日本のプロオーケストラいろいろランキングして分析してみる

みなさん、日本のオーケストラ聴きに行っていますか??

先日、日本のクラシック音楽ファンは減ってないのではないか、という仮説を示すための具体的な数値に「日本プロフェッショナルオーケストラ年鑑」のデータを使用しました。

で、ついでに、おまけというか遊びとして、各オーケストラの演奏回数、会員数、入場者数、収入のデータでランキングを作ってみました。
データは2013年度のものです。
対象はオーケストラ連盟に加入している25団体で、次のオーケストラが該当します。

札幌交響楽団
仙台フィルハーモニー管弦楽団
山形交響楽団
群馬交響楽団
NHK交響楽団
新日本フィルハーモニー交響楽団
東京交響楽団
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京都交響楽団
東京ニューシティ管弦楽団
東京フィルハーモニー交響楽団
日本フィルハーモニー交響楽団
読売日本交響楽団
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
オーケストラ・アンサンブル金沢
セントラル愛知交響楽団
名古屋フィルハーモニー交響楽団
京都市交響楽団
大阪交響楽団
大阪フィルハーモニー交響楽団
関西フィルハーモニー管弦楽団
日本センチュリー交響楽団
兵庫芸術文化センター管弦楽団
広島交響楽団
九州交響楽団

見てわかるように、人口が集中してるからとはいえ関東圏集中です。

北海道1
東北2
東京以外の関東2
東京9
中部3
大阪以外の近畿2
大阪4
中国1
四国0
九州1

という分布です。
準加盟団体8団体まで含めた場合の地方別分布は、

北海道1
東北2
関東13
中部5
近畿10
中国1
四国0
九州1
の計33団体となりますが、関西以西の少なさは少し問題かもしれませんね。

では、ランキングを見ていきましょうか。

★年間演奏回数

<多い5団体>
東フィル 316回
山形響 192回
東京響 172回
日フィル 161回
神フィル 155回

<少ない5団体>
セントラル 78回
センチュリー 78回
大フィル 87回
京都市響 90回
大阪響 93回

東フィルの圧倒的な多さが際立ちます。依頼公演が273回という圧倒的なこなし方によります。たしかにいろんなイベントのバックとかで演奏してますものね。営業的にもそこを中心にしてらっしゃるのでしょうか。
一方、関西圏のオーケストラが演奏回数は少ないという結果になってます。理由はなんでしょうね?
ついでに自主公演(定期演奏会を含む)の多少もランキングしてみましょうか。

<自主公演の多い5団体>
山形響 118回
群馬響 103回
日フィル 91回
NHK響 72回
読売日響 72回

<自主公演の少ない5団体>
東ニューシティ 10回
東シティ 19回
大阪響 23回
関西フィル 24回
九州響 25回

定期公演という名称だと読売日本交響楽団とNHK交響楽団が年間50回以上こなしている団体になりますが、定期公演の回数最も少ない部類になる群馬交響楽団がその他の自主公演回数で合計では2番目に多いというのもなかなか珍しい。

★会員数

次に定期会員など団体の会員数合計を見てみましょう。その団体が固定的な客層(まぁ、個人とは限らないでしょうが)を獲得するのに熱心か、固定客がいるかってことの物差しになるかな。

<多い5団体>
NHK響 9222名
読売日響 6144名
日フィル 5322名
兵庫芸文管 4798名
東京都響 4735名

<少ない5団体>
東ニューシティ 182名
セントラル 227名
東シティ 554名
関西フィル 565名
仙台フィル 637名

やはりNHK交響楽団が一番多いんですね。統計を見ると少し前まで1万人を超えていたのですが、この数年は少し減らしているようです。あと兵庫芸術文化センター管弦楽団の多さもなかなか健闘してるといえましょう。関東圏以外ではダントツの多さです。関東圏は全般に会員数も多いですが、地方では札幌交響楽団の2722名、あと、大阪交響楽団、京都市交響楽団、アンサンブル金沢が2千人を超えています
定期会員の人数はやはりその団体への愛着、聞きに行きたいというプログラムの比率、団体の営業方針といったものが反映しているのでしょう。会員になることによるメリットにもよるのかな?

