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お不動さまの炎。

お正月のために買った松竹梅の生花、
ちょうど地蔵会に合わせて梅の花が咲きました。
小さくても良い香り。

梅の花の香りけっこう好きなんで、
小さい盆栽でも買おうかなと毎年チラッと考えます。
でも本当は、梅の実も取りたいので庭木がいいな(笑)

梅、特に白梅は菅原道真公がお好きだったという花。
そこもなんだかご縁を感じるあたりです。

今日は28日で初不動です。
いろんなお寺で護摩供養が行われました。

以前にも言いましたけども
祥鈴庵には護摩壇がまだないので
通常のお不動さまの供養法を行います。
そのうち護摩壇が築けるといいなと思ってますが、
まあおいおいに。

護摩は実は、お不動さまに限らずいろんなご本尊のために
修されるのですが、なんとなく
「護摩=お不動さま」
というイメージがありますね。

お不動さまは「火生三昧」という境地に入っておられます。
これは身から火炎を発して
その炎であらゆる煩悩や魔を焼き尽くすもの。

この三昧に入っておられるので
同じように火を焚いてご供養するのが
とても似つかわしい、というところから来てるのでは
と思います。

ちなみに、修験道で行われる柴灯護摩の供養のあと
壇を崩して、まだ燃えたり燻ったりしているところを渡る
「お火渡り」を行うところもありますが
これも火生三昧と呼ぶ場合があります。

お不動さまのお像の後背は燃え上がる火炎で、
火生三昧に住していることを表現しています。

その炎は迦楼羅天という鳥頭人身の護法善神が
口から吐く金の炎であり
迦楼羅鳥が羽を広げたような形をしているので
迦楼羅炎と呼ばれます。

この炎は、この世の炎とは質的には違うもの。
ですが、この世界の炎もまたこのお不動さまの
火生三昧の炎と同じ、と観ずることで
護摩供養によって諸魔を降伏し煩悩を焼尽できるわけです。

護摩は「ホーマ」の音写。
「焼く」「焚燒する」といった意味のサンスクリット語。
バラモン教などのインドの宗教で、土壇を築きそこで
供物を火で燃やして天の神に捧げる儀式が行われていましたが
それが密教に取り入れられました。

以前にも書きましたが、日本にはお大師さまが
初めて持ち帰って修されたとされています。

密教の護摩供養の中でも、お導師さまが
さまざまなものを炉にくべて焚いておられるので
「燃やすことで供物をご本尊に届ける」
のが主要な目的、と思われているかもしれませんね。

さまざまな供物や護摩木などは
もちろんご本尊に捧げるものではあるのですけど
それを焚くことによって上がる炎はご本尊の智慧の炎。
その智慧の炎によって私たちの煩悩を焼き尽くし
本来持つ清らかな心を現すことが最も重要な目的です。

護摩壇で焚かれている火でお供物や護摩木が焼き尽くされるように
私たちの心の中でも仏さまの智慧の炎で煩悩が焼尽される。
この両方がその場で行われることが護摩供養の場では大切です。

そうして本来持つ清らかな心、浄菩提心が現れた状態で
厄を払ったり心願の成就を願うわけです。

ですので、護摩に随喜する機会がありましたら
お導師さまが焚かれる護摩の炎を
ぜひご自身の心の中にそのように映しながら
お参りしてくださいね。

ところで、時々見かけますけど
「護摩焚き」っていう表現はちょっと違和感ありです。

京都や大阪などで冬に行われる「お火焚き」と
混同されてるのかなと思いますね。
こちらは五穀豊穣などを祈り火を焚く神事。
あるいは火を用いる家業のお家で火を祀るもの。

護摩の中には火を上げずに行うものもあるので
実は「護摩=火を焚く」とはいえないんですよ。

なので「護摩供にいく」「護摩祈祷に参列する」
といった方がちょっと詳しい人っぽくていいかも、
とお薦めしておきます。

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