Bine 「抑圧された精神の崩壊の寸前」

まずこの曲を、椅子に座って目を瞑って心して聞いてほしい。頑張って最後まで聞いてほしい。

アーティスト:Autechre
曲名:Bine
リリース:2001年(アルバム「Confield」収録作品)

この曲は、Autechreの6thアルバム「Confield」の6曲目の曲である。2000年代前半のAutechreの尖りに尖った作風を象徴するようなアルバムであるが、その中でもこの曲は特に異質で恐ろしさすら感じたので紹介する。

この曲は、さまざまな感情が抑圧されたことによって混沌と化し、そして崩壊しようとしている極めて不安定な精神的状況を表していると思う。
この曲は、曲全体を通して、不気味なドローンサウンドと、怒涛の勢いのノイズが鳴っている構造をしている。

まず、前者のドローンサウンドは、調性は完全に無く、音の大きさも不規則に変わり、極めて不明瞭なリズムである。これは、感情が抑圧された反動でさまざまな感情が我こそはと何の脈絡もなく出たり入ったりするという混沌的精神状態、情緒不安定さをよく表していると思う。

そして問題はノイズサウンドであるが、これはどう言えば良いのか、、、、自分の語彙力では、カオス中のカオスとしか表現ができない。異常なほど細かく不規則なリズム、すりおろされるかのようなサウンド。ただ、曲全体を通してその音の様子が一変するということはい。つまりこれは、精神崩壊までにはぎりぎり至っていないが、上で述べためちゃくちゃな感情によって、精神崩壊の寸前で、ヒビが今まさに心の表面を走っている様子を表していると思う。ノイズ音はつまりヒビが入っていく音なのだ。

上のような構成の音楽が4分半ほど演奏された後、この曲は最後に突然終わる。おそらく、まさに、つる(Bine) によって雁字搦めになっていた心が崩壊を迎え、粉々になってしまったのだと思う。


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