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スペシャルムービー制作現場より〜クリエイティブディレクター湯川篤毅氏の一問一答


「芒種」の候となりました。
梅雨の時期にも入ってまいります。
きものでお出かけする際は雨の備えもしておきたいものです。

先日リリースしたムービーは、クリエイティブディレクターの湯川篤毅氏に力強く支えていただき完成いたしました。

今回は湯川氏に一問一答形式で制作秘話、そしてcreativeについてのお話をしていただきました。

「enso Japan」プロジェクトに参加してくださったのはなぜ?

伝統と革新。
とかく茶道でも華道でも武道でも「道」がつくものや、昔からの伝統というものは「型」が決まってしまっていたり、道を外れることは許されず、また流派などの権威にもがんじがらめになっていて身動きが取れなくなってしまっていることが結構あると感じます。
(まぁこれは現代社会のほとんどのことに言えることかもしれませんが……)

hitomiさんとお話したとき、

「着物は本来そんなに堅苦しいものではないし、いまの形に合わせてどんな着方をしてもよいのでは、着物はもっと自由だと思うんです。

そして昔からある伝統的な“着物の姿”と、今の時代にフィットする“着物の姿”をかけ合わせていきたいと思っています。

そうしていかないと文化というものは残っていかない」

ということを言われていました。
その気持ちに共感し、参加させていただいたという経緯です。

今回のムービーのコンセプトは?

テーマは「今までになかった着付けビデオ」です。
海外の人が見たときに「日本らしい」と感じるような象徴的な映像にしたかった。
hitomiさんの着物を着る所作の美しさや表情、内田さんの奏でるクラヴィコードの繊細な音色、
彼女が生まれ育った建仁寺塔頭両足院の歴史ある風景と空間。静寂の中で聞こえてくる彼女の呼吸、衣擦れの音や虫や鳥の声、雨粒の音……。
あらゆるものが一体化され「和」を織り成す、そんな映像を目指しました。

現場で感じたことを教えてください

建仁寺は今から800年以上前に建立されています。

そんな歴史ある場所で、その時代より前からある着物を着ているhitomiさんの姿を見たときになんだかタイムスリップした感覚になりました。

同時にとても厳かな気持ちになったのを憶えています。



演奏家・内田輝さんにはどのようなリクエストをされましたか?

内田さんには、両足院で鳴っているすべての音(空気音、衣擦れや足音、虫の声や鳥のさえずり、雨が屋根に当たる音など)と
世界最古の弦楽器と言われるクラヴィコードの繊細な音色を融合させてひとつの音楽にしてもらいたいとお願いしました。
また着る着物の種類によって気持ちや雰囲気も変わるのでその着物に合った曲を作ってもらいたいというお願いをしました。

ヘアメイクアーティスト・関野里美さんへのリクエストは?

各々の着物の持つイメージとhitomiさんをうまく融合させて
彼女がより魅力的にみえるようなメイクとヘアを。
色の組み合わせや髪型は固定概念に囚われず、現代的で多少アバンギャルドでもカッコよく見えたいと思っていました。

湯川さんにとって「着物」とは?

ぼくは普段着物をきることがないので、

「ぼくにとって着物とは」ということにはうまく答えられないのですが、

でも日本の文化としてとても大事にしていくべきものであるものだと思います。
時代が変わってもきちんとした形で残っていってもらいたいと思いますし、
もしかしたらいろんなアレンジと再解釈をして自分でも着てみたいなと思ってます。

ものづくりをする上で大切にしていることは何ですか?

いろいろなタイプの人がいると思うのですが
ぼくの場合は映像でもなんでも、見てくれる人がいてその人たちのことを想像して作ることが多いです。
見てくれた人にハッピーや驚きがどれくらい起こるのか、ということはとても大事にしています。
とはいっても自分がそれを見たときにどのくらい面白いか?ってこと客観的に自己投影させて想像しているんですけど。
てことは結局自分が面白いかどうかってことなんですね。

あとは自分の頭の中にあるモヤっとしたイメージの種をぼくより才能のある人に託し、
膨らませて形に仕上げてもらう。
そのプロセスであ〜だこ〜だその人たちと議論し
初めに自分一人で想像してたイメージの種より、みんなと一緒に何倍も何十倍も面白いものに進化させていく。
ということを大事にしてます。


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