プーと大人になった僕 感想

とても面白かった。

タイトルやCMから想像できる通り大人になったクリストファーロビンがプーや100エーカーの森のみんなと再会する話で、言ってしまえばそれだけの話なんだけど、本当にみてよかったと思う。

僕が好きなのは、この映画が大人と子供の違いとか、大人になるにつれて失った大事なものとか、そういうすべての人に当てはまるような一般化されたテーマではなく、あくまで大人になったクリストファーロビンとプー達の再会を描いたもののように感じられたことだ。
別にそういったテーマのものが嫌いというわけではないが、大人になってしまい感じ方が変わってしまったことに焦点を当てた作品であれば、わざわざ【プーさん】というテーマでやる必要は無いように感じてしまう。結局、プーさんやティガーやイーヨーは僕の子供時代にはいないわけだし。
そういった重いテーマや説教じみた展開がこの映画にはないのがよかった。マンデラという、大人-子供の対立構造を作り出すには絶好のキャラも「無邪気な子供」ではなく「クリストファーロビンの娘」として描かれているし、100エーカーの森のみんながクリストファーロビンをクリストファーロビンと認めるシーンも、誰かがクリストファーロビンに反省を促すとかではなく、クリストファーロビンの演技によってだし、プーたちは実はイマジナリーフレンド」みたいな要素もこの映画にはない(これはもしかしたら最初にクリストファーロビンが100エーカーの森に行ったことや、プーがいきなりロンドンに現れたことからそれに類するような解釈する人もいるかもしれないんだけど、僕はそうは思わない)。僕の解釈ではこの話は徹頭徹尾クリストファーロビンという人物が子供のときの友達と再会する話に過ぎなくて、だからこそ僕は本当に心から彼らの再会を喜べた。

僕はこの映画のラストシーンが大好きだ。この映画を見る前、なんとなく最後プーとクリストファーロビンは離れ離れになるような気がしていた。大切なものを思い出したクリストファーロビンが、もうプーがいなくても大丈夫みたいな感じでまた大人の世界に戻っていくみたいなのはいかにもありそうな筋だから。
でも、実際はラストシーンでクリストファーロビンの家族が100エーカーの森のみんなとピクニックをして、プーとクリストファーロビンは川のほとりで肩を寄せ合う。
100エーカーの森のみんなは、人が子どもだったとき誰でも持っていて、大人になったら忘れてしまうものや、人生にとって大切なものじゃなくて、クリストファーロビンの昔からの友人だ。だから彼らは再会したら、もう離れなくていい。クリストファーロビンは家族とともに、彼らとまた友達としてつきあっていくのだろう。

ここまでものすごい褒めたけど、少し気に入らないところはあって、僕は先ほど書いたようにこの話を「単なる再会の物語」として受け取ったので、この映画の中で「何もしないことが最上の結果につながる」という教訓じみたフレーズが何度も出てきたのだけは少し嫌だった。好みに過ぎないんだけどそういう名言のようなものはこの話には不要な気がする。僕はこの話は単にプーとクリストファーロビンが再会して、クリストファーロビンは少し人生が楽しくなったという話であってほしい。

総評としては、本当に少しだけ気に入らないところはあったけど、今年見た映画の中でかなり上位に入る映画だった。
あまりプーさんを知らない僕でもかなりいいと思った話なので、小さい頃プーさんが好きだった人は本当にたまらない話だったんじゃないだろうか。気になった人がいたら、ぜひ見て欲しい。

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