おとぎ話

音楽がギターを抱えて、飛び跳ねていた。

先日、崎山蒼志くんのライブに行った。
彼を君づけで読んでしまうのは、
知り合いだからではまったくなくて、
初めて見たときの彼が中学生だったから。

私の大好きなバナナマン日村さんの番組に、
高校入学前の彼が出ていた。
そこで見て以来なんだか近くに感じてしまい、
君づけが定着している。

その放送は、かなり話題になったので、
同じタイミングで崎山くんを目撃した人は、
もちろん他にもたくさんいて、
特別早く知ったわけではない。
それでもなにか身近に感じさせてくれる魅力が、
彼にはあった。

それから随分月日が経って、
バンドセットでツアーをやっていることを知る。弾き語りよりもバンドが大好物な私は、
行ってみようと思い立った。

会場について驚いた。
めちゃくちゃ満員だった。
めちゃくちゃ人気じゃん。
身近に感じていた崎山くんは、
とても人気者だった。

ライブは最高。

トリッキーな楽曲が多い。
そうするとテクニカルな演奏が多くなるので、
衝動的とか情熱的とかいう言葉で表される、
熱いプレイにはなりにくい。

というのが通説のはずなのに、
崎山君は熱かった。

尖った楽曲を演奏しているのに、
自然体でとっても楽しそうに飛び跳ねていた。

まるで彼自身が音楽みたいだった。
そうじゃないと説明がつかない光景だった。

あの夜、崎山くんは音楽だった。
音楽がギターを抱えて、
時にはギターを外してハンドマイクを握って、
それはもう楽しそうに飛び跳ねていた。

おとぎ話みたいな夜だった。

読んでくださったあなたにも、
奇跡みたいな夜が訪れますように。

2023/11/01
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