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文章を書くうえで意識したい4つの文脈について

文章を届ける上で大事なことの1つに、文脈への意識がある。

文脈というのは、文字通りその情報の前後を表す。言い換えれば、「導入」と「締め」だ。「暮しの手帖」前編集長の松浦弥太郎さんも最初と最後の3行が良ければ全て良しと以前おっしゃっていた。少し極論かもしれないが、それくらいの意識が必要ということだろう。

編集者になって1ヶ月、文脈の大事さをこれでもかというくらい味わった。

もともと自分で文章は書いていたので、それなりに文章の書き方の本は読んでいたし、「リード文が何よりも大事だ」みたいなことは頭ではわかっていたつもりだったけど、編集者の立場になってそれを初めて心で理解した気がする。

文脈を意識するというのは、一番読ませたい読者は誰なのかを意識することだ。読んでもらいたい人がどんな文脈であれば最後まで離脱せずに読んでもらえるのか。編集者もライターもそこに命をかけるべきだと思う。どんなにロジカルかつ情緒的な文章が書けたとしても、そもそも読んでもらわなければ意味がない。残念なことに自分が文章に対してかけた時間など、読者にとっては関係ない。

そうはいっても、どんな文脈で切り取れば良いかをパッと思いつくのは難しい。導入の切り口は編集者の初期段階で悩む鉄板のようで、同時期に編集者になったメンバーも悩んでいた。

そんな時に、inquire代表のジュンヤさんに教えていただいたのが、「コンテクストプランニング」という考え方だった。「コンテクストプランニング」をわかりやすく解説してくれた本があったので、それを紹介したい。

高広伯彦さんの「次世代コミュニケーションプランニング」という本だ。

本書では、コンテクストを「消費者文脈」、「パブリック文脈」、「所属産業文脈」、「ブランド文脈」の4つの切り口で紹介している。それぞれ簡単に紹介していく。

「消費者文脈」は、ターゲットの消費者自身が持っている文脈のこと。その人自身を取り巻く人間関係や社会関係を表し、よく使われるインサイトという言葉もここに含まれる。一番情緒的に訴えやすいのはこの文脈だろう。

「パブリック文脈」は、社会規範や常識、ニュースなど、一般的に人に知られていることを指す。誰が聞いても「あぁ、確かにそうだよね」と思えることが当てはまるだろう。どちらというと、大型のPRなどで使えそうだ。

「所属産業文脈」は、その業界の変遷やルール、商品カテゴリなどを指す。例えばクラフトビールを紹介したい文章なら、これまでのビールの文脈を最初に提示し、クラフトビールという存在が既存のビールと何が違うのかを紹介する。ストレートニュースなどでは使いやすいかもしれない。

「ブランド文脈」は、企業や商品が築き上げてきたストーリーを意識した文脈だ。個別の商品紹介などで、「消費者文脈」と合わせて使うと効果を発揮しそうだ。

以上、4つの文脈を紹介したが、これが正解という訳ではない。大事なのは読み手の興味を引くことであって、映画の予告編のように文章の面白い部分をチラ見せする導入でもいいだろうし、希少性のあるコンテンツならそれを前面に押し出すのもいいだろう。

文脈の書き方については、長谷川リョーさんのこちらの記事も非常に参考になるので、ぜひ。


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