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誰か1人のために注がれた熱量は尊い

先日、久々に心突き動かされたプロダクトに出会った。

「失読症(ディスクレシア)」を抱えた父親のために作ったメガネ「OTON GRASS(おとん グラス)」だ。「OTON GRASS」をかけて、読みたい文字のほうを向いてボタンを押すと、カメラが文字を撮影して音声として書かれた文章を読み上げる。作ったのは僕と同じ27歳の島影 圭佑さん。

島影さんが大学4年生の時、脳梗塞で父親が倒れ、言語野の中でも特に「読む」機能が傷つく「純粋失読」を患ってしまう。それをきっかけにたった1人の自分の父親のために、父親にまた文字を読んでほしい一心で「OTON GRASS」を作り続けた。

僕はこの開発ストーリーを知った時、自分の父親のことを思い浮かべて、思わず泣きそうになった。僕の父は大変ありがたいことに、大きな病気を患うこともなくピンピンしているが、いつ大きな病気に罹ってしまうかはわからない。もし、そうなった時、僕はどれくらい真正面から父と向き合えるだろうか。

父がたの祖母はアルツハイマーにかかり、なくなる直前は自分の子供を子供として認識することができなくなっていた。僕の前では決して涙を見せなかったけど、その時の父は一体どんな気持ちだったのだろうか。

「純粋失読」は文字を書くことはできるのに、その書いた文字が書いたそばから読めなくなってしまう恐ろしい病気だ。文字に溢れたこの世界で、これまで意味のわかっていたものから突然突き放される恐怖は想像することができない。

その恐怖に一緒に立ち向かい、ついに元の世界へと引っ張り上げた島影さんの「OTON GRASS」は本当に素晴らしいプロダクトだと思う。

こうした革新的なプロダクトのネックは量産だ。技術的コストのせいで、大量生産ができなかったりする。今回、JINSから資金調達に成功したということで、是非同じような状況で苦しんでいる1人でも多くの人に届いて欲しいと願わずにはいられない。

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