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瀬波温泉・大観荘と、とにかく明るい村上

新潟は村上・瀬波温泉に行ってまいりました。

瀬波温泉のなにがすごいかって、年配女性が皆さんほめる。都内でも、「新潟出身です」というと「あらそう、新潟というと、瀬波はよかったわ~!」と口々におっしゃいます。近所のおばあさんから友人のおばあさん、駅前喫茶でもそう聞いた。

新潟県もタテに長いので、地元ながら行ったことがなかったのです。

大観荘で日本海を満喫

お世話になったのは『大観荘 せなみの湯』。

当日はあいにくの曇り空で、沈む夕日はちょっと隠れてましたが、すごく良いお宿です。とくに女性向けパウダールームがすっごい。温泉に入りまくって、パックしまくってきました。ロビーからして盛大にガラス張りになっており、日本海が一望できます。

で、大観荘にチェックインした時点で思ったんですが、スタッフさんの手際がなんだかすごくスマート。県庁所在地の駅前メッツのようでした。旅先ですから、多少のんびりしてても気にならないですし、温泉旅館はのんびりしたところも多いと思うんですけどね。

村上は、東京から行くと上越新幹線で新潟からさらに乗り換えが必要です。特急つかまえて45分、瀬波温泉はさらに村上駅からバスかタクシーで10分くらいでしょうか。

アクセスがすごくいい! というわけでもないはずですが、「お客さん慣れしているなあ」と感じた。これだけなら、「大観荘がいいお宿なんだな~」で終わるんですけど、翌日、村上市内を観光しようとして、さらに理解した。

村上全体がどうも、お客さん慣れしているというか。

にぎわう駅前の観光案内所

駅前の観光案内所なんて、建っているだけ、パンフレットが置いてあるだけのところも多いと思います。しかし、村上駅前のそれは、ちゃんとお客さんが入って、わいわいと観光先を物色している。

へえ、と、我々も観光マップを手にとって開いていたら、案内所の方がすぐさま声をかけてくれた。所要時間を聞かれ、当初そんなに期待していなかったので(ヒマなくせに)1時間と言ったところ、「ああ~~2時間あればねえ! 村上に来たら、ここは絶対見てほしい」とマップに赤丸を次々書き入れてくれる。

村上は、「町屋」と呼ばれる、昔ながらの職住合体建築が見どころの一つです。案内所の人の熱気におされて、じゃあ行ってみようか、と。

駅にレンタサイクルがあったので、借りたら、これが大正解でした。タクシーよりは安いし、小回りがきいて、のんびり町を散策できます。

さて出発だ、と走り出したら、先ほどの観光案内所の人が休みなのか外に出ていて、「借りられた? よかったねえ!」と声をかけてくれた。あんなにお客を次々応対してたのに、よく覚えててくださった。駅のレンタサイクルは空いてないこともよくある様子。

町屋づくりを見学

まず案内された『きっかわ』さんに行ってみる。冒頭の写真もきっかわさんです。村上名物の塩引き鮭をつくっておられます。

町屋は職住合体と書きましたが、驚くべきことに、住空間まで少し開放されてて、見学可能です。

「なつかしい、昔はこういう家があったなあ!」と、いちおう新潟県人だからか、記憶と共通するところもあり、大きな梁や囲炉裏の吹き抜けなどをじっくりと拝見しました。黒々とした木材が素晴らしい。

次に入ってみたのはカフェ『えんや』さん。

元々大工さんのお家だったそう。おかみさんと見られる方が、建物についてさまざまに解説してくれます。

こちらもなんか、すごくおしゃべり好きというか、「もう少し経つと『屏風まつり』というのが開催される。町屋が開放され、各家のコレクションが展示されるのだ」というような情報を得ることができた。

お冷やがわりに出してもらった冷たい村上茶が素晴らしかった。「ぶどうみたいだ!」と思ったんですが、ぶどうの味がするということではなく、舌の上ではじける水と、広がる緑茶の芳香がすごくフルーティー。

そう言ったら、「これは『九重園』さんのお茶だ」と。とにかく情報が情報を呼ぶ。

村上茶おいしいんですよ。以前は上越新幹線でも取扱いがあって、よくミニペットボトルを買っていた。茶栽培の北限とされていて、独特の甘みが感じられるお茶です。瀬波温泉の旅館でも出してくれるはず。

また水が合うんでしょうね私。『きっかわ』さんでも仕込みの水を飲むことができ、それだけで「おいしいなあ!」と思える。えんやさんのオレンジシフォンケーキもおいしかった。

帰りに、たまたま九重園のおかあさんが遊びにいらしていて、「お茶すごくおいしかったです!」と言ったら、老舗らしい、品の良い感じでご挨拶いただけました。

静かだけど明るい町

地方都市というと、だいたいシャッター街が問題になっているもので、村上の町屋の並びもよくみると閉まっているところあるんです。夏休み終わりの平日だったこともあり、人通りもまばらなんですが、それにしても暗さを感じない。

町の人のおしゃべり好きもあり、静かだけどのんきに散策できる、あの空気感はあまり他にないと思う。

村上城に登り、また食う

電動自転車にのって村上城に行ってみたら、これがまた予想外に見事な石垣が残っており、頂上からの眺めといい、たいへん満足。ふもとのトイレも、郊外観光地のそれとしてはきれいに掃除されてると思ったなぁ。

遅い昼は大町文庫さんで。

塩引き鮭に「これ!」と思う。長岡の実家でも食べてました。しょっぱいんですが、ご飯と合わせると格別です。噛みしめ噛みしめ、何杯でもいける。御膳のお刺身もお吸い物もおいしかった!

こちら大町文庫さんでは、高校の先生をなさっていた方の蔵書が並べられているんですが、郷土史から作家の全集から、まーー図書館のようです。

村上というと、やはり県内でも歴史ある土地という認識でしたが、現代でも、これほどまでに文化を愛し、誇りとしてお客さんに是非見てもらおうという活気があるのはとても新鮮でした。これはリピートしたくなる。

9月15日から、一ヶ月間、件の『屏風まつり』が開かれるようです。町屋建築をあますところなく見学でき、さらには各家のお宝もみられる機会。ぜひ瀬波温泉とあわせて村上観光いかがでしょうか。

https://www.sake3.com/byoubu-matsuri/

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