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「これぞ暁斎! 世界がみとめたその画力」展内覧会

4月16日までBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ゴールドマンコレクション これぞ暁斎! 世界がみとめたその画力」展の内覧会に行ってきましたので、そのレポートをかねて展覧会の紹介をします。
(写真は内覧会のため、特別な許可を得て撮影しています)

今回の展覧会はイギリスのコレクター、イスラエル・ゴールドマン氏の収蔵品によるものですが、すっごく多彩な作品が展示されていて、暁斎の技芸の幅広さに圧倒されて楽しめます。
そんなゴールドマン氏の暁斎コレクションは30年ほど前にオークションで55ポンドで購入したものからスタートしたそうです。(その作品も展示されていますが、これがたった55ポンドだったなんて!!と思います)

内覧会では「カフェのある美術館」を上梓されたばかりの美術ブログ「青い日記帳」の中村剛士氏、チバヒデトシ氏、学芸員の黒田和士氏の3名による展示場を移動しながらの暁斎作品の特徴、作風の変遷、見どころ作品の紹介が行われ、鑑賞のたすけとなりました。

で、私なりに展覧会を紹介したいと思います。
まず、鴉の絵が16点固めて展示されているのが目を引きます。暁斎は鴉の絵で当時の品評会で最上位となり、その作品が破格の100円で買われることで有名になりますが、そのために鴉の絵の注文を内外からたくさん受けたそう。その一端がこの様々な鴉の絵から伺うことができます。

似た構図の鴉もいっぱい。
みんなこんな感じのを描いてって言ったんだろうね。あと鴉の絵が多いのは書画会のような場で、筆数少なく描けるからとも。

そんな暁斎ですが、技術としては狩野派をがっちり学び、その後も円山四条派や浮世絵を学び、最後には仏画の技法も習得するわけですが、戯画的な作品が知られている一方で、本当に繊細、精細で技巧的な絵も描いています。

これなんて狩野派の技術で描かれていて、知らなければ暁斎の作品とは思えない。。。

暁斎の作品といえば骸骨や魔物というのもよくみられますが、そんな中で絢爛精細なのがこの「地獄太夫と一休禅師」の2点。太夫の着物には細かな地獄の様子の絵柄、そして骸骨、、、とても印象的な作品です。

この達磨禅師の絵も暁斎の作品といわれなければわからない、、、

こういうやや剽軽な感じのをある「寒山拾得図」はとても暁斎らしい。

そして写真は小さくなっちゃいますが、展覧会中で目立つ大作は、屏風二双に描かれた「百鬼夜行図」。でも描かれている魔物は闊達で少し滑稽。。。

さまざまな絵が展示される中、私の気に入ったのを3点ほど。
やはりネコ好きとしては、猫が描かれた絵には惹かれてしまいます。今回の展覧会でも猫が描かれたものが何点か展示されています。そんな中でも、この鯰の曳き物をたくさんの猫が曳いている絵は猫の表情がさまざま豊かで愛らしい作品で一押しです。

オススメというか変わった作品とはとしては「五聖奏楽図」。
十字架に磔になっているのは当然キリストですが手にはなぜか鈴と扇。
その下では、神武天皇が歌い、釈迦が三味線、老子が笛、孔子が鼓を奏しているという、意味はいまいちわからない不思議な絵です。

鍾馗様の絵もいくつも展示されてますが、正統派の鬼を踏み、押さえつける絵の他に目をひくのがこの絵。鬼が見事に蹴り上げられている構図。まるで蹴鞠の鞠を蹴り上げたかのような鍾馗様と蹴り上げられた鬼の間の空白が距離感、勢い、時間をすべて描いていてすばらしい!

さて、いろいろ紹介してきましたが、この展覧会の一角には、暁斎の描いた春画コーナーもあります。
豆サイズの錦絵の春画は古典的な交合図だったりしますが、大きな作品は戯画的なおおらかな作品。
こちらの三幅も3つの交合図が真ん中が高く見える構図で描かれていますが、左の絵には交合しているところにちょっかいを出しているネコが描かれているところが笑いを誘います。。。

この展覧会も閉会まで3週間ほどで、あまり期間はありませんが、暁斎の作品がこれほど集まる機会はそれほどないでしょうし、ほんとに多様な作風の作品が一度に見られるのでオススメします。

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