03なぜ夏目漱石の_こころ_がモチーフに_

夏目漱石「こころ」モチーフの映画『沈めるこころ』(由比ヶ浜駅監督・脚本 高山直美)

短編映画集「江ノ島シネマ」。

今回は、監督・脚本家・アドバイザーが、プロジェクト参画における想いなどを綴るシリーズです。

第三回は、【由比ヶ浜駅】の監督・脚本を担当している高山 直美(たかやまなおみ)さんの寄稿です。

第一回:江ノ島シネマは、若い人に表現の場を提供するべきなのだ(監督・脚本・アドバイザー高橋巌)
第二回:会社員も映画をつくることができる(監督・脚本 須山 拓真)

高山直美(「江ノ島シネマ」由比ヶ浜駅|監督・脚本)
静岡県出身。劇団チームエヌズ主催。演技講師。
15分ワンカットコメディ『ここにいる 』(蔵の街かど映画祭グランプリ)
汎発性脱毛症がテーマ『まる。 』(岡村島映画祭 審査員特別賞)
男子同士の恋愛を描いた『お前、本当に梅吉か? 』(レズビアン&ゲイ映画祭入選)など
様々な作風の映像作品を監督している。

はじめに

はじめまして。
普段は脚本を書いたり映像を作ったり
演技を教えたりしている高山直美と申します。

短編映画は年に2回くらいのペースで撮っていて
どちらかというとコメディ作品が多いんですが
今回はどシリアスです。

なぜか、そして撮影現場はどんな感じだったのか
そんなことを書いてみようと思います。
よろしくお願いします。


江ノ島シネマ参加理由

江ノ島シネマに参加することになった経緯は
監督募集の記事をネットで発見したからです。

もともと鎌倉、湘南あたりの雰囲気が好きで
そのうえ江ノ電の駅をモチーフに
複数の監督で短編映画をつくるなんて面白そう!
と思ったのでもう速攻で応募しました。

いろんな人たちと足並みをそろえながら
映画を作っていく経験ははじめてだったので
本当に参加してみて良かったなと思っています。

なぜ夏目漱石の「こころ」がモチーフに?

江ノ島シネマへの参加が決まり
どんな内容の映画にしようかと思ったときに
鎌倉といえば鎌倉幕府かなあ等いろいろ考えました。

頼朝と義経の兄弟の話か?
でも時代劇は難しいよなあ…と煮詰まったとき
ふと好きだった夏目漱石の小説「こころ」を思い出しました。

たしか冒頭で海が出てきてたぞと思い見返してみたら
「先生」と「私」の出会いがズバリ鎌倉の海!
しかも「由比ヶ浜」とちゃんと書いてある。

というわけで担当駅は「由比ヶ浜」駅に決まり
夏目漱石の「こころ」をモチーフにすることも
決まったというわけです。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/773_14560.html
↑こちらから「こころ」が読めます

『沈めるこころ』の登場人物

さてどんな内容にしようと考えたとき
もともと頼朝と義経はどう?と考えていたので
男性2人というイメージが自分の中にあり
「先生」と「K」の話だ!とすぐに思いつきました。

というわけで『沈めるこころ』には
正義(「こころ」でいうところの先生)と、
慶介(「こころ」でいうところのK)という人物が出てきます。
そこへ静香(「こころ」でいうところの静)がポイントで絡んできます。

登場人物を3人だけにしぼり
作品のテイストも小説「こころ」のように
繊細な心の動きを描く感じにしようということも
すぐに決まりました。

『沈めるこころ』の内容

物語は正義と慶介が
10年ぶりに出会うところからはじまります。

小説「こころ」の「K」は自殺しているのですが
もし「K」が死んでいなかったら、
もし数年ぶりに「先生」と「K」が出会ったら、
そんなもしが元になったストーリーです。

なので小説「こころ」を知っている人は
このシーンは小説のあそことリンクしてるんだと
楽しめるかと思います。

現代版におきかえた「先生(正義)」と「K(慶介)」なので
もちろん小説を知らない人でも楽しめますし
なんなら映画のあとに小説を見てみても
新たな発見があって面白いんじゃないかなと思います。

撮影現場

撮影のほうは二日間プラス1シーンだけ別日で
すべて撮り終えました。

もともと撮影現場が大好きで
ずっとワクワクが止まらないんですが
今回とくに笑いが絶えない現場でした。

シリアスなのにと思われるかもしれませんが
シリアスだからこそカメラが回ってないときは
みんなでだいたい笑ってました。

あ、主にわたしと後藤さん(慶介役)と
吉田さん(正義役)ですが。

クラウドファンディング向けに
メイキング動画を作ったので
機会があれば是非見てみてください。
楽しそうだなーという雰囲気であふれているので。
(クラウドファンディングは5月末開始予定)

さいごに

楽しく笑いにあふれた現場でしたが
撮れたシーンはどれも完璧に
イメージしていた「こころ」の世界観になりました。
(ここは自信をもって言っちゃおう!)

今回不思議なことが起こったのですが
最後のシーンを撮り終わったあと
登場の人物に感情移入してしまい
哀しい感情があふれて止まらなくなりました。

脚本執筆中に感情移入してしまい
カフェで1人でいるのに恥ずかしいなあ
なんてことはたまにあるんですが
撮影中というのははじめてでビックリ。

なぜでしょう、自分でもよくわかりませんが。
こころって不思議だなあと思います。

これから編集作業にはいるのですが
もういい作品になるという予感がしています。
是非『沈めるこころ』をみてください。

ありがとうございました。

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