オテサーネク 妄想の子供 感想

おもしろかった。

わりと詳細にwikipediaにあらすじが書いてあるから気になったらそっちを見て欲しいんだけど、ざっくりとしたあらすじは、不妊症でかなり精神的に参ってる奥さんのために、夫が切り倒した別荘の庭の木の根っこで赤ん坊を模したものを作ってあげる、妻はその人形を本当の赤ん坊のように思いこんでしい、そのうちに人形は本当に赤ん坊のように動きだして、すごい食欲でもって猫やら人間やらを食べ始めてさあどうしようみたいなかんじ。

前半と後半で結構雰囲気の違う映画で、人形(オテサーネク)が動き出すまでの前半部分ははわりとサイコホラーテイストというか、結構現実と虚構の入り混じった感じで、悪趣味な赤ん坊や妊娠のモチーフとか、妻のよくわからん理屈とか、それに巻き込まれてる夫の苦難とかが見所だとおもうんだけど、後半オテサーネクが動きだしてからはそういう雰囲気は影を潜めて(2人も殺したオテサーネクをかばい続ける母親のオテサーネクに対する執着とかからは感じ取れるけど)普通にモンスター映画っぽい感じ。

前半の雰囲気のが好みだったけど、全体的に演技とか演出とかが上手いのか、結構飽きずに見れた。

以下、よかったところと気になったシーン

よかったところ

・話自体は言ってしまえばわりと普通の怪獣映画みたいな感じで、特に意外なところもないんだけど、前述した前半の幻覚のシーンとかオテサーネクの不気味なコマ送りアニメの動き方とか、とにかく演出が面白かった映画だと思う。特に冒頭の夫婦が信号待ちの時に、車の中からたくさんの妊婦や親子を見るシーンが夫婦の神経衰弱を表してる感じがしてお気に入り。

気になったシーン

・何回か挿入される夫婦と同じアパートに住んでる家族の食事シーン

これがこの映画みてて1番よくわかんなかったとこ、劇中3回くらいあるこの食事シーンでは、なぜか毎回父親が自分の皿に盛られた料理の上に不愉快な幻覚を見る。(スープの中に釘がたくさん入ってるとか)

最初は、父親が妻から何か敵意のようなものを感じてるって描写かもって思ったんだけど、どうもそうでもなさそうだし、どう言う意図なのかよくわからなかった。

幻想的な雰囲気を出すための一演出なのか、あるいはオテサーネクの異常な食欲などから考えると、この映画の根底に食事に対する嫌悪のようなものがあってこういう描写が出てきたのだろうか。

・やめてって言われて素直に捕食をやめるオテサーネク

石炭置き場に閉じ込められたオテサーネクを子供が訪ねて行くシーンで、オテサーネクは最初他の人間を食べたのと同じように子供を捕まえるけど、「食べ物じゃない」って言われてあっさり解放する。この子供に何か特別なものがあったとも思えないし、ほとんどオテサーネクと子供が初対面だったことを考えると意外に話せばわかるやつだったのかもしれない。閉じ込められる前は父親や母親を食べることもしなかったし、話しも通じないようなモンスターじゃなくて、ほんとに子供がいったとおり「寂しがり屋で可哀想な子」だったのかも。


まあ深く考えるような映画じゃなく、普通に演出を楽しむ映画なのかもしれない。とりあえずかなり楽しく見れました。

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