★入場者数

公演数が多ければ入場者数は増える、ということになりますが、まずは入場者数ランキング。

<多い5団体>
東フィル 593802名
神フィル 275769名
東京響 251562名
東京都響 238355名
日フィル 219243名

<少ない5団体>
セントラル 54719名
センチュリー 59483名
大阪響 73000名
関西フィル 84000名
山形響 84300名

公演回数が圧倒的に多い東京フィルハーモニー交響楽団が入場者数でも圧倒的な1位なのは当然としても、神奈川フィルハーモニー管弦楽団が2位というのがなかなか意外。そしてNHK交響楽団が6位でベスト5に入らないというのも少し意外かも。
入場者数の少ない団体は地方で演奏回数も多くないところということになってしまいますね。全般に地方の団体は入場者数は伸ばせていません。
地方で入場者数が多いのは札幌交響楽団と兵庫芸術文化センター管弦楽団あたりです。
ただ、入場者数は公演回数に依存するので、公演あたりのは入場者数も見てみましょう。

<1公演あたり入場者数の多い5団体>
東フィル 1839.1人
NHK響 1833.9人
神フィル 1779.2人
東京都響 1702.5人
兵庫芸文管 1584.7人

<1公演あたり入場者数の少ない5団体>
山形響 439.1人
仙台フィル 640.4人
セントラル 701.5人
関西フィル 711.9人
センチュリー 762.6人

やはり東京は公演あたりの人数が多い、というか、それができないとそもそも維持できないというのもあるでしょうが、一方で地方はやはり少ないですね。山形交響楽団の少なさはどういう理由によるのか、ホールサイズや公演の種類にも関係あるのかもしれませんが。ちなみに地方で公演あたり1200名以上を集客できているのは、札幌交響楽団、京都市交響楽団、大阪フィルハーモニーの3団体です。

★収入

客はたくさん来ていても、そこからお金が取れてないともちろん団体の維持は大変なわけで、次に演奏収入のランキングを見てみましょう。

その前にざっと収入全体の傾向にも触れておきます。これは演奏収入以外に公的、民間の補助金、助成団体の収入などすべてが含まれますが、NHK交響楽団が30億円以上であるのを除けば、東京都内のメジャーオーケストラ6団体が10億円以上規模(読売日本交響楽団と東京フィルハーモニーが20億円以上)ですが、地方では神奈川フィルハーモニー、名古屋フィルハーモニー、札幌交響楽団、京都市交響楽団が10億円前後、その他はそれ以下という感じです。

つまりは、そのような人件費や公演開催、広報を賄うお金のうち、どれほどが演奏収入でまかなえているかも重要なポイントといえます。

<演奏収入の多い5団体>
東フィル 16億9461万円
NHK響 13億4323万円
東京響 10億7711万円
日フィル 10億3284万円
新日フィル 7億4404万円

<演奏収入の少ない5団体>
セントラル 1億1543万円
京都市響 1億9479万円
センチュリー 2億0498万円
兵庫芸文管 2億5412万円
東シティフィル 2億7045万円

ここでも地方で、演奏回数が少なく、入場者数が少ないと演奏収入が少ないことがわかりますが、もう一つのポイントは客単価です。演奏収入を入場者数で割った値を見てみましょう。

