人権作文をおっさんが書くとしたら何を書くか?簡単に考えてみました。

中学生向けに法務省が人権作文を募集している。

まずは,あなたが日常生活の中で感じたことや体験したことを思い出してみましょう。
あなたの周りの人で悲しい思いや,辛い思いをしている人はいませんでしたか?みんなが人間らしく幸せに生きていくためには,どうしたらよいと思いますか?自分の体験や,家族などの周りの人から言われたことなどを考えてみましょう。
例えば…これまでの入賞作品には次のようなものがあります。
○障害により車椅子で生活する筆者が,自分と同じ障害を持つ人の活動の
ニュースを見て,社会を良くするためにはそれを行動に移すことが大切で
あると学び,「気軽な助け合い」を広めるためにできることについて考え
たもの
〇家族でハンセン病療養所を訪問し,そこで出会ったハンセン病元患者の
方との交流を通じて感じた気持ちをつづったもの
○中学2年生の時に悪口を言われるなどの辛い経験をして,「良い学校」
とは何かについて考えたもの
○障害を理由に高校の入学を断られるなど厳しい現実に直面し,障害が
あってもみんなと一緒に高校生になりたいという気持ちをつづったもの
○国際交流で行った外国での経験を通して,これまでの自分に住みついて
いた偏見に気付き,「知ること」の大切さについて考えたもの
過去の入賞作品については,法務省HP http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken111.html
に掲載されている入賞作文集をご覧ください。

とある。
パチンコ屋勤務のいいおっさんだったらどんなネタがあるか?中学生に戻ったつもりで考えてみた。

1)15年前、元妻と銀座でデートをしていた。知人のワインバーでオーナーからしつこく仕事を聞かれた。で、パチンコ屋というとそのあと2時間パチンコ屋の嫌いなところをまくしたてられた。次の日、店に行って、また店主と飲みながら前日の対応にクレームして謝罪させた。まだ自分が青かった。どうしても泣き寝入りできなかった。職業差別かな?

2)よく、大学同期と飲むと、たいていの人間は、サラリーマンか士業をやっているので興味本位にパチンコ屋ネタを振ってくる。これは楽しい。風適法の豆知識は、弁護士にも受けがいい。しかし、世が世ならユニークな仕事への興味、好奇心は、差別につながるかもしれない。

3)勤務先がパチンコ屋だとわかると、在日の方ですか?って聞いてくる人が業界内外にいる。業界内だとキョッポかどうか?の探りで仲良くなるきっかけを探してくれる質問だ。業界外だと、反社会勢力かどうかチェックするように効いてくる取引先の方の目の奥が笑っていない。

4)商談がこじれて、東上野の1室に8時間近く拘禁されたことがある。たばこは吸えた。ずっとある社長とにらみ合っていた。これは、人身の自由っていう人権だ。こっちも意地になって最後は和解できたからよしとした。

5)関東圏の自由同和会系の不動産屋さんにこの会社の営業車内で監禁された。高圧電線の下の廃工場を25億で買い取れ。気に入ったというまで返してくれない感じだった。これは、同和の名刺を出すことで相手を畏怖させる意図があったのかもしれない。しかし、学生時代から岩波の被差別部落1000年史とか、塩見鮮一郎の本を大量に読んでおり、同和系の方だから怖いとは全く思わなかった。最後、「普通に要りません」と言えた。解放同盟と比べると穏やかな団体なのかもしれないが、一瞬びっくりしたのを覚えている。これも平等権という人権にかかわる話。

6)数度、知らずに暴力団経営の不動産屋さんに飛び込んだ。名刺を渡してしまい、人の死について笑顔でじっくり話を聞かせてもらった。ほしい事業用地があったが、その土地は、怖くて結局触れなかった。逃げ帰った。暴力団だから関わってはならないという、暴対法という法律が許容するものだけど、こちら側の差別意識が発露した。自分が差別をした経験の話として組み立てられそう。

自分が中学時代だったらどんなことが書けるか?昔に戻ると、

1)教師による女子生徒への性的虐待を止められなかった話。普通に都内の区立中学でベテランの教師が酷いことをしていたが、告発せずに固まっていた。暴力行使が怖くて動けなかった。

2)ムース、整髪料を付けて登校し、グランドの水飲み場で腹にキックされ、頭を無理やり水道水で洗われた。さらに金属バットでケツバット。今考えたら単純暴行。生活指導の教諭はの指導は行き過ぎの犯罪行為だった。

3)ほかにも全科目の先生が必殺の体罰を行使していた。

1)~3)は、就学関係という特別な権力関係において人権の講師が制限される場合だろうか?という古いドイツの憲法の理屈にあわせて、作文をしたら、小難しいけれど意外といけるかもしれない。

4)普通にいじめが蔓延していた。優しくてすぐ口ごもる女の子、小柄な男、人より勉強できる奴、いろんな人が無作為に運悪くいじめられた。一番気の毒な子は、いじめが原因ではないが生まれつき心臓が弱く、動きが鈍い子だった。笑顔の絶えない子だったが、いじめを受けていた。

よく考えると、あまりいい中学には行けなかった。柄悪く、先生も今よりも圧倒的に多い45人くらいのクラスをまとめるのに必死だったと思う。しかし、最後、お世話になりました!と感謝の気持ちを持つことはできなかった。

人権って考えると、被害に遭ったこと。被害に合わせたこと、戦ったことが思い出される。テーマが身近な人権の場合である。

この作文コンテストで、身近ではなく、すべての人権について中学生に書かせると、もっと大人が気づかない面白い話がたくさん出てきそうだ。

そんなことをおもいつつ、筆をおきます。




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