよんな形態も愛らしいw

シン・ゴジラを野村萬斎氏が動きをやってると聞いていたので、思わずあのぼよんぼよんなのもそうなのだろうか?とか思いながら見てしまったw

怪獣映画やウルトラマン系にしても、昔は巨大さが売りだったけれど、今のようにでかい建物だらけになると建物よりずっと小さくて迫力ないよね、とか言われたりします。60年前の初代ゴジラの頃は東京も高層ビルはありませんでしたが、今の東京ではゴジラよりでかい建物だらけ、、、
でも、それによるゴジラの矮小感というのは、抜群の破壊力を含めてうまく処理されているといえます(そして退治する部分においても)。

ゴジラの暴れ具合は、最初のぼよんぼよんな状態から、後半のビームをだしまくりで東京破壊しまくりまでひたすら楽しみましょう。映画的にはゴジラによる、高層ビルだらけになった都心の破壊ぶりも大きな見ものです。

▶︎俳優陣が豪華というか多すぎるw

エンドロールでの協力会社や施設の多さから、自衛隊にいたるまでよくぞこれだけって思う。さらに大量の俳優陣。エンドロールをみて、多彩さ、よくこれだけ集めたな、どういう条件で出てもらってるんだ、そして、こんな人にどこにでてたっけというのも、、、(ということで、それを確認するためにも再度観るはめに?!w
個人的には犬童一心氏などの映画監督3人が御用学者をやっててちょい役なのに目立ってるのがおかしかったw

それから、メインキャストの石原さとみはこのためにイーオンの英会話やってたんですね!(違います、、、

とにかく、観てて、こんな人がここにみたいな連続です(そして妙に納得もするww

▶︎音楽はちょっとね、、、

映画に限らず演劇など音楽はメインではなくとも大きな要素です。そしてどうしても私としては会場での音響含めて気になってしまいます。
音楽はオリジナルの伊福部昭氏の音楽に加えて鷺巣詩郎氏(エヴァンゲリオンとかもそう)が担当しています。
あとでも述べるようにこの映画はパロディや風刺にも満ちていますが、その一環としてエヴァンゲリオンの音楽も流用されていたりもします。
そして、いつも思ってしまうのですが、映画監督の音楽の趣味って微妙にわからんなぁと思ってしまうところもあったり。。。(黒澤明氏も宮崎駿氏も音楽のセンスがそれほどあるとは、、、(をいをい

音楽に関してはややパワーも劇伴としての効果としてもやや疑問を感じますが、それはオリジナルの伊福部昭氏の音楽のイメージを自分が強くもっているせいかもしれません。こればかりは、知らずに聞いた方があまり気にせずにいられるのかもしれません。
伊福部昭門下生の誰かが引き継いで音楽を作ってたらどうなったかなともおもいますが、きっとそれだとやはり二番煎じ感も出てしまうでしょうから、そうもいかないでしょうね。。。

▶︎前半さえうまく乗れれば、絶対はずれない映画

映画の出来はきっと多くの人が満足すると思います。怪獣好きだろうが特撮好きだろうが、映画好きだろうが、単に夏休みの息抜きで映画を見に行った人であろうが。。。
今のところこれほどネガティブな評価が少ない特撮映画は珍しいといってもよいでしょう。でもだからといって万人向けかというとそれはそれで違うとおもいますが。

庵野監督は以前から知られるように、岡本喜八監督を大尊敬していて、その表現の延長がエヴァンゲリオンなどにも色濃く反映されていますが、この映画でも特に前半は、そういった画面構成、表現の仕方などなど(他の記事で見かけましたが「日本の一番長い日」とかね)を含め、様々なパロディと風刺、そして大量のカット割りでできあがっていて、そのスピードと雑多さと場面転換についていけるかが好き嫌いを分けるかもしれません。

この映画の大きなポイントはリアリティを追求しているふりをした大量のパロディと風刺です。。。それを下手にリアリティを追おうとしてるという評価軸で考えると妙な錯覚やマイナスポイントを感じるとおもいます。
まぁ、そういったノリに少々乗れなかったり違和感があったとしても、後半で十分お釣りがくる程度のことに私には思えます。(それでもこのノリに乗れるかどうかは楽しめる度合いを相当左右はしそうです)

映画上の大量のパロディとオマージュは、映画に詳しくない私にはきっとほとんどわかってないのではないかとおもいますが、マニアはすごく楽しめるのでしょう。個人的に気に入ってるのは、ハリウッド版ゴジラで渡辺謙が日本人として「ゴジラ」と発音したのにたいして、石原さとみはわざわざ「Godzilla」と発音してみせるとか(やっぱ、このためのイーオンですよね!(しつこい、、、))きっと小技は山ほどあります。

初代ゴジラは芹沢博士という孤高天才の博士の作り出した兵器によって退治されるのにたいして、「シン・ゴジラ」では天才的博士(なぜか写真肖像は岡本喜八監督)の残したヒントにたよるにせよ、そこには集合知と、世界規模のネットワーク、人のつながりによる退治兵器の製造という対照性とか。。。

でも、あまりに地味な退治方法は今の日本らしいというか、ハリウッドなら絶対に採用されない方法というかww

でも特撮的には兵器から電車から何からいろんなものを端から端まで使いまくれて楽しかったのではないでしょうかw

▶︎初代ゴジラから続く核兵器と原子力という主題

ただ一つストーリー関連のことも少し書いておきたいと思います(正直ネタバレです)。

初代ゴジラが水爆実験によって誕生した、というストーリーは当時の核実験によることは有名です。そして今回のゴジラも放射能をまき散らしますが、これは原発が暴走してそれを冷温停止させられるか、という、まさに東北の大震災以来の課題を、ゴジラと都心に仮託してみあせたものです。

その裏で会議だらけでなかなか物事が進まない国の対応、置いてけぼりにされていく地方自治体、被害が世界規模になりそうになった時の海外からの圧力、結局は日本はアメリカの僕に過ぎないのかという現実、でも今は世界全体が何らかの信頼でもつながっているよねという希望、そしてどんな大きな問題や課題も日本は乗り越えられるはずというメッセージを、すべて「ゴジラ」という枠に突っ込みまくった映画です。

正直、そこらへんの表現は、主張したいことと映像の使い方とがうまく一致してるといいがたいのですが(それが気恥ずかしさによる下手さなのか、韜晦も込めたワザとなのか、私にはわかりませんが)。

2時間ほどを全く飽きさせない、いや、目まぐるしすぎる映画ですが、もし「ゴジラ」に少しでも興味を持てる人は、何も考えずに観に行きましょう!

そして興味がない人ももし時間とお金があるなら観に行きましょう!!

この映画が最終的に一部のマニアがひたすら語りたくなるけれど、その範囲内で評価の高い映画として終わるか、大ヒット映画になるか、興味深いところです。

余談としては、こういう作品の作り方と現代のメッセージの突っ込み方、そして大衆性という課題は、現代芸術(音楽ももちろん含め)が持っている課題、人に理解され見聞きしてもらえるか、と通底しているとも思うのでした。。。

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