<客単価の高い5団体>
NHK響 6482円
仙台フィル 5490円
日フィル 4711円
読売日響 4679円
大阪響 4636円

<客単価の低い5団体>
兵庫芸文管 1382円
京都市響 1771円
神フィル 1875円
東シティフィル 2080円
セントラル 2109円

NHK交響楽団の高さもさすがという感じですが、一方で2位に仙台フィルハーモニーが入っているのが意外です。ただ、客単価というか、コンサート全体の値段のつけ方と集客の関係性を見てみると、都会である程度の客が集められるところでは、高い価格のコンサートと、イベントやファミリー向けなど親しみやすく値段も手頃なコンサートも量的にこなすことで客単価全体の平均はそこそこになります。
また、地方の団体であっても、自治体などの補助金や助成で収入を賄えるところは、安めのコンサート多く開き集客します。人数は集まりますが客単価は低くなります。京都市交響楽団や兵庫芸術文化センター管弦楽団、神奈川フィルハーモニーはこのパターンですね。そして地方でも助成にそれほど頼れないなら、値段と集客のバランスをうまくとってなんとか運営していかなくてはならないわけで、地方でも客単価はそこそこ高めの団体がちらほらと見受けられます。

★助成金割合

上で述べたように、民間企業や自治体がバックについていてくれていれば、コンサートも安く、人も集めやすくなります。
演奏収入以外の収入割合の高い、低い団体もみておきましょう。

<補助、助成金割合の高い5団体>
京都市響 80.2%
読売日響 70.2%
センチュリー 68.5%
兵庫芸文響 66.4%
東京都響 65.3%

<補助、助成金割合の低い5団体>
東ニューシティ 8.9%
東京響 16.5%
東シティ 17.5%
東フィル 18.1%
関西フィル 22.5%

先に述べた繰り返しになりますが、助成のあてがある団体は客単価を安くできる一方で、都会である程度集客ができる団体でないと、助成があまりないと運営は苦しくなりそうです。

★総括

こうやってみてくると、日本のプロのオーケストラの運営にはいくつかのパターンがあることがわかります。

1 トップオーケストラとして集客、財政いずれも規模の大きいオーケストラ

東京都内のメジャーオーケストラが相当します。代表がNHK交響楽団でしょう。客単価も高く、自主公演中心で十分に客も集まり、NHKによる財政支援もある。それに準ずるのが読売日本交響楽団や東京都交響楽団という感じ。
日フィル、新日フィル、東響は支援はないけれど、客単価を高めでも集客でなんとかやっていける感じ、東フィルはそこに大量の公演でもカバーする感じでしょうか。

2 地方で財政支援と演奏収入をバランスよく堅実に運営されているオーケストラ

札幌交響楽団、仙台フィルハーモニー、アンサンブル金沢、名古屋フィルハーモニー、大フィル、広島交響楽団、九州交響楽団が相当します。
客単価は3千円から4千円着実にとりつつ、収入の半分程度は自治体中心の支援を受けている団体ですね。地元の文化発信としての位置付けがある限り、これはこれで安定しているといえましょう。

3 文化発信の場として客単価は安く、支援を手厚く受けているオーケストラ

京都市交響楽団と兵庫芸術文化センター管弦楽団が代表がですね。客単価は千円台という割安感のあるオーケストラです。その分、支援が続かなくなると大変でしょうけど、多分大丈夫でしょう。2と3の境目あたりが山形交響楽団、群馬交響楽団、神奈川フィルハーモニーでしょうか。

この他に、やや収益規模が小さめな、日本センチュリー交響楽団、関西フィル、大阪交響楽団、東京シティフィル、東京ニューシティ管弦楽団、セントラル愛知交響楽団がある感じです。

こうやってみていくと、全国のバランスからいって、東京にプロオーケストラが多すぎる感じはするものの、それでもコストのかかる中、これだけの団体が成り立っているのはすごいことに思えます。それに対して京阪神が団体の数あるものの、いずれもやや規模的にも集客的にも客単価にしても食い合いしていて、つらい状況に見えます。大阪に集めずにもう少し、関西と中国、四国とのアクセスいいところにばらけてたらいいんじゃないかと思いますが、それを支える聴衆と自治体がないんでしょうね。時間をかけて育てるだけのものもなさそう。兵庫芸術文化センターあたりが、もっとお金を取れて客も集められる大きなオーケストラになれたら変わるかも。。。

といった、分析でした。

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