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AirDropはかく語りき

電車の中でトイレの怪談に出会った。

オフィスからの帰り道、読んでいたwebの記事をシェアしようとした時、iPhoneのAirDropが反応した。最近、AirDropのせいでオフィスの近くのカフェで仕事をしているとだいたい自分がいることがバレる話を聞いていたので、興味本位でAirDropで拾ったwi-fiをスライドして見ていた。

電車は満員では無いものの席は割と埋まっていて、立っている客が周りに数人いた。

tkのiPhone、w PhoneX、KONISHI、、、、トイレの怪談。

一番右までスクロールすると、トイレの怪談がいた。
大文字で堂々と主張してくるKONISHIさんもなかなかだが、トイレの怪談のインパクトには勝てない。たとえKONISHIがKONISHIKIだったとしても、人ではなく概念として存在している怪談の前では手も足も出ないだろう。

ここで気になるのはなぜ「トイレの怪談」と名付けたのか、だ。
何らかの目的がなければわざわざ自分のデバイス名を「トイレの怪談」にしない。理由もなくトイレの怪談にしていたら、それこそホラー。

考えられる可能性として、持ち主の名前が「花子さん」の場合だ。「華子さん」か「玻奈子さん」か、はたまた「鼻子さん」かもしれないが、トイレの怪談といえば「花子さん」。

今でもホラーは大の苦手なのだが、小学校の頃なぜか運悪く「学校の怪談シリーズ」をテレビで見てしまい、その時の回がたまたま「トイレの花子さん」で、マジでトラウマになったのことを思い出す。

自分の名前から連想して「トイレの怪談」と名付けたのなら中々ユーモアに溢れている。僕みたいにたまたま「トイレの怪談」を見つけてビビっている人を作り出し、内心でほくそ笑んでいるのかもしれない。恐ろしい子である。

続いての可能性は、彼女の名前が「花子さん」パターン。「花子さん」という名前の彼女がいて、彼女を愛しすぎた故にデバイス名を「花子さん」にしようと思ったけれど、もし彼女以外と二人きりになった時にAirdropが作動して「花子さん」と出たら恥ずかしいから「トイレの怪談」と隠喩的に名付けたかもしれない。もし自分の彼氏がそんなやつならすぐにでも別れたい。しかし、それほどまで愛しているということなのだろう。愛の尺度は人それぞれで、他人の了見で測っていいものでは無い。今別れたいとか言ったが、不躾な発言だったかもしれない。逆にぜひ幸せになってほしい。

他に考えられるとしたらマジの「花子さん」パターン。

つまり、お化けですね。

スマホ持ってるなんて花子さん、現代に順応しすぎてて逆に仲良くなれそうな気もする。あえて「トイレの怪談」って名付けて見えない存在を電波を通じて主張してくるあたり、淋しがり屋の気が感じられる。メイプル超合金のカズレーザーであれば「wi-fi 飛んでなぁ」と言いながら、振りかぶった手で花子さんも吹っ飛ばしてしまうかもしれない。だから、赤いスパッツに金髪の男のそばには近寄っちゃダメだ、花子さん。

「トイレの怪談」に比べて僕なんか「マサヒロのiPhone」ですからね。ひねりも何もなくて、逆に恥ずかしくなる。花子さんからしてみたら「うわ、あいつ普通に本名でAirDropやってるよ、ダセー、ぷぷ」みたいになる。

もはや、時代はSNSではなく電波で繋がるAirDropの時代なのかもしれない。プラットフォームがなければ繋がれない僕らなど旧世代の遺産なのだ。同じ場所を共有しつつも、AirDropで会話をする。AirDropこそ本音。分人主義的な何かなのだ。

僕も「トイレの怪談」を見習って、新しいAirDrop名をつけようと思う。時代に遅れる前に。

なお、念の為「トイレの怪談」でググって、他にどんな話があるのかなーと興味本位で調べたら普通に怖い話ばっかりだったので、めちゃくちゃ後悔してます。